まず、先週のイベントを振り返りましょう:
- EUR/USD. 6月16日水曜日の米連邦準備制度理事会の会合は今週のカギとなるイベントでした。そこでは、特に重要な決定はなされませんでした。: 利回りは据え置き0.25%のままです。連邦準備制度理事会は、紙幣の増刷も続け、前回の1200億ドルの資産買戻しをする予定です。しかし、予想通りに会合の後は、当局のロードマップが公表され、ドルの強気派が待っていた結果となりました。
連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長と委員は米GDPの予想を7%に引き上げ、金融刺激策(QE)削減プロセスの必要性も認めました。連邦準備制度理事会は、1990年以来、最も高いインフレ率の早さに目をつぶるつもりもありません。しかし、パウエル議長によれば、労働市場は、未だに、危機前のレベルには程遠いため、現状は堅調な財政状態の維持をすることを助言しています。これに続く会議で、当局はQEの削減について検討するでしょう。議長は、また、次回の7月28日の会合で雇用レベルを設定、することになるでしょう。
投資家も予想より早く利上げのサインを受け取りました。連邦準備制度理事会の幹部による平均的な予想は2023年末までの段階的な0.5-0.6パーセントの利上げでした。一方で、ジェローム・パウエル議長はワクチンが労働市場に効果的であることに注目しているので、すぐに強い雇用レポートを見ることになるでしょう。インフレーションも中央銀行が予想していたよりも、より強く、より安定している可能性があります。そして、これは起きていることにより敏速な反応を必要とするでしょう。
連邦準備制度理事会のこのような"タカ派" 予想は、すぐに市場のドル選好を呼び戻しました。投資家は、マクロ統計が弱いにも関わらず、インジケーターは米国経済回復に従い上向きになると考えて米ドルの購入を続けました。
先週、難色を示した主要通貨の一つは、ユーロでした。ヨーロッパ経済は、とにかく、アメリカほどの早さに追いついていません。また、欧州中央銀行のチーフエコノミスト Philip Laine氏によれば、ユーロ圏内における量的緩和政策の段階的縮小プログラムの議論については9月でも時期早々でしょう。
その結果、EUR/USD は6月16日1.2125の高値からスタートし、280ポイント突き上げ、6月18日金曜日1.1845の安値を付けました。最後は、10週間ぶりの圏内で1.1865でした。; - GBP/USD. ユーロがドルに対して、280ポイント下げたのに対し、ポンドはドルに対して、さらに大きく340ポイントを譲りました。イギリス通貨についての前向きな感情は、この国のボリス・ジョンソン首相が国家事業の開始をすべて一ヵ月遅らせることで霧のロンドンのように溶けています。これは、インドで最初に発見され、入院のリスクが2倍のデルタコロナウィルス株の増加のためです。これは、この国の成人人口の約80%がすでに1回のワクチン接種をしており、30%が2回目のワクチンを接種しているにも係わらずにです。
ポンドは、また、ブレグジット後、ロンドンとブリュッセルのさらなる不安定な関係から圧力にさらされています。これは、とりわけ、北アイルランドとイギリスの残りの地域での貿易に当てはまります。
この喜ばしくない背景に対して、6月16日の連邦準備制度理事会によるもう一つの打撃がありました。この結果、ポンドは、1.3790水準までに下落し、ここからさほど遠くないところで取引のセッションを終えました。; - USD/JPY. 過去5日間の予想では多くの専門家(60%) が、ドル高で110.00-110.30圏内にこのペアが上昇すると支持しました。そして、この週の結果を見てみると彼らは正解でした: 109.70で開始し、110.20で終了しました。
ジェローム・パウエル議長と米連邦準備制度理事会の委員たちの発言が米ドル/円の動きに影響を与えざるを得なかったことは明らかです。: 110.80の高値を付けました。ドル高に加え、日本の弱いマクロ経済統計が円に圧力を加えました。 つまり、4月のエンジニアリング製品の受注の伸びは予想の2.7%に対して、+ 3.7% から+ 0.6%へ減速しました。もちろん、年間の割合は6.5% まで伸びましたが、予想の8%よりは依然低いことが判明しました。
