EUR/USD: 米連邦準備制度理事会の決定待ち
- ドル高が続き、EUR/USD は、下向きの動きです。9月13日(月)に1.1810で始まり、1.1730で5日間の取引を終えました。動きとしては、確かにそれほど強いものではなく、僅か80ポイントです。しかし、2週間前の9月3日は、1.1908 であったことに考慮すべきでしょう。
米国の小売売上高は、予想を大幅に上回りました。予想では、0.8%減少だった8月の売上高は0.7%の増加でした。72,000件の減少見込みであった失業保険給付の再申請件数は、187,000件の減少でした。
このような強い統計により、FRBは9月21日-22日に開催される次回の会合で、1,200億ドルの量的緩和(QE)政策を55%までに縮小する発表を行う可能性が高くなりました。
この1年半にFRSにより実施されたドルの放出を受け、米国の債務は130%にまで増加し、財政赤字は1兆ドルを超えました。その結果、財政金融政策を徐々に行うだけでなく、厳しい金融政策への移行が必要となります。民主党とバイデン大統領政権は、急激な連邦所得税の増税を含む税制改革案を米国議会に提出しました。これが可決すると、ニューヨーク州やカリフォルニア州などでは税率が60%を超える可能性があります。また、アメリカ史上初の3%の富裕層税も提案されています。
株式市場では、これらのニュースを受け、大きく売られました。S&P500インデックスは、4,550から4435に下落、ダウ・ジョーンズは35517から34510に2週間で下がりました。金相場も、4.5%落ち込みました。
ヨーロッパでは、一時、1,000立方メートルあたり$970に達したガス価格の記録的な高騰により本当の意味でのパニックに陥りました(一年前は2.8倍低い)。秋冬の暖房シーズンを迎えるにあたり、必要なエネルギーの確保は、僅か75%です (別の試算では、僅か50%)。このようなエネルギー不足は、価格が上昇するだけでなく、生産量を減少させます。また、これは、新たな不況をはらんでおり、ユーロに利益をもたらさないことは確かでしょう。
来週の最も重要なイベントは、9月21日‐22日に行われる米連邦準備制度理事会(FRB)の会合です。金利は、据え置きで0.25%になりそうです。つまり、結局のところ、投資家は、まず、量的緩和政策開始についてのシグナルや具体的な決定を待っています。以前も述べましたが、連邦準備制度理事会の指導陣に、タカ派傾向が増え、早ければ年内における資産購入プログラム縮小が支持されています。今回の会合でタカ派の支持が通れば、ドルの急騰や株価指数と金価格の下落が予想されます。
現時点では、専門家の 60%がドルの上昇でEUR/USD は下落するという見方ですが、30%は、反対に、連邦準備制度理事会では何も起こらず、このペアは上昇に戻るという考えです。 残りの10%のアナリストは、予想を控えています。
D1 に関するインジケーターは、次のとおりです。オシレーターでは、75%が赤、25%は売られ過ぎのシグナルを示しています。 トレンドインジケーターでは、100% が下向きです。
サポートレベルは、1.1705、1.1665、1.1600、1525 。レジデンスレベルは、1.1770、1.1800、1.1845、1.1908、1.1975、1.2025、1.2100。
連邦準備制度理事会の会合に加え、来週のイベントには9月23日(木)にドイツとユーロ圏のPMI統計の発表があります。
GBP/USD: イングランド銀行のタカ派vs 連邦準備制度理事会のタカ派
- イギリスポンドは、ドルに対し下げているものの、総じて、ユーロよりは持ちこたえいます。多くのアナリスト (60%)の予想どおり、GBP/USD は月曜日に上昇し、イギリスの労働市場の良好な統計を受け、翌日は1.3900 の高値に挑戦しました。その後、反転し、徐々に下がり、1.3730で終わりました。結果としては、非常にがんばりましたが、2週連続の安値1.3725の更新には失敗でした。
GBP/USD は、イギリスのインフレ予想を上回るデーターにほとんど反応しませんでした(8月のCPI 3.2%上昇 に対し7月は2.0%の上昇、 予想2.9%)。しかし、このような指標がイングランド銀行のタカ派の立場を強くします。
これまでのところ、"タカ派" と"ハト派" の力関係は対等です。イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁によると、金融政策(MPC)の前回の会合では、4人のメンバーが金利上昇を支持し、4人が反対でした。
アナリストたちは、2022年2月の利上げの可能性がポンドを支え、GBP/USD のさらなる値下げに制限をかけるだろうと考えています。期待感が確信へと変われば、イギリスの通貨は急騰の可能性があります。
