FXと暗号(仮想)通貨の見通し 2021年5月3日-7日

まず、先週のイベントを振り返りましょう:

  • EUR/USD. 4月の最後の週は、3つのイベント: Fedの会合に並んで、米国とユーロ圏内のGDPの公表が注目されました。
    米連邦準備制度理事会に関しては、会合の結果は予測不能でした。金利は、0.25%で据え置きでした。量的緩和政策 (QE) は変わらずに、月額1200億ドルです。規制当局の責任者であるジェローム・パウエル氏は、前回の見通しでの私たちの記述と同様な発言をしました。: 米国経済の回復の速さは目を見張るものですが、財政刺激策の削減について話すには、まだ、十分ではありません。パウエル氏によれば、これまでのところ、すべては、むしろもろいものであり、インフレの速度は、一時的なもので雇用された人数は2020年の2月より850万人少ないままです。
    一方で、第一四半期の米国GDPは、予想よりも高い、6.4% (前回の第四半期に対して4.3%)に達し、1984年以来の良い状態を示しています。国の経済は、危機前の高さに到達するまでに僅か1%を追加するだけです。そして、おそらく、この指標には、7月に入る前に完全に回復する可能性もあります。
    このような強い統計は、米国債利回りを上げています。しかし、これは、ヨーロッパ債券も上昇しているので、それほどドルの助けにはなりませんでした。ドイツ10年債券利回りは、2020年3月以来の最高値です。
    危機前の指標への回復速度に関する米国とEUの間のギャップも、すぐに小さくなる可能性があります。ECB のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、4月28日に"EUでのワクチン接種のペースが加速した時にトンネルの先の光が十分に見えます"と述べており、経済の回復は、今年の下半期に回復すると期待されています。
    上記の結果として、EUR/USD における強気筋と弱気筋の戦いが一週間を通して変わりながら成功しています。強いインフレ期待は、ドルを下落させ続けています。ジョー・バイデン大統領は、莫大な金額を経済にあふれさせ続けています。議会によって既に承認された追加の1.9兆ドルの刺激策に続いて2.25兆ドルのインフラ開発と1.8兆ドルの社会的支援が順番を待っています。米国政権のこのようなステップの結果、ドルは下落、EUR / USDは4月29日木曜日に2か月ぶりの高値を更新し、1.2150に達しました。
    しかし、EUからは、ほとんどが目を見張るようなマクロ統計がなかったにしろ、ヨーロッパ通貨は、それでも金曜日には下落しました。さらにドルへの刺激となったのは、4月30日金曜日の夕方におこなわれたオークションです。米国財務省は、そこで1,306億ドル相当の債券を売却しました。この金融システムからの流動性の引出は、アメリカ通貨の追加サポートになりました。結果として、このペアは、週の初めを大幅に下回る1.2020の水準で5日間を完了しました。;
  • GBP/USD. このペアの先週の見通しでは、専門家の45%が上向き、 35% が下向き、そして、残りの20%が横ばいでした。
    彼らのほとんど (45%)が予想したとおり、ポンドは最初の4日間、そのポジション上げ、投資家は、GBP/USDが再び1.4000水準を突破し、2020年の3月から2021年の2月末のような安定した上昇に戻ることを期待し始めました。しかし、1.3975に達すると、その動きは停滞し、弱気の圧力が強まり、アナリストの35%が予想したように、週末には下落しました。米国財務省が開催したオークションの結果に後押しされて、ペアは1.3800のラインでローカルボトム達しました。これに続き、2、3回、小さなリバウンドがありましたが1.3810で終了し、直近9週間のピボットポイントと見なされました。つまり、専門家の20% が支持していた横ばいも納得されました。;
  • USD/JPY. 米国債利回りがこのペアの鍵となる指標であることは既に述べています。先週は、上昇しました。ドルは、円に対して高くなりました。結果として、USD/JPY は、109.00水準を上回り、145ポイント上げて、 109.30で取引を終えました。;
  • 暗号通貨. 7日前の見通しで、先週の強気筋の主な任務は、BTC / USDを50,000ドルの領域に維持することであると書きました。そして、彼らは困難を伴い成功しました。相場は、4月25日に$47,000に下落したにも関わらず、$50,000-55,000圏内に再び戻すことができました。投資家と投機家は、さらなる利益を期待して、底で積極的にコインを買い始めました。そして、暗号市場の時価総額は4月26日に1.750兆ドル水準でしたが、月の最終日には、既に2.110兆ドルに達しました。
    それほど多くではありませんが、ニュースも強気筋を助けました。つまり、ニュースポータルのコインデスクは、アメリカ金融大手JPモルガンが遂にBTCを中心としたファンドを立ち上げる決定をしたとレポートしました。レポーターは、このビットコインファンドは、夏に運用を開始することを知りました。
    ビットコイン-ETF の立ち上げは、ほかのサポート要因に役立つ可能性があります。しかし、米国証券取引委員会(SEC)は、VanEck の申請結果について6月まで延長しました。現在、ETFの着手申請は、合計で10件提出されており、規制当局は、調査の時間がさらに必要であると決定しました。
    したがって、ビットコインは$50,000付近でとどまりました。しかし、2020年10月以来、BTC/USDを持続サポートしていた50日平均線を上回る上昇には至りませんでした。相場が現在のレジデンスラインに近づくと、買いの動きが急に下がり始めます。そして、これは、投資家にとってむしろ警戒材料です。: 市場は、思案中でCrypto Fear & Greed Index は、中央値圏内:51ポイントレベルです。
    私たちは、ビットコインと共にこのような不確かな状況で多くの投資家がアルトコインに注目していることを繰り返し述べています。ビットコインは下落を続けています。時価総額に占める割合は、1月2日に72.65% 、4月23日に50.70% で、今月末はさらに低く、2018年7月以来の低水準: 47.87%に達しています。
    一方で、イーサリアムへの人気は続いています。CoinMetricsは、イーサリアムネットワークのハッシュレートが過去100日間で89%増加したと計算しています。 また、ETH/USD もビットコインと違い、4月29日には$2,790に上昇し、市場高値更新を続けています。