残りの主要通貨が下落する中、日本通貨はドルに対して最大の反発を示しました。ユーロ、ポンド、ほかの通貨が下落を続けているときに、日本円は対照的に約60%の損失を取り戻しました。多くのアナリストによれば、この理由は、市場のリスク選考が低く、投資家のより安全な資産への選好が増加したためです。; - 暗号通貨. ニュースが暗号通貨レートにかなりのインパクトがあることは以前から明らかです。しかし、この市場のさらなる強力な動きは、巨大投資家によるものです。先週は、どちらもありませんでした。それどころか、暗号通貨時価総額は、1.585兆ドルから1.560兆ドルへと僅かに減少しています。つまり、インフルエンサーと規制当局の情報源が残っているということです。
前者に関しては、イーロン・マスク氏の再度のツイートです。今回、テスラ社のオーナーは、マイナーの少なくても半数が再生エネルギーに切り替えるなら、ビットコインでの電気自動車の販売を再開すると述べました。CoinGeckoによれば、ビットコインは、このツイートで12%上昇です。
このツイートに、金融会社Sygnianの責任者である Magda Wierzycki氏が批判的反応をしていることには注目です。彼女はポッドキャストTheMoney Showで、テスラの創設者がビットコインの価格を操作していると述べました。彼女の見解では、ビリオネアはビットコインの価格を引き上げ、彼のポジションが非常に高値の時に引き揚げています。SygniaのCEOは、マスク氏の公共での発言が、既に米国証券委員会 (SEC)のターゲットになっていることを強調しました。
さて、規制当局についてですが、ニュースは世界中から集まっています。つまり、チュニジアのAli Kuli 財務大臣は暗号通貨所有者“解禁”に対するこの国の法律の変更の必要性を公表しました。インド政府もビットコインへの怒りを寛大な措置へと変更しました。現在、ビットコインに関しては、チュニジアのように禁止ではなく、規制に向かっています。テキサスの(USA)の銀行は、暗号通貨取引同様に消費者のビットコインの受け入れと保管を許可しています。全米でテキサスが2019年に早くもこの市場の規制に動いた最初の州であることは注目すべきでしょう。
エルサルバドルでも同様なことがありました。この国のナジブ・ブケレ大統領は、"ビットコイン法" を議題として提案しました。法案の下では、暗号通貨は法定通貨として認められ、企業は支払いにビットコインを認めざるをえなくなります。それに加えて、ビットコイン取引はキャピタルゲイン課税控除になります。
しかしながら、ヨーロッパの公人の一部はデジタル資産を支持しなくなりました。つまり、オランダ経済分析局長のピーター・ハセカンプ氏は、マイニングやビットコインの取引に関する全面禁止は、すぐに、課税されるべきだと述べました。彼の見解では、ビットコインには実質価値はなく、犯罪環境で利用され、暗号通貨市場崩壊は避けられません。
しかし、最新動向ではハセカンプ氏は、少数派です。多くの規制当局は、デジタル資産の管理を試みようとしています。偉大なるドイツのオット・フォン・ビスマルクは、“敵を打ち砕けないなら、導き出そう”と19世紀に繰り返すことを好んでいました。
ニュースにより拍車がかかった強気筋は、巻き返しを望み、BTC/USDは、週初めに反発、6月15日火曜日に$41,260を付けました。しかし、連邦準備制度理事会の後のドルの急騰で上方に反転、週末には、このペアは$36,000以下に戻りました。
ビットコインdominance index は僅かながら、44.03% から45.33%へ上がりました。Crypto Fear & Greed Indexでも、同じことが起こり、21 から 25 ポイントに上昇しました。5月末にBTC / USDが横ばいになり、 20-ポイント幅を超えたことがないことに注目しましょう。
多くの専門家の意見やテクニカルとグラフ分析を要約した今週の見通しに関しては、次のことが言えるでしょう:
- EUR/USD. EUR/USDの下落は、下方への反転を意味するのでしょうか ? もしくは、すべてがすぐに元通りになり、ドルは退くことになるのでしょうか? (2016年と2017年の節目では、この2通貨はほぼ同等であったことを思い出しましょう。そして、僅か1ユーロ、$1.034だったのが、一年後には$1.2565でした)。