今週は、連邦準備制度理事会の重要な会合だけでなく、9月23日(木)のイングランド銀行の会合もあります。投資家は、こちらでも、金融政策引き締めのシグナルを待っています。そして、ここでは、EUR/USD予想とは対照的に、多くの専門家はポンドを支持しています。 65%のアナリストは、 GBP/USD の上昇、35%のアナリストは、さらなる下落の見方です。 しかし、テクニカルインジケーターの値では、前述のペアに100% 一致です。
レジデンスは、1.3765、1.3810、1.3910、そして1.3960、1.4000、1.4100のレベルです。強気筋は、6月1日の高値1.4250の更新を目指しています。サポートレベルは、1.3700-1.3725、1.3665 と 1.3600圏内です。
USD/JPY: 再び、ゼロ
- 来週は、中央銀行の週と呼ぶのに相応しいでしょう。米連邦準備制度理事会やイングランド銀行に加えて、投資家は、9月22日(水)の中国人民銀行と日本銀行の見解と同様に金利決定を知ることになります。おそらく、100%近く、円金利はマイナス0.1%で変わらないでしょう。しかし、日銀のリーダーたちは、22兆円の経済赤字 (およそ 2,000億ドル)を埋めること :について、 さらに多くのことを考える必要があります。
しかし、 USD/JPY は、このような数字やニュースについて非常に冷静な反応です。不必要な興奮は、静かな日本の港には必要ないのです。
USD/JPY は、この3月以降、110.00 の水平線に沿った動きで、108.30-111.00の取引幅から逸脱することは滅多にありません。 したがって、今回は、109.85で5日間が始まり、スタート地点とほぼ同じ109.95で、今週を終えました。同じく、専門家予想も現実となりました: 多くの専門家(50%) が先週は、弱気サイドで、35% が中立の立場でした。すべてが、まさに、このシナリオ通りでした: まず、このペアは急落、その後、強い中期サポートの109.10に達し、突破できずに反転しました。
このペアは、米国の小売売上高の統計が良好であったことで支持されました。また、多くの専門家は、外国債への日本資金の流失が大幅下落になることはなかったと分析しています。2021年、日本の投資家は他国の債券をほとんど購入していません。しかし、米国債利回りの急上昇により、木曜日は17億6,000万円分以上の債券を購入しました。これは、昨年11月以来の記録です。
専門家による直近の見通しは次のとおりです: 50% が再び強気筋側、35% が弱気筋側、15%が中立の立場です。 D1のインジケーターに関しては、今週の結果を受け、オシレータでは、完全に様々である一方、トレンドインジケーターでは緑が優勢です。
サポートレベルは、変わらず: 109.60、109.10、108.70、108.30。弱気筋の夢(既に実現不可能に見えるが)は、4月の安値107.45に再挑戦です。直近のレジデンスレベルは、110.15、110.25、110.55、110.80、111.00、111.65。強気筋の最終目標は、変わらず: 悲願の112.00達成です。
暗号通貨: ブラックから僅かながらの緑がかった方向へ
- エルサルバドルは、9月7日(火)に合法的な支払い手段としてビットコインを認める法律を施行しました。そして、ビットコインの相場は、数時間で: $52,870から$43,205へと18%下落しました。 市場は、この"ブラック" な一日から、ゆっくりと回復してきています。このレビューの執筆時点で、BTC/USD は$47,300-48,000 圏内に上がりました。もちろん、これは、大したことではないので、この一週間を“僅かに緑がかった”としか説明できないのです。
Crypto Fear & Greed インデックスは、46から48へと僅か2ポイント上昇で、中央のニュートラルゾーンです。暗号時価総額は、1週間前の2兆1,000億ドルに対し、2兆1,200億ドルとほぼ横ばいでした。
ニュース背景では、 “僅かに緑がかった” ようにも見えます。最も興味深いニュースは、パナマもエルサルバドルの事例に従ったことです。暗号通貨の法案がこの国の国会に提出されました。パナマでは、現在、決済手段として米ドルを使用しています。この法案が可決すれば、BTC やETHの使用が可能になります。エルサルバドルと異なり、パナマの人々のオプションは暗号通貨の強制利用ではないため、市民や企業は、自由に、暗号通貨の受け入れやドルに制限するかを決めることができます。
この法律は、まだ、可決されていませんが、アナリスト達は、既に、施行された場合の市場の反応を気にかけています。エルサルバドルの時のように、また、カレンダー上の"ブラック" な日を待つべきなのでしょうか?
