2021年8月16日-20日のFXと暗号通貨の予想

EUR / USD: インフレに注目

  • 先週の予想が、100%その通りになりました。専門家の70% がEUR/USD は再び三月下旬の安値1.1700を試すと言っていたことを思い出してみましょう。 そして、早速、水曜日には1.1705 水準に値を下げました。しかし、アメリカ通貨をさらに強くするまでの原動力には至らず、週の後半では逆に上げる動きとなりました。

    8月13日(金)は、週高値1.1800 支持し、5日間の取引は1.1795で終え、ここ数ヶ月の記録的な上昇率の高さでした。これは、アメリカ取引時間内でのミシガン大学消費者信頼感指数が: 80.2 から 70.2ポイントという2011年12月の最低水準に急落したことによるものです。この指標は、消費者調査に基づいた経済成長に対する消費者の信頼度を測定しています。簡単に言えば、消費者の購買意欲の評価になります。また、大学によるほかの評価も、予想を下回りました。

    米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融刺激策(QE)を縮小し、金利を引き上げる時期は、インフレの加速と米国労働市場の完全なる回復に直接起因するものだと度々、強調してきました。しかし、アメリカ人の購買意欲の低下で、インフレ促進とFRBの目標を達成できないということが判りました。

    ミシガン大学の期待外れのデータ-を背景に、DXY dollar indexは、 92.50まで落ち込み、ダウ・ジョーンズとS&P500は、再び、高値更新で、それぞれ、 35612.25と4467.13をつけました。

    興味深いことに、米国株価指数は経済指標の発表により投資家を喜ばせるときも、逆に落胆させるときも共に最近では上昇しています。これは、金融刺激策の巨額のドルが市場に流れていることが要因のようです。特に今は、FRBの金利が非常に低いため、単に投資家は、お金の預け入れ先に困っているのです。つまり、株式に投資するしかないのです。

    しかし、金融刺激策の終了時期であるとした“タカ派”の声は、米国中央銀行内部からも益々聞こえてくるようになっています。ロイターの専門家43人のうち28人によると、FRBは9月に政策の縮小開始を発表すると考えています。回答者の1/3は、これついては、11月‐12月であると考えられています。調査対象の専門家の60%によれば、資産購入の縮小は2022年の第一四半期に始まるだろうとしていますが、ほかのほとんどの人は、もっと早い、今年の第4四半期だろうと考えています。T

    金融刺激策の縮小が始まれば、株式市場からの資金流出やドル高になる可能性は非常に高まります。しかし、今のところ時期がはっきりせず、専門家の意見にも確証がありません。今後のEUR/USD の見通し評価については、上昇が30%、下落が35%、1.1800の水平線での横ばい傾向の支持となっています。

    インジケーターにも統一性がありません。13日(金)の急騰の後は、グラフ分析を含めてほとんどのインジケーターで緑色になっているのは明らかです。しかし、ここでも、また、オシレーターの25%が買われ過ぎのサインを示しています。 D1に関しては、オシレーターの1/3が緑、1/3が赤、1/3がニュートラルグレーで、どの色にも優劣をつけることはできません。D1のトレンドインジケーターに関しては、ほとんど(65%) が、中期的な下降トレンドの継続を示しており、このペアが再度、強い1.1705のサポートを試すと考えています。もし、成功すれば、1.1600-1.1610圏内の強いサポートに直面することになります。 そして、強気筋が勝てば、その後のレジデンスは1.1840、 1.1910 、1.1975となります。

    トレンドに影響を与える可能性のある来週のイベントで注目すべきは、ユーロ圏のGDP第2四半期のデータ、およびアメリカの小売売上高とインフレ率のデータの発表です。これらの発表は8月17日(火)にあります。翌日の8月18日には、米国FRBのFOMC議事録が公表され、専門家たちは、金融緩和政策の終了時期について、ハト派とタカ派のどちらが優勢なのか判断しようとするでしょう。

