EUR/USD: ドルの下落とリスク選好の高まり
- 多数派が常に正解とは限りません。つまり、先週、EUR/USD が1.1900に上昇とすると意見した専門家は 僅か30%でした。しかし、彼らの判断が正解でした。 9月3日(金)のアメリカの労働市場のデーターが発表されると、このペアは1.1908に急騰し、1.1880で5日間を終えました。ジャクソンホールでのパウエルFRB議長のハト派的発言や財政刺激策(QE)の縮小開始時期が不透明で米国通貨の下落は続いています。
FRBの経営陣は、刺激策の縮小条件として持続的な雇用状況の向上を挙げています。しかし、水曜日に発表された米国の民間部門雇用件数の推移に関するADPデーターは、予想の61万3000人ではなく37万4000人と、予想を大幅に下回るものでした。同じく重要な指数である8月の非農業部門新規雇用者件数(NFP) も悲観的な見方に拍車をかけました:予想より実際は3.2倍低い数字 (750,000ではなく、235,000) 。7月のNFPが1,053,000であったにもかかわらずです。これらは、米国経済回復のペースの落ち込みを強く示唆しているため、財政刺激策縮小の開始、さらにはドル金利の上昇を語るには時期尚早になります。
その結果、DXY ドルインデックス(主要6通貨バスケットに対するUSDの比率)が、8月20日以降、92.07から93.63 へ下落する一方で、対照的に市場のリスク選好は高まりました。S&P500 株価指数は市場高値の更新を続けており、現在、チャートは右肩上がりです。これは、マーチンゲール法を基にしたエキスパートアドバイザーが描いたものに非常に似ています... 崩壊するまでの。多くの専門家は、株式市場も将来バブルが弾けると予測しています。
EUR/USD の今後については、調査対象の専門家のうち35% だけが上昇を続けるとし、20% が下落の意見です。残りの45% は、量的緩和政策の縮小開始に関する米連邦準備制度委員会の明らかなシグナルを待ち中立な立場です。
D1のインジケーターは、次のとおりです。オシレーターでは、85%が上向き、残りの15%が買われ過ぎのシグナルを示しています。 トレンドインジケーターでは、75%が上向きです(1週間前は僅か20%でした)。サポートレベルは、1.1845、 1.1800、1.1750、1.1705 、 1.1665。レジデンスレベルは、1.1910、 1.1975、 1.2025 、1.2100。
来週のイベントでは、ユーロ圏のGDP第2四半期のデーターに関する9月7日の発表に注目しましょう。ここでの予想は期待外れです: 前期の2.0%増に対して0.6%減が予想。欧州中央銀行の金利決定が9月9日(木)ですが、据え置きで0%の可能性が非常に高いです。そのため、その後に行われる欧州規制当局の指導者による記者会見に、非常に大きな関心が集まるでしょう。最後ですが、ドイツのHICP、ヨーロッパ経済の原動力であるドイツのインフレ率を把握する消費者物価指数が9月10日(金)に発表されます。
GBP/USD: ユーロの行き先が、ポンドの行き先
- 前回のレビューで“ユーロの行き先が、ポンドの行き先”としましたが 、今週もタイトルは変わっていません。GBP/USD の独立した動きが始まっていないからです。ヨーロッパ通貨同様、同じ理由により、イギリス通貨は8月20日以降、ドルに対して上昇しています。2週間ぶりの高値は9月3日の1.3890で、取引終了の鐘は1.3865で鳴りました。
このペアは、現在、1.3800-1.4000 での中央に位置しており、2021年2月以降、周期的に表れています。上昇すれば(このシナリオは、現在、アナリストの60%が支持)、その後、直近の強いレジデンスは、1.3960、そして、 1.4100でしょう。強気筋は、6月1日の高値1.4250の更新を目指しています。反対になれば(アナリストの20% が支持)、 1.3730、1.3665 、1.3600の圏内でサポートされるでしょう。残りの 20%のアナリストは、横ばいの見方です。
D1のオシレーターに関しては、60%が緑、 20%が中立、別の20%が、このペアの買われ過ぎを示しています。 トレンドインジケーターでは、9:1のスコアで緑の勝です。
周知のとおり、経済回復の主な指標であり、金融刺激策の開始のためのシグナルが、2つの要因:労働市場の健全とインフレーションにあります。そのため、9月10日(金)に行われるイギリスのインフレ報告公聴会に今週は注目する必要があります。
