2021年10月18日-22日のFXと暗号通貨の予想

EUR/USD: 修正あるいはトレンドの変更?

  • 10月12日(火)に1.1523の安値をつけ、EUR/USDは 5週にわたる長期の下落を終え、反転し、上昇しました。秋を迎えて以来、ドルはユーロから385ポイントを取り戻しました。そして、今度、ユーロ通貨は、損失を取り戻していくのでしょうか?

    実際のところ、状況は曖昧です。一部の専門家は、さらなる上方修正を予測していました。しかし、そうはならず、: このペアは、1.1624までしか上昇できずに1.1600で5日間の取引を終えました。

    今週のデータでは、米国経済はかなり急速な回復を続けており、FRBが来月から金融刺激策(QE)のテーパリングを開始する可能性がほぼ100%となりました。

    米国の新規失業給付の申請件数は、コロナウィルスのパンデミックが始まって以来、初めて29万3千件に減少しました (予想の14,000 件に対して36,000件減)。また、既に給付を受給している人数は、78,000人と予想されましたが、134,000人まで減少しました:  272万人から 259 万人。 生産者物価も8.3%から8.6%へと上昇(予想は8.5%)。つまり、対前年比のこの物価インフレは、史上最も高い上昇率を記録しました。

    なお、生産者物価指数は、消費者物価の先行指標となっていることに注目しましょう。つまり、インフレの上昇