GBP/USD: 霧のかかったロンドン

  • 予想通り、8月12日(火)に発表されたデーターはマイナス1.6%からプラス4.8%という2021年第2四半期のイギリスの強い成長率を示しました。しかし、これは予想と完全一致のため、市場に特別な印象を与えることはありませんでした。ただ、ミシガン大学のデーターによりGBP/USDが1.3790から1.3875へと85ポイント上がったことで、取引セッションは、開始時とほぼ同じ1.3868付近で終了しました。

    このデーターの発表前は、多くの専門家がこのペアの7月下旬から始まった下方トレンドが継続すると予想していました。コメルツ銀行のスペシャリストは、6月21日の安値1.3786を最初のサポートとし、これを破った後の7月2日の安値(1.3735)と4月12日の安値(1.3669)にまで下げ続けるだろうと見なしていました。目標は、7月20日の安値1.3571です。

    同様のシナリオは、シンガポールに拠点を置くOCBC銀行のアナリストたちからもあり、1.3779と1.3732水準を指しています。フランスのソシエテ・ジェネラルのエコノミストも同じ考えで、ドル高ポンド安がGBP/USD を1.3750に下回らせると考えています。

    しかし、まだ、このようなことは起きていません。そして、クレディ・スイスの専門家の意見がここでは適切でしょう。これによれば、このペアは強気な反転のパターンを完全に形成しています。しかし、上昇を続けるとなると、1.3895を超える必要があります。そして、次の目標は、55-DMAが1.3920を超えたあたり、それから、1.3978-1.4010圏内になるでしょう。

    指標の読みに関しては、"仲間"である前述のEUR/USDと似ています。 H4の緑色にはいくつかの利点がありますが、現時点ではこのシグナルに誘導されることはないでしょう。

    来週のポンドの重要なマクロ統計は、8月17日(火)の英国の労働市場に関するデーターと8月18日(水)の消費者市場に関するデーター発表です。しかし、両方のデーターが前向きであったとしても、QE縮小への時期についての明確なシグナル待つ必要は、まだ、なさそうです。

USD/JPY: 国債利回りに続いて下落

  • 先週のこのペアの予想を“国債利回りに続き上昇”とみていました。現在は、一つ言葉が"上昇" から"下落"へ置き換えられています。

    前回のタイトル自体は、完全に妥当でした。予想通り、USD/JPYは週の前半は上昇し、8月11日には110.80の高値に達しました。しかし、その後 は“何かが上手くいかず”、このペアは反転し、下落、最終的に109.55でした。まず、理由としては、前述で繰り返しているとおりです。 安全通貨である日本円のさらなる利点が米国債10年利回りによって与えられたのです。このインジケーターは、4.5%まで急落し、週最低値の1.3%でした。

    USD/JPY は、重要なラインである110.00 を大幅に下回り5日間を終え、専門家はドルにとっては良い兆しであると述べています(もちろん、極めて短期についてです)。つまり、アナリストの45%は、下方トレンドの継続、残りの45% は横ばい傾向、僅か10% は、このペアが再び上昇すると考えています。

    トレンドインジケーターに関しても、明らかに赤が優勢です。: H4では100%、Dでは75%です。H4のオシレーターでは、上向きが一つもありません。確かに25%はニュートラルなポジションですが、下を向いている75%のうち、ほぼ半分は売られすぎ圏内です。D1の65% は下向き、20% が横向き、15% が上向きです。

    サポートレベルは、109.35、109.05、108.70で弱気筋目標は、4月の安値107.45を再び試みることです。レジデンスレベルでは、110.00、110.55、 110.80、111.00、111.65圏内です。強気筋の最終目標は、依然、変わらず、: 念願の高値112.00につけることです。

    今週のイベントでは、日本の2021年第2四半期GDPの速報値(予想: マイナス1.0% からプラス0.2%へ増)があります。 しかし、今まで通り、このペアには、ほとんど影響はないでしょう。主な焦点は、米国マクロ統計にあるに違いありません。そして、現在のトレンドを破り、再び上昇する可能性もあります。