 

今週の見通しに関して、多くの専門家の意見の要約及び様々なテクニカルな方法とグラフ分析を基にすると次のように言えるでしょう:

  • EUR/USD. パンデミックの間、安全通貨となったドルの下げは、2.4%を越えるインフレ期待により促進され、2013年以来の高値を付けました。巨額の資金注入は米国のGDPの記録的な成長につながり、それに応じて、リスク感情と投資家の株式市場への人気が高まります。ダウ・ジョーンズマーケットデータによると、S&P500はジョー・バイデン米国大統領の就任100日間で11%上昇しました。これは1933年のフランクリン・ルーズベルト大統領以来のとても良い結果であり、1929年以来、平均して株式指数が年3.2%上昇しました。
    一方で、世界で最もパワフルになりはじめた米国経済は、他国の経済を引き上げ、回復へのスピードの差を縮めるでしょう。ドルも米国債利回りに支持されるはずです。
    今のところ、来週の予想では、専門家の60%がEUR/USD は再度上昇を試みると期待しています。近似レジデンスは、1.2055 と1.2100、ターゲットは、4月29日の高値1.2150です。D1の70% のオシレーターと75%トレンドインジケーターはこの予想と一致しています。残りの30% のオシレーターは、ニュートラルのグレーです。
    週間から月次予想に代わると、専門家の意見は、大きく変化します。ここでは、75%がドル高とこのペアの1.1900へ下落、そして、さらなる100ポイント下落を待っている状態です。弱気筋のターゲットは、3月31日の安値1.1704です。
    D1のグラフ分析は、このペアの1.1945-1.2150での取引幅を示しています。同時に、H4に関しては、このペアはこのチャンネルの下値支持線まで下落してから上に跳ね上がりです。
    来週のイベントですが、アメリカのISM製造業景況指数(5月3日)とISM非製造業景況指数(5月5日) は注目すべきでしょう。私たちは、米国の雇用者データーも待っています。: ADPレポートは、5月5日水曜日に発表され、非農業部門雇用者数 (NFP) は、5月7日金曜日にわかります。
    ヨーロッパ消費市場は、5月3日と6日に投資家を喜ばせる可能性が高いかもしれません。ドイツ小売売上高の下落は、-9.0% から -3.15%へと縮小されることが予想されています。ユーロ圏全体としての小売売上高は、予想によれば、-2.9% から + 9.4%へと上昇する可能性があります。;
  • GBP/USD. 英国通貨の主なイベントは、5月6日木曜日の金融政策を議題とするイングランド銀行の会合でしょう。金利は0.1%にとどまる可能性が最も高いです。量的緩和政策に関しては、国債の購入額が8,950億ポンドから8,750億ポンドに減少する可能性があります。これが起これば、市場は、政策の引き締めをはじめるイギリス当局の意図についてのシグナルを受け取ったことになります。
    銀行はまた、国の景気回復の速度に関する予測を修正する可能性があります。これには多くの理由があります。つまり、英国の失業率は、第1四半期に5.0%から4.9%に0.1%減少しました。国内ではすでに約3000万人がワクチンを接種しており、そのうち250万人以上がCOVID-19に対するワクチンを2回接種しています。封鎖制限も一部解除されています。これら全てがポンドにはプラス材料でGBP/USD は、再び上昇するかも知れません。これは、H4とDIのグラフ分析の予測によって確認されています。
    テクニカルインジケーターに関しては、むしろ、ここ数週間は横ばいのためD1でははっきりしません。H4では、当然、ほとんど赤ですが、25%のオシレーターは売られ過ぎのシグナルを出しています。
