FXと暗号(仮想)通貨の見通し 2021年4月26日 – 30日

まず、先週のイベントを振り返りましょう:

  • EUR/USD. 米国経済は、目覚ましく伸びています。一方、ヨーロッパは広範囲のロックダウンにより、明らかに2度目の景気後退中です。EUでは、COVID-19に対するワクチン接種を一度でもした人の割合が25.1%である一方、アメリカでは、2.5倍以上の63.2%になります。このような状況でユーロは上昇するでしょうか? 専門家の25% だけが、この質問に先週、肯定的な答えをだしていました。また、その通りでした。: EUR / USD は、4月20日火曜日に1.2080 水準に達しました。
    多くのアナリスト (50%) は、強気筋と弱気筋で1.2000を境に“綱引き”をすると見ていました。 そして、それも現実とはかけ離れていないことがわかりました。: このペアは、火曜日から週末にかけて、1.1995-1.2080 の上下で移動しました。 しかしながら、直近7週間での高値1.2100で取引終了の鐘が鳴ったので、勝利は、もちろん、強気筋でした。
    そこには、非常に大きな二つの理由があります。一つは、アメリカ、もう一つは、大西洋の反対側のヨーロッパです。
    長期米国債利回りが下がる一方、米国通貨は下落を続けています。主要6ヶ国通貨のバスケットに対するドルインデックス(DXY)は、91.0に下落、年高値93.3から230ポイント下げています。これが、投資家のリスク感情を高め、主な米国株インデックスを押し上げています。これは、100万ドル以上の所得の市民のキャピタルゲインを約2倍(20% から39.6%)にするとしたジョー・バイデン米国大統領による提案に関わらず起こります。
    一方、ユーロでは、ヨーロッパでのワクチン接種率の肯定的な予測、特にファイザーがEUへのワクチン供給量を1億回に増やすというニュースにより支持されました。ドイツ債券利回りは、アメリカの競争相手に追いつこうとしています。ユーロ圏内のビジネス活動に関して予想よりも強かった統計が、同様にEUR/USD の強気筋を支持しました。ロイターによる分析ではPMIの平均が53.2から、52.8の下落予想です。しかし、4月は53.7に上昇しています。;
  • GBP/USD. 最初に、将来的に出現するかもしれない別のペアであるGBC / USDについて、少し触れます。国によっては、当局が暗号通貨を禁止(例えば、トルコ)している一方で、使用しようとしている国もあります。国際決済機関(BIS) の最近の調査によると、66の中央銀行のうち、52が独自の暗号通貨について検討していることがわかりました。このうちの一つの規制当局が、英国最大の金融コングロマリットの1つであるバークレイズに支えられたイングランド銀行です。
    デジタルポンドは、既に、遊び心にちなんだ名称の"ブリット・コイン"と呼ばれ、"ブリット・ミラー"を知っている人を笑顔にさせます。ご存知でない人のために、説明させてください: これは、ユダヤ教の割礼の儀式です。ブリット・ミラーは深く過去に根差したものですが、ブリット・コインは、EUから離脱したデジタル先物です。
    しかし、GBC / USDが取引商品のリストに表示されるまでは、その“お姉さん”であるGBP / USDに戻りましょう。EUR/USD と同じくドル安のおかげで、週明けに上昇しました。このペアは火曜日に1.4010に達し、170ポイント追加です。しかし、1.4000の水平以上に修正することはできませんでした。: ポンドは、2日後には全てのアドバンテージを失い、このペアは1.3825水準に下がりました。直近の取引終了時点で、ポンドはサービス部門事業活動の強い統計により支えられました。: マークイットインデックスが、今月を通して56.3から60.1(予想59.0)に上昇したことにより、このペアは僅かに上昇し、1.3885で5日間の取引を終了しました。;