もう一つニュースがあります。分析ソフトウェアプロバイダーのMicroStrategyが$48,099で5,050 BTCを追加購入しました。これは、この会社の責任者であるマイケル・セイラー氏により発表されました。9月12日時点で MicroStrategy は114,042 BTCを所有しています。その購入には総額31.6億ドルが投じられたため、1コインの平均取得価格は、$27,713 です。
暗号通貨に同様な巨額投資を行った米国企業にはジャッキー・ドーシー氏のSquare やイーロン・マスク氏のTesla があります。今度は、ビリオネアのアラン・ハワード氏のブレバン・ハワード・アセット・マネジメント・ヘッジファンドはBHデジタル部門を創設し参入することになりました。
インフルエンサーたちは、ビットコインの素晴らしい未来を期待し続けています。投資会社のIncrementum AG のマネージングパートナーであるオーストリア人エコノミストのRonald-Peter Stöferle氏は、 "ビットコインは、5年から10年の間に、現在の私たちが想像もしない価格に上昇するでしょう" と述べています。また、こちらのトップマネージャーは、ビットコイン上昇の次の段階は、まだ始まっていないと指摘しました。同氏によれば、ビットコインの価格上昇は、この資産が"現在の大規模な金融実験での間にインフレ保護手段としての意味を成す" 時です。
Ark Invest のCEO であるキャシー・ウッド氏は、5年以内にビットコインが$500,000に上昇すると予想しています。 CNBCでの対談で、ウッド氏は、彼女の予想が妥当であるかどうかは、企業がビットコインの準備金を多様化し続けるかどうか、また、個人投資家が資産の5% をビットコインに置き換えるかどうか次第であると説明しました。
Ark Investの責任者は、イーサリアムの可能性にも強調し、自身の会社が今後もビットコインに60%、イーサリアムに40%の戦略を続ける可能性が高いと述べています。
短期的予想では、暗号通貨取引のベテランであるTon Vays氏は、BTC/USD が比較的に早く現在の調整を終わらせ、6桁レベルに急騰すると考えています。Vays氏は、ビットコインの最近の動きは、ビットコインが $29,000を下回る一年ぶりの安値から6週間以内に$52,000 までに力強く上昇した7月を彷彿させると説明しました。
Ton Vays氏によれば、ビットコインは、短期的な下落の可能性が高く、トレーダーに$40,000レベルでの買いのチャンスがあります。その後は、このサポートレベルで跳ね上がり、急上昇になるでしょう。 “ $40,000の安値は、来週、あるいは、延びて10月初めかも知れません。そして、その後は、10月の中旬から下旬にかけて$50,000に上昇し、このエリアを突破するでしょう。 11月初旬には$65,000 を超え、12月末迄には、おそらく$100,000 になるでしょう” と彼は述べています。
NordFX Analytical Group
注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。
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