    専門家に関しては、60%の専門家が、このペアが少なくても1.4000水準に上昇すると予測しています。それを突破すれば、次のターゲットは1.4240です。近似レジデンスレベルは、1.3860、1.3925 、1.3975です。
    残りの40% のアナリストは、弱気側です。主なサポートは、1.3670-1.3700圏内、それから- 1.3600です。;
  • USD/JPY. 専門家の意見は、先週初めのものと全く同じです。70% は、再び、下落、109.00のラインを下回るでしょう。次のサポートは、 108.40 と 107.45です。残りの30%のアナリストは、上昇を続けると予想しています。 レジデンスレベルは、110.00、ターゲットは、さらに100 ピップスあがって111.00です。
    インジケーターに関しては、H4の75% のオシレーターと100%のトレンドインジケーター、D1では70%と 95% が緑です。残りのオシレーターは、このペアが買われ過ぎであることを示しています。両方のタイムフレームでのグラフ分析は、このペアが107.45まで下落することを示しています。;
  • 暗号通貨. つまり、このレビューのはじめに述べた通り、BTC/USDは、4月の最終日に50日移動平均を超えることができませんでした。そして、これで投資家は目覚めたようです。特に、このペアが$10,000を突破した昨年10月の初め以来、はじめてこのラインを下回った下落のためです。
    Bitcoin Dominance Indexも 50%下回り、機関投資家を惹きつけ、機関車のように暗号通貨市場全体を引き上げました。
    多くのアナリストによれば、これらの材料を総合してみると、暗号通貨の冬がはじまった2018年1月の状況に非常に似ています。
    しかし、悲観論者と一緒に、楽観論者の声がたいてい聞こえてきます。つまり、PlanBとして知られる人気のある暗号通貨アナリストであるstock-to-flowモデルの設計者は、現在の下落は全くの想定内であり、強気傾向を確認するにすぎないとしています。アナリストは、上昇を続けることだけでなく、時には、引き戻すことがあると強調しました。: “引き戻しがない上昇はありません。ビットコインは、既に6ヵ月上昇を続けています。これは、2013年と2017年に見られた中間サイクルの修正に似ています。”
    PlanB は、“ある程度は、落ち着いた”とさえ述べました: 市場は過熱しすぎており、今は、少し “冷める”ことを待っているところです。 さらに、ビットコインのレートは、S2Fモデル予測より下回っており、上手く上昇が続く可能性があります。
    ベンチャーキャピタル事務所のPantera Capital のCEOであるDan Morehead氏も前向きです。 彼によれば、投資家が従来の商品よりもより効果的に暗号通貨で資金を保有できることを理解すればするほど、BTCは、さらに上昇するでしょう。
    Pantera Capitalの責任者による計算では、BTCの価値は、100万人の新規ユーザーがネットワークに登録するたびに200ドルを上昇します。このようにダイナミックな主張者は、2022年の暗号通貨の価格は、200,000 ドル近づくか、あるいは超えるだろうとみています。
    Dan Moreheadによると、ビットコインの普及は、とりわけ、スマートンフォン利用者数の増加によるものです。現在、世界の約35億人が、このようなデバイスで、いつでも、どこでも、ビットコインを利用しています。


NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場での投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引は、リスクがあり、結果として入金した資金を全て失うことがあります。

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