USD/JPY: 最も安定したペア
- 安全通貨としての USD/JPY は3月以来、110.00の水平線に沿った動きで、 108.30-111.00 の取引幅から滅多に外れようとしません。今回は、5日間の週初めは109.80で、まず、20 ポイント下がり、その後80ポイント上がり、その後、再び下がり、そして、スタート地点とほぼ同じ、109.70レベルで今週を終えました。
菅義偉首相が辞任の意向を表明しても、円のレートには影響はありませんでした。首相の支持率は、この夏の東京オリンピックで大きく下落しました。多くの人がオリンピック主催は、スポーツの祭典ではなく、コロナウィルスの新たなる流行を助長した考えており、国内のコロナウィルス発症率は前回の流行時の3倍になっています。
多くの専門家は、菅義偉首相の辞任が日本政府の経済政策に関する変更の兆しだと考え、これに関連して、日経インデックスは2%上昇しましたが、円レートはこれに反応せず、まさに氷のような冷静さを見せつけています。
直近の見通しについて専門家の意見は次のとおりです: 35% が強気、45%が弱気、20%が中立。D1のインジケーターでは、ここでは、依然、どの方向かわかりません。
サポートレベルは、109.40、109.10、108.70、108.30。弱気筋の夢は、4月の安値107.45に再挑戦です。直近レジデンスレベルは、109.85、110.25、110.55、110.80、111.00、111.65。強気筋の最終目標は、依然、変わらず、: 悲願の高値112.00達成です。
暗号通貨: イーサリアムvs ビットコイン
- ドル安とリスク選好の高まりが続く中、BTC/USDは2週目にして重要な心理レベルである5万ドルを超える足固めに挑戦しています。3度目でこのレジデンスを突破し、9月3日(金)のこの執筆時点では、$51.085に達しました。
Crypto Fear & Greed インデックスは、71から74まで上昇し、先週より1ポイントだけ高くなりました。しかし、全体的な暗号通貨市場の時価総額は、2兆210億ドルから2兆2,750億ドルに増加しています。なお、中核をなす暗号通貨は、僅か約580億ドルしか占めていません: ビットコインの占める割合が低下しています。7日間で43.77% からto 41.41%へ下げた一方で、イーサリアムは着実に高くなっています。すなわち、8月28日にETHの占める割合は時価総額全体の18.07%でしたが、9月3日は、すでに20.45%です。
多くのアナリストやインフルエンサーは、イーサリアムに対し、ディテュランボスを歌い続け、そのうちビットコインを2位に押しやると得意げです。1週間前、このアルトコインの生みの親であるVitalik Buterin氏の意見を引用しましたが、彼はETH が$30,000になると予測しています。この場合、通貨の時価総額は、3兆ドルに上り、世界の主要テクノロジー企業の資本金を超えることになります。
アナリストのアーロン・アーノルド氏もButerin氏に賛同しています。彼のYouTube チャンネル (登録者数952,000人) では、イーサリアムが "爆発的" に上昇すると考えられる基本的な要因について自身の見解を述べています。彼は、デジタルコインのバーニングメカニズムを導入したアルトコインブロックチェーンの最近の変更が重要な特徴であると考えています8月5日にイーサリアムネットワーク上ではじまったロンドンでの更新は、取引手数料の仕組みを一変させました。これまでマイナーが報酬として受け取っていた手数料の一部が、今では燃やされるようになったのです。Ultrasound.Money サービスによると、更新されて以来5億6,500万円以上に相当する17万4,000枚以上のコインが消滅しました。平均バーニングレートは、一分間で3.77コインです。二つ目の上昇要因に、彼はイーサリアムのネットインフレーションの低さを挙げています。アーノルド氏の計算によれば、現時点では、年1.1% だけですが、ビットコインだと1.75%のレベルです。
アーノルド氏は、また、分散型金融(DeFi)分野でブロックされたファンドが複数上昇していることも挙げています。彼の見解では、これがイーサリアムの価格を上げる第3の要因です。DeFi Pulseよれば、今年1月1日ブロックされた資金額が160億ドルであれば、この数字は8月30日に820億ドルに達します(年初以来412% 増)