連邦準備制度理事会のコメントを受けて、一部の銀行はユーロに対する強気予想を取りやめはじめました。ほかは、一服。依然、ソシエテ・ジェネラルなどは、1.2000に戻ることを期待しています。専門家たちの意見は、ほぼ等しく分かれています。: 55% は、さらなる下落、H4のグラフ分析に支持されている45%は上昇を示唆しています。後者によれば、反転傾向について話すのは時期早々であり、追加確認が必要であり、連邦準備制度理事会の発言の憶測の結果として起こりえる崩壊がロングポジション決済を導きかねないとしています。
テクニカル分析の値は次のとおりです。: H4とD1のトレンドインジケーターの100% とオシレーターは、赤です。しかし、同じく、二つのタイムフレームでの35%のオシレーターは、既に買われ過ぎで、上方修正の可能性をしめしているかも知れません。
このペアは先週、2017年以来時々起こる強いサポート‐レジデンス圏内で終わりました。近似ターゲットは、2021年3月31日の安値1.1700、次は – 2020年4月4日の安値1.1600です。強気筋は、失ったポジションを取り返そうとするでしょう。最初の重要なレジデンスは、1.1985-1.2000 圏内で、次は、100ピップス高いものになります。目標は、5月の高値1.2265の更新です。しかし、明らかに、一週間以上かかるでしょう。 そして、中期予想へと移してみると、強気筋優勢の数字は45%から60%へ上昇します。
来週の戦略的重要ないイベントに関しては、6月21日月曜日と6月23日水曜日の欧州中央銀行のクリスティーヌラガルド総裁のスピーチ、6月24日‐25日の欧州委員会の会合に並んで6月22日の連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長のスピーチは注目に値するでしょう。さらに、6月23日のドイツマークイット事業活動データーに続いて、翌日には耐久財受注と米国の年間GDPが発表されます。; - GBP/USD. 6月24日イングランド銀行の会合があります。このイベントの準備中に、専門家は規制当局の動きで可能な予想をするために入手した経済データー分析を続けます。
このレビューの最初の部分で述べたように、マイナス要因は、ブレグジットから生じる労働力不足のリスク、北アイルランドでの論争、およびコロナウイルスの新種株に関連する課題が含まれます。
総体的に明るいマクロ統計を背景に、イギリスの小売業は、特に食品が予想以上に落ち込んでいます。これはこの国の5月と2021年第二四半期のGDPの上昇が、予想以上に強くないであろうと考えられる一つです。
先週水曜日に発表されたレポートは、この国の全体的なインフレーションは上昇押しており、消費者物価指数は、年2.1%まで上昇し、2年ぶりに2%の目標を上回りました。
これに加えて、プラスのイギリス労働市場データーが6月15日に発表され、イギリス銀行は量的緩和政策(QE)の将来的に予想可能な段階的縮小の動きについて議論開始が予想されます。規制当局の特定の金融ステップに関しては、ヨーロッパとアメリカは急激な変更はせず、-金融政策の変更なしでクレジットのパラメーターを残す可能性があります。繰り返しますがイングランド銀行の運営陣は、米国連邦準備制度理事会と同じようなタカ派発言を除外していません。そして、彼らは、同じように英国通貨を押し上げるかも知れません。
55%の分析者は、D1のグラフ分析を支持しポンドの上昇を期待しています。さらに、7月から8月の予測へ移ると、その数は70%に増加します。テクニカルインジケーターの値は、EUR/USD にとても類似しています。: 両方のタイムフレームで100% すべてが下向きです。事実、35%ではなく、25%のオシレーターが売られ過ぎエリアです。近似の強気サポートは、1.3670-1.3700圏内、続いて、1.3600です。レジデンスは、 - 1.3920、1.4000、 1.4150 、1.4250; - USD/JPY. 近い将来の予想では、多くの専門家 (65%) は、ドル高と111.00以上を支持しています。 85%のオシレーターとD1の95%のインジケーターは、彼らを裏付けしています。H4に関するグラフ分析もこの予想を認めていますが、109.70-109.80でのサポートによりこのペアの押上げは排除できません。