  • USD/JPY. 前回のレビューで、米国債10年利回りの下落とそれに伴うドルに対する円高の理由の一つが、市場に日本人バイヤーが戻ってきた可能性であることを思い出してください。彼らは、会計年度末に積極的に米国債を売却していましたが、現在は彼らのポートフォリオに組み入れ始めています。
    多くのアナリスト (70%) は、日本円が高くなりUSD/JPY の下落を7日前に支持していましたが、完全に予想どおりでした。107.50 水準がサポートとして示され、今週のローカルボトムになりました。これに続き、修正があり107.85で終了しました。;
  • 暗号通貨. 4月16日金曜日の強気筋のタスクは、BTC/USDが$60,000を下回らないようにする一方で、7日後には、足元を$50,000圏内に固めることに苦戦しています。アメリカの取引所CoinbaseのIPOの前夜の$64,800の急騰の後、現在、私たちは、同じく急速な崩壊を目のあたりにしています。ビットコインの価格は、4月23日金曜日に26.6%下げ、$47,545 に下落しました。
    これが起きた理由を一つに絞るのことは難しいです。著名なアナリスト、ウィリー・ウー氏は、ビットコインのマイニングが集中している中国最大地域の1つである新疆ウイグル自治区での大規模停電によって引き起こされたと述べています。BTCケンブリッジエネルギー消費指数によると、新疆ウイグル自治区はコインの総ハッシュレートの約25%を占めています。ほとんどのマイナーが一時的なオーダーを停止したことにより、資産のハッシュレートは低下、別途コインネットワークの平均的な取引料は2017年以来なかった$50を超えました。
    ウー氏によれば、電力供給量が安定した後、ビットコインは上昇を取り戻すはずでした。電気は新疆に戻りましたが、ビットコインは下げ続けました。
    私たちは、暗号市場が規制当局のリスクに非常にさらされていることを幾度となく書いています。そして、この場合も、暗号通貨を利用したマネーロンダリングの疑いのある多くの金融機関に対して米国で調査が始まるかも知れないという噂にパニックが引き起こされた可能性があります。さらに、市場への圧力は、二つのニュースの記事によってもたらされました。
    まず、一つは、米国議会が暗号通貨規制をするためにSECおよびCFTCワーキンググループの設立を承認したというニュースです。2つ目は、デジタル資産への投資制限になるかも知れないジョー・バイデン米国大統領によるキャピタルゲインの税金引き上げ計画です。
    暗号通貨市場の時価総額は、1週間で2.2兆ドルから1.825兆ドルに17%減少しました。その間、ビットコインは、底知れず下がっています。1月2日の市場では72.65%を占めていましたが、4月23日は、僅か50.70% です。これは、投資家が現在8,000以上のアルトコインから収益性の高い投資資産を探していることを示唆しています。イーサリアム相場を見てください。4月18日の崩壊にもかかわらず、このリーダー的アルトコインは、市場高値を更新して2,635ドルに達しました。もちろん、売りの波は過去にもありましたが、この一週間のETH の下げは、僅か約11%です。暗号通貨市場のイーサリアムへの参加者は、今年初めって以来、10.79% から14.49% と増えています。
    先週の要約ですが、ビットコインは50日平均線を下回ったので、まさに、警戒要因であり、さらなる売りを引き起こす可能性があることに私たちは気が付いています。 既に、前述したBTC dominance indexも下落です。しかし、32%に下落した2018の安値よりは、ほど遠いもです。別のインデックス、Crypto Fear & Greed Indexは、今週、78 から55 ポイントへ 下落、中央値圏内に近づきました。