ここ数ヶ月の動きが、イーサリアムにとってすべてがバラ色予想の裏付けであることに注目でしょう。7月20日以降、BTCが約72%値上がりしていますが、ETHも130%上昇です。先週だけでも、このアルトコインは22%高くなっていますが、一方でわずか2.5%の上昇です。イーサリアムの利点は、12ヵ月間でも明らかです: イーサリアム 820%増、ビットコイン 350%増。
Vitalik Buterin氏が$30,000に上昇という独創的な予想であれば、 BTC/USD 予測には 、依然、$100,000 が聞こえてくるでしょう。これは、まさに、イギリスのアナリストであり、Northstar & Badcharts の共同創設者でもあるKevin Wadsworth氏がこのぺアが2021年末までに達するとした価格です。その後に、暗号通貨の強気ステージは完了するでしょう。
ビットコインと言えば、Wadsworth氏は、" 9月、10月、そして、おそらく11月"に上昇すると考えています。 主要アルトコインの一部(イーサリアムなど)についても、3-4倍の価格上昇がかなり見込めるため、大幅に上昇する可能性もあると彼は述べています。
アナリストのPlanBもビットコインは、クリスマス前までに$100,000 レベルを突破すると確信しています。
これは、彼のS2F 予測モデルのシグナルで示されています。
ビットコインのさらなる上昇の見通しも暗号通貨動向の年次分析によって示されています。Twitter Root channelの分析は、ビットコインの主な原動力が半減していると確信しています(マイニングの報酬は、2度引き下げ)。これらがコイン市場の供給不足を成し、デジタル資産の価値を高めることに影響します。ビットコインについては、2020年5月の半減から上昇する可能性がまだあります。
半減期からの別の上昇要因は、米国連邦準備制度理事会の本格的な増刷です。さらに、企業も個人もこのドルの"パイ"をかなり得ています。CNBCは、米国居住者の若い世代の11%がコロナウィルスのパンデミック中に受け取った手当の一部をビットコインやほかのコインに投資していることを明らかにしました。また、彼らの60%が長期的に保有しようとしています。
一方、ユーロ・パシフィック・キャピタル社のCEOで"コガネムシ"の異名を持つピーター・シフ氏は、ビットコインを保有し、売らない人を"生粋のバカ"と呼んでいます。投資家のジョン・ポールソン氏も同様の意見を述べています。 こちらの億万長者は、ブルームバーグのインタビューで暗号通貨を"バブル"と称しています。彼の見解では、デジタル資産市場は “最終的には無価値であると証明される” 、つまり投資価値がないということです。
“暗号通貨はバブルです。限られた供給量には何もないと説明しましょう。需要が供給量より大きければ、価格は上昇します。しかし、需要が下落すれば、価格もまた、下落します。どの暗号通貨も本質的には価値がありません” ポールソン氏は自身のポイントを説明しました。
そして、最後ですが、いつも通り、私たちの全く深刻さがないライフハックでは暗号通貨でリッチになるもう一つの方法をアドバイスします。それは、IMブランドの電気自動車を購入することです。インターネット大手のアリババの支援を受けた電気自動車メーカーのZhiji Autoは、車の所有者が走行距離に応じてデジタル通貨を獲得できるアプリを開発しました。
自動車の所有者は、マイニングプール参加のために、Km毎に情報を入力します。そして、報酬としてストーンデジタル通貨を受け取ります。企業側は、初めに一日に500コインを144回発行する予定です。そして、流動性を維持するために、4年後には半分にします。
受け取ったコインは、同社のさまざまなサービスと交換することができます。走行距離が5,000 kmになると、コインで次世代のドライビングシステムやバッテリー容量を120kWhに増やすことができます。
NordFX Analytical Group
注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。
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