残りの35%のアナリストは、D1のグラフ分析と一緒で、このサポートが円高に重要な障害になることはなく、 USD/JPY が108.00-108.55圏内に下落すると見ています。; - 暗号通貨. Crypto Fear & Greed Indexは、ほぼ一ヵ月不安領域から出ていません。 4月‐5月の相場崩壊の恐れにより、多くの、特に、小売り、投資家、トレーダーは、ほんの少しでも危険のサインがあると利確をし、BTC/USDは重要な心理レベルである$40,000以上の足固めを妨げています。
そして、ドルへの関心を高め、株式指数を反転させる米国連邦準備制度理事会もあります。S&P500チャートとBTCチャートは相関関係を比較すれば十分であり、多くの専門家によれば、現在は、さらに高くなっているだけです。
株の売りが活発になると、ビットコインは不調になり、機関投資家にとって、よりリスクの高い資産です (アルトコインは言うまででもありません)。
もちろん、ヘッジファンドがリスクだけでなく、デジタル資産投資の恩恵も理解しています。そして、ファイナンシャルタイムによると、彼らは、2026年までに暗号通貨の持ち分を"実質的"に増やす意向です。しかし、まず、2026年は、そう近くはありません。また、次に、この"実質的" は、それほど"中身のある"ものではありません。インタートラストが実施した100のヘッジファンドの調査によると、平均して、投資ポートフォリオの7.2%まで暗号通貨を組み込んでおり、その金額は約3120億ドル、つまり、暗号通貨市場の現在の量の約20%になります。5-6年以上のこの種の上昇は、十分控えめであることに同感です。
チューダーインベストメントヘッジファンドの創設者であるポールチューダージョーンズ氏は、依然CNBCのインタビューで彼の資本は、金、ビットコイン、先物、現金をそれぞれ5%ずつであると述べていました。ビリオネアは6月16日の米国連邦準備制度委員会の会合での分析結果後、残りの80%をどうするか決める予定でした。彼は、金融当局が、“とても重要な”最近の消費者物価指数を無視すれば、“インフレーション”関連商品が上昇するとほのめかしました。会合は終了し、おそらく、すぐに、チューダーインベストメンの最終的な投資ポートフォリオの中身がわかるでしょう。
上記では、アプローチに注意を払っている結果にもなっているのにかかわらず、機関投資家は暗号通貨市場の可能性を信じ続けています。もう一人のビリオネアCapital Management創設者であるマーク・ラリー氏は 暗号通貨は既に形になっていて、脅かすものは何もないと述べています。“市場は作られ、どこにも消えることはない” と彼は信じています。
また、ビットコインを6か月以上所有している人たちは、2020年10月以降に売りよりも買いが多いので楽観的です。そして、クジラ(100 BTC から 10,000 BTCのウォレット) は、34億ドルで先月およそ90,000 コインを購入しました。
このような楽観主義者には、ベンチャー投資家でありビリオネアのティム・ドレイパー氏が含まれています。2018年に戻ると、彼は2022年までにビットコインが$250,000に上昇すると予想しました。 そして、彼は、少し遅れたとはいえ、現在の予想を発表しました。彼の発表によれは、急激な価格変動はあるものの、ビットコインは、2022年末、あるいは、2023年初めに$250,000をつけるでしょう。ビリオネアが言い放した上昇理由は、依然、同じです。: コインの排出は限定されており、インフレーションからの守りのためにビットコインの需要が高くなっています。
そして、レビューの最後には、いつもの暗号通貨ライフハックです。今回は、最近、別の独創力を考えだしたヒーロであるエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領です。彼は国営電機会社であるLaGeo の責任者に"非常に安価で、100%クリーン、100%再生可能、排出量ゼロ"…国内の20以上の火山のエネルギーでビットコインのマイニング計画を立てることを指示しました。…つまり、あなたが活火山を所有しているなら、エルサルバドルの例に従うのもいいかも知れませんね。イーロン・マスク氏も喜ぶでしょう。
NordFX Analytical Group
注意: これらの資料は、金融市場での投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引は、リスクがあるため入金した資金を全て失う可能性もあります。
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