EUR/USD: 量的緩和政策の終了開始間近
- 9月21‐22日のFRBの会合では、金融政策の変更はありませんでした。しかし、政府は早ければ金融刺激(QE)の緩やかなテーパリング開始を11月に始める準備が可能であるとコメントで明らかにしました。
FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーの半数以上は、QE終了の数ヵ月後、つまり2022年末の前にも利上げが始まると考えています。 FOMC (連邦公開市場委員会)のメンバーの半数以上が 利上げをQE終了の数ヶ月後、つまり、2022年末より前に始まると考えています。FRBは、2022-2024の間で、少なくても合計で6回の利上げを予定しています (ちなみに、ECBは3年以内に開始だけの予定です)。
このような見通しがドルに有利になり、DXY インデックスは93.498に上昇し、EUR/USD は月間最安値を更新で1.1683の下落でした。
今回、QEのテーパリング開始が発表される可能性は、少なからずありました。しかし、実現せず、FRBは当面、毎月少なくとも1200億ドルの増刷を続けるでしょう。 第2四半期の米国の家計収支は、16.5兆ドルに増え、今後も増え続けるでしょう(2019年末には12.7兆ドル)。しかし、QEが徐々に縮小した後には、 米国経済を支えるお金を国民が使い始める時が来ます。
このような統計で投資家は明るい未来を信じ、リスケ選好を受け入れ、S&P500、ナスダック、ダウ・ジョーンズの指数を再び押し上げます。週末までには、株式市場は中国最大手の不動産会社の恒大集団の倒産危機の情報により被った月曜日の損失をほぼ補っています。その負債額は2兆元(3,090億ドル)で世界最大であり、純資産(約39億ドル)の80倍近くに達しています。ブルームバーグによると、恒大集団は200の海外拠点と多くの国々で運営されている2,000の中国企業が含まれているため、このような巨大企業の破綻は世界経済に大打撃を与えることになります。
投資家のリスク資産の関心が回復し、株式市場に資金が流出したことで、木曜日にはEUR/USD は上向きに反転しました。米国労働市場の弱いデーターの発表の後、ドル安は加速しました。
今週の新規失業保険申請件数は、予想の32万件に対して35万1,000件に増加しました。公的給付金の再申請者数は、280万件に増加しました。確かに、これは災害ではありませんが、FRBへの警笛です。10月8日発表の米国非農業部門雇用者数やその他の指標が、同じように期待外れの結果となれば、政府はQEのテーパリングをさらに先延ばしすることを検討するかもしれません。
これらの要因がEUR/USD の強気筋を支え、9月23日にこのペアは1.1750に上昇しました。今週の取引終了時点では、金曜日の夕方におこなわれたFRBのジェローム・パウエル議長の演説の後の1.1715 付近で最終取引を終えました。
米国の中央銀行がQEの縮小を1-2ヵ月で開始し、2022年中頃までに終了させ、利上げに踏み切ることから中期的なドル高予想がされます。多くの専門家 (65%) は、ドルの上昇で来週はEUR/USD のさらなる下落を予想しています。この予想は、D1のオシレーターの85%とトレンドインジケーターの100%で裏付けされています。残りのアナリストの35%は、このペアの上昇を予想し、オシレーターの15%も売られすぎを示しています。
サポートレベルは、1.1705、1.1685、1.1600、1525。レジスタンスレベルは、1.1750、1.1800、1.1845、1.1908、1.1975、1.2025、1.2100。
今後のイベントでは、9月26日(日)に実施されるドイツの連邦議会選挙とアンゲラ・メルケル首相の退任後が注目されます。9月27日(月)は、米国耐久受注の発表です。また、9月の最終日にはドイツとユーロ圏の消費者市場に関する統計や米国のGDPに関するデーターが発表されます。そして、最後に10月1日(金)は、ISM製造業PMI が発表です。
GBP/USD: イングランド銀行のタカ派勝利
- 先週は、中央銀行週間と言っても過言ではありません。アメリカのFRBだけでなく、イングランド銀行、日銀、スイス銀行でも会合がありましたが、盛況でした。また、後者の2行は、方向性を定めていませんが、イングランド銀行は、急にタカ派的な巧みな言い回しをしました。
イングランド銀行は、ECBとFRBに続き、非常に消極的な姿勢を貫いてきました。そしてそれは先週の半ばまで続きました。しかし、明らかに、EU離脱によりこのような姿勢を取ることが不可能になりました。
9月23日(木)に開催された金融政策決定会合では、市場が文字通りひるんでしまうような決定がなされ、GBP/USD は、1.3608 から1.3748へ140 ポイントの急騰でした。政府は、金融政策引き締めの計画のみならず、借り換え金利の引き上げの概要についても発表しました。2022年5月に、まず、0.25%への引き上げが予定されており、12月には0.50%まで上がる予定です。