暗号通貨: 暗号通貨の春が本格的に到来

  • “投資家は暗号通貨の凍結が過ぎ去り、冬に代わって春が直ぐにでも来ることを願っています。” – これは、前回のレビューで市場の様子について表したものになります。先週は、春の気分が損なわれることはありませんでした。ビットコインは、7日間で約12%上昇、この執筆時点では$47,800 に近づいています。暗号市場の時価総額は、同じ期間で1.67兆ドルから1.957兆ドルに増加しており、再び2兆ドル台を超える日も遠くなさそうです。Crypto Fear & Greed Indexに関しては、最終的に中央のゾーンから緑の部分へと移動し、52ポイントから70ポイントへ上げました。同時に、強い修正が予見されるような深刻な買われ過ぎの状況は、まだ先のようです。また、これは投資家に高値更新日の到来を期待させています。

    もちろん、楽観主義者もいれば、市場には悲観論者もいます。その中には、著名な専門家も含まれています。例えば、ブリッジウォーター・アソシエイツの創設者でビリオネアであるレイ・ダリオ氏は、ビットコインの成長を否定していませんが、依然として金を好んでいます。ダリオ氏は、"非常に少量" のビットコインの保有をしていると述べています。 “頭に銃を突き付けて、どちらか一つ選ぶとしたら、私は金を選ぶでしょう” と彼は述べています。

    ゴールドマン・サックスのデビッド・ソロモンCEOや同じくJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン氏といった評判の良い銀行家たちは、暗号通貨の批判を続けています。しかし、一方で彼らをはじめとする多くの銀行では、デジタル資産関連のサービスを積極的に導入し続けています。また、JPモルガンのアナリストは  BTCが年内、早くにも$146,000 に上昇すると予測していました。

    貴金属と暗号通貨、どちらに投資すべきかという論争は収束していません。一方で、単純計算ではビットコインが明らかに有利です。金の価格は過去10年間で約5.5%下落しています。ビットコインは、同じ期間で571,000% の上昇を成し遂げています。つまり、当初、ビットコインに2ドルだけ投資していれば、今頃、億万長者です。この5年間だけでも、金はビットコインに対して25倍も値下がりしています。

    数字がそれを物語っています。しかし、投資の信頼性は、忘れることはできません。2010 から2015にかけては、金の価格は最大下落を経験し、5年間でおよそ40%の損失でした。 しかし、今年の4月-5月のチャートを見れば、ビットコインもわずか4週間で同じ40%を失っています!

    暗号通貨の投資には、強い精神力と十分な余裕が必要となります。暗号通貨の急激な崩壊時に、パニックになってコインを手放す人がいます。一方で、このような反発を絶好の買いのチャンスとする人もいます。

    リサーチ会社Fundstratのトム・リー氏によると、暗号通貨投資の “ゴールデンルール” は、相場が200日移動平均線(MA 200)を下から上に越えるたびにビットコインを買うことだそうです。2017年以来、5件のうち3件は、この線を超えた日足が閉じると取引量が徐々に増え、4か月から1年にかかる長期的な上昇トレンドになりました。失敗した2件もトム・リー氏によると、BTCのレートが損失からトレーダーのポジションを守るために十分な上昇をしたためであり、彼の"ゴールデンルール"が取り消されるわけではなかったとしています。

    トム・リー氏も、2022年のビットコインは$100,000-120,000 範囲であるという予想を繰り返しています。ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアストラテジストであるマイク・マクグローン氏も、最新のレポートで同じく$100,000 レベルを指しています。 “ビットコインは、2019年初めの$4,000と同じように$30,000で支持を受けたようです。 これと類似性が見られるので、どうやら、ビットコインは$100,000に達するかもしれない" と彼は記述しています。

    別の三人の暗号通貨の専門家は、より消極的な予測をしています。有名な暗号通貨アナリストであるウィリー・ウー氏は、ファンダメンタルに基づくビットコインの適正価格は$53,200と考えています。しかし、彼は、ファンダメンタル要因は短期的な予測には適さず、十分に時間をかけることで完全に正当化されると警告していました。

    もう一人のアナリストであるウィル・クレメンテ氏は、ウー氏の意見に賛同しており、Glassnode分析プラットフォームのビットコイン流動性データーに基づき7月31日に$53,000の上昇を予測したと述べました。Crypto Dog というニックネームで知られている暗号通貨ストラテジストは、これらの予測を裏付けました。彼の考えでは、"ビットコインは、すぐに、$50,000 になるだろう"ということです。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。

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