 

今週の見通しに関しては、多くの専門家の意見の要約及び様々なテクニカルな方法とグラフ分析に基づき次のように言えるでしょう:

  • EUR/USD. 予想通り、欧州中央銀行は4月22日の会合で非常にソフトな政策を維持し、調整を行いませんでした。そして、クリスティーヌ・ラガルド総裁は、さらなるユーロ上昇を制限するために非常に努力しました。投資家は、彼女の声明からEU経済はアメリカより遅れをとっているため、ECBが米連邦準備制度よりも、後で財政刺激策(QE)の巻き返しを始めると結論づけました。(JPモルガンによれば、 ユーロ圏のGDPは2021年第一四半期で1%の下落の後、第2四半期に6%増加すると予想されています。米国では、それぞれ+5% と +10%です。)
     ECB は、欧州の輸出を妨げるユーロ高を好まず、現在のEUR/USD相場が非常に高いと懸念しています。しかし、ラガルド総裁は、このペアを下落へと反転させることができませんでした。さらに、米国連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長も4月28日水曜日に開催される理事会で同様の内容を発言する可能性があります。: 米国経済の回復ペースは、非常に素晴らしいが財政刺激政策削減の議論は時期早々です。
    ECBの次回の会合は、6月10日に開催され、この期間中に多くのことが起こる可能性があります。 ユーロは、ワクチン接種率の上昇とEUの経済回復により押し上げるでしょう。そして、米国債利回りが再び上昇しない限り、弱気筋もこのペアを下向きにできない可能性があります。
    ゴールドマンサックスのアナリストは、ユーロ圏の4大国は5月末までに人口の37%が予防接種をすると考えており、この数字は6月末までには、さらに54%になると考えています。結果として、銀行はEUR/USD の予想を$1.2100 から年末までに$1.2500と上げています。
    対照的に、直近のブルームバーグコンセンサスの評価では減少です。1月で言われた数値が1.2500なら、現在は1.2200です。この数値だと、さらなるユーロ高を示唆していますが。
    来週の主要イベントは、連邦公開市場委員会の開催と今後の金融政策に関する運営陣のコメントです。すでに述べたように、ジェローム・パウエル議長はクリスティーヌ・ラガルド総裁と同様の言い回しをする可能性が高く、米国債と米ドルをさらに押さえつけるかもしれません。
    来週のユーロの上昇は、60%の専門家が予想しており、グラフ分析、H4とD1のトレンドインジケーターの100%、オシレーターの85%が支持しています。残りのオシレーターの15%は、このペアの買われ過ぎのシグナルを出しています。レジデンスレベルは、1.2125、 1.2185で、ターゲットは2月25日の1.2245です。
    5月の予測に切り替えると、状況は急激に変化し、ここでは、D1のグラフ分析に支持された70%の専門家が既にEUR/USD が1.2000の水平を下回ると予想していることに注目しましょう。サポートは、1.1940、1.1865 、1.1800 レベル。弱気筋のターゲットは、3月末の安値1.1700です。
    来週の指標に関しては、連邦準備制度の会合とは別に、消費者市場統計に注目しましょう。: 4月26日月曜日にアメリカ- 4月26日月曜日にドイツ- 4月29日木曜日にユーロ圏。加えて、第1四半期のGDP指標が明らかになります。: 4月29日- アメリカ並びに4月30日-ドイツとユーロ圏;
  • GBP/USD. 多くの専門家は、成功したワクチン接種の人口数が英国経済の準備段階になると考えています。ここ数週間で制限が大幅に緩和され、パブやレストランは開店しています。マクロ統計が、励みになっています。しかし、ブレグジット関連の懸念、大規模な貿易赤字、イギリスの財政赤字がポンドを押し下げています。しかし、ドルもまた、下げています。おそらく、GBP/USDの予想が、むしろ 矛盾して見える理由です。: 45%の専門家は、上昇、35%が下落、残りの20%が横ばいを支持しています。H4のテクニカル分析も、同様に矛盾して見えます。
    D1に関しては、13ヵ月前から始まった上昇傾向のおかげで、ほとんどのオシレーター (65%) とトレンドインジケーター (85%) は上を向いています。グラフ分析もこのペアは1.40000を再度、突破しようとしていますが、その後は1.3670-1.3700 圏内のサポートへの下落を示しています。近似レジデンスレベルは、1.3920、近似サポートレベルは、1.3800です。;
  • USD/JPY. このペアの鍵となる指標は、米国債の利回りでした。来週、下落が続けば、その後のUSD/JPYは、さらに下落するでしょう。近似サポートは106.80-107.10 圏内で、もう一つは、200日移動平均線の 105.80付近です。
    専門家の意見は、先週のはじめに表明されたものに完全に一致しています。彼らの70% は、このペアは下落を続けると見ています。残りの30%は、上向き(レジデンスレベル108.35 と109.00)にリバウンドすると予想しています。H4のオシレーターでは、完全に一致していません。 - D1に関しては75%が赤、25%がこのペアの売られ過ぎのシグナルを出しています。両方のタイムフレームのグラフ分析では、まず、このペアは108.35のレジデンスまで上昇する可能性があり、そこからすぐに、その水準で跳ねて、急下落です。;

  • 暗号通貨. 多くの専門家によれば、暗号通貨市場におけるビットコインが占める割合は、投資家にとって大きな不安材料です。暗号通貨をリードするDominance index は、2017年当初、85%であり、崩壊前は45% に下落したことを思い出しましょう。現在、この数字は、ちょうど、50%を超えています。 悲観論者は、Coinbaseがナスダック取引所に上場する前のBTC/USD の上昇が、強気な急騰の最終ステージだったので、私たちは数年に渡るかもしれない新しい"暗号通貨の冬"の準備をする必要があるとしています。これは、BTC先物の大量清算によって確認されています。
    しかし、いつも通り、悲観論者がいれば、楽観論者もいます。例えば、Santiment のアナリストは、ビットコインのトレンドは、依然として強いと考えています。彼らは、"ディップを買う"や "ディップを買った"というツィーターでよく見かけるフレーズを分析し、このように結論にしました。ビットコインの価格が$51,000を下回り、安値での購入投稿は1週間で2,108ツィートを記録しました。これにより、Santiment のアナリストは、この修正は"一過性の問題"の何物でもないと結論付けました。
    しかし、2,000のツイッターユーザーが、市場に大きな変化を与えることはないでしょう。それより、はるかに重要なのは、結局、暗号通貨に興味のない機関投資家の感情です。この分野における規制当局の態度が明らかにならない限り、彼らが行動を起こさない可能性も高くなります。2020年秋に暗号通貨を購入した"クジラ"が現在のレベルで、利益を固める可能性もあります。: $45,000-50,000付近での価格は、彼らにとって許容範囲を超えています。しかし、新規大量購入は、とても危険です。


NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場での投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引は、リスクがあり、結果として入金した資金を全て失うことがあります。

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