FRBの漠然としたスケジュールとは対照的に、イングランド銀行は、明確なマイルストーンを示しており、既に前述のとおり、市場は、これを高く支持しました。しかし、GBP/USD は、1.3748より超えることはありませんでした。, 現時点では具体的な数字が不足しているにもかかわらず、FRBの巨額のQE終了計画が非常に短い期間で導入されるためです。これにより、ポンド支持者の熱は冷め、その結果、GBP/USD の強気筋と弱気筋の一週間に及ぶ戦いは後者の勝利となりました: 1.3730で5日間が始まり、1.3670で終了しました。
テクニカル分析も弱気サイドです: オシレーターとトレンドインジケータは、共にD1で赤です。過去2週間の傾向だけでなく、過去の夏の3か月の動きも影響を与えます。しかし、この先1週間の専門家予想では、50対50の見方です。
レジスタンスレベルは、1.3690、1.3765、1.3810、1.3910、そして1.3960、1.4000、1.4100。強気筋は、6月1日の高値1.4250の更新が目標です。サポートは、1.3640、 1.3600、 1.3570 、1.3520圏内です。
マクロ統計では、9月30日(木)に2021年第2四半期のイギリスGDPが発表されます。そして、前回はプラス(+4.8%)でしたが、今回はマイナス(1.5%)になると予想されています。
USD/JPY: 日本のハト派が負ける
- USD/JPY は、昨年の3月以降、110.00の水平線に沿った動きで、稀に 108.30-111.00 の取引幅か抜け出そうとしました。今回も、同じで、109.95で5日間の取引が開始し、週の終わりまでには、110.78の高値をつけ、110.75で取引期間を終えました。
日銀は他の先進国の中央銀行とは異なり、非常にソフトな金融政策とマイナス金利にこだわり続けています。だからこそ、円はお金を生み出す道具ではなく、安全通貨として、依然、注目を浴びています。
週明けは、好調でした: 恒大集団の破産の可能性に端を発したリスク回避の動きにより、USD/JPY は109.10 の水平線まで下げました。しかし、その後、事態は悪化しました。投資家は、再び、リスクのある資産に目を向けました。FRBの会合の後、米国債10年利回が1.44%を上回り急上昇しました。実際、日本国債10年と似たような米国債の利回りのスプレッドは、米国債が優位で最近の持ち合いを超えています。また、このような強さのバランスがUSD/JPY の強気派の手中に入り、円のポジションを弱めることになりました。
日本銀行がハト派的支持を続け、米FRBが財政刺激策を積極的に巻き戻すことがあれば、円は順調にいかないでしょう。そして、USD/JPY は高値112.00 で大荒れします。日本通貨は、リスク資産への需要が下がるか、あるいは、単純に、このペアが確立した中期的な経路を超える動きに市場が消極的であれば、救われるでしょう。
現時点では、専門家の60%がUSD/JPY は、112.00に近づけると考えています。しかし、このレベルを超えると考えているアナリストは半数だけです。残りの半分のアナリストは、このペアは、再び元の経路へ戻ると考えています。
D1のインジケーターについては、オシレーターの65%が上向きで、残りは、ニュートラルグレーか、このペアの買われ過ぎのシグナルです。しかし、トレンドインジケーターでは、すべてが上向きへ上昇を続けるとしています。
サポートレベルは、変更していません: 110.15、109.60、109.10、108.70、108.30。弱気筋の夢(既に、不可能なようですが) は、4月の安値107.45に再挑戦です。直近レジスタンスレベルは、110.80、111.00、111.65。The nearest resistance levels are 110.80, 111.00 and 111.65。強気筋の最終目標は、依然、変わらず: 悲願の高値 112.00に達することです。そして、これは、もしかしたら達成できるかもしれません。
来週の日本のイベントでは、9月28日(火)の日銀政策決定会合と10月1日(金)の第3四半期の国内大企業製造業の短観の発表に注目です。しかし、これらがUSD/JPY の相場に影響を与えるでしょうか? このレビューでは、可能性は低いと考えています。
暗号通貨: クジラが弱気筋の攻撃に備える
- 今週の BTC/USD と ETH/USD のチャートは、S&P500とダウ・ジョーンズ株価指数のチャートに非常によく似ています。理由は、投資家感情の変化です。
中国最大の不動産会社である恒大集団の2兆元(3090億ドル)の負債累積額の債務不履行リスクにより、9月20日の金融市場はパニックを引き起こしました。投資家は、リスクの高い資産を処分し、株式市場は暴落しました。暗号通貨市場も売り手側から免れませんでした。月曜日にビットコインが$52,870 であれば、火曜日までの短期間で$39,666 に下がり、最大25% の評価損です。
恒大集団によるパニックは、9月22日には落ち着き、その後、調整が入り、FRBの会合の後は、投資家の適度なリスク選好が戻り、チャートは、さらに上向きに戻りました。しかし、売りが終わったと思うのは時期早々でした。$45,150に上昇した後は、ビットコインは9月24日(金)に再び下落、そして、反転して、この執筆時は$43,000 で取引されています。
もう一つの下落原因は、また、中国で、中国人民銀行がすべての暗号通貨関連業務を違法とし、違反者には厳しい措置を講じると誓約したことです。この禁止には、とりわけ、国内にサービスを提供している外国の暗号通貨取引サービスも含まれます。
規制当局からの圧力に加えて、クジラの行動も警告のサインです。その一方で、彼らの所有するコイン数が増加しています。2月にクジラ1頭あたりの平均3,236 BTC であれば、9月は3,722 BTCに増加しています。 しかし、クジラ自体は15%減少し、現在は2,125頭です。これは過去15ヵ月間で最も少ない数字です。さらに、彼らのウォレットから取引所のアカウントに大量のコインが流れ込んでいます。これは、クジラが、弱気市場が続く可能性を示唆しています。
もちろん、クジラは単一とは限りません。また、儲けたいという気持ちは同じでも、短期的な投資家と長期的な投資家に分けられます。前者は、投機的で小さな利益をすぐに確定してしまう傾向があります。後者は、MicroStrategyのように、下落時に再購入することを好みます。そして、彼らのおかげで市場が崩壊せずに済むのです。
投資家感情では、最新のGlassnode によるレポートのデーターが興味深いです。7月下旬以降、ビットコインの価格が$31,000 から $52,000へと上昇中、$18,000 から$31,000 付近で購入した長期保有者がコインを売っています。アナリストによれば、一部のパッシブ投資家が現在の価格に近い価格で購入したコインを売るアクティブトレーダーのカテゴリーに移ったことを示唆しています。
暗号通貨の時価総額は、心理的に重要な2.0兆ドルを再び下回り、1.84兆ドルとなりました。Crypto Fear & Greedインデックスは、中立(48 ポイント)から恐れのゾーンに動きました。今週の安値である9月23日(木)には27ポイントでしたが、9月24日(金)にはわずかに伸びて、33ポイントになりました。
総じて、暗号市場は現在、不安定な状態で、一部のインフルエンサーたちが空前絶後の上昇を予想する一方で、 Euro Pacific CapitalのPeter Schiff代表のように、直ぐに“バブル” が崩壊すると考えている人もいます。もちろん、このような不一致はイーサリアムにも当てはまります。
ETHの価格は、の価格は、先週の9月20日から9月22日までのわずか3日間で $4,020 から$2,650に40%下落しました。同時に、JPモルガン銀行のストラテジストNikolaos Panigirtzoglou氏は、さらに下落すると分析しています。 彼の意見では、アルトコインの適正価格は、ネットワークの度合いを基準にすると$1,500だそうです。暗号通貨のトレーダーでアナリストの Lark Davis氏は、反対の意見で、今後数週間で$10,000に達するだろうと述べています。彼は、巨大機関投資家、銀行、企業 は、イーサリアムのエコシステムに投資を続けると注目しています。Davis氏は、アルトコインの成長に有利なもう一つの要因として、市場での供給が限られていることを挙げました。イーサリアムコインの87%は3ヵ月以上動いておらず、投資家が売りたがらないことを示しています。さらに、イーサリアム2.0ステーキングデポジットの増加と同じく潜在的な取引手数料の燃焼でもかなりの不足を生み出しています。
最後に、センセーションとも言える発見がありました。今からちょうど100年前に、有名な自動車の実業家であるヘンリー・フォード氏は、既に金の代替えとして “エネルギー通貨” のアイデアを提起していたことがわかりました。フォード氏は、1921年にニューヨーク・トリビューン紙でこの課題を取り上げていました。新しい通貨をつくるためにフォード氏が提案したプロジェクトとサトシ・ナカモト氏の2008年に提示したBTCの概要と非常に似ているのは驚きです。
新聞の一面には、フォード氏が金の代替えとなり、新時代の通貨システムの中枢と考える"エネルギー通貨"の掲載記事がありました。この通貨は、"力の単位“に基づく機能のため、巨大な水力発電所の建設が提案されていました。つまり、最も安定した通貨単位の可能性を備え、金投機で利益を得る金持ちを阻止することがたぶんできたでしょう。
NordFX Analytical Group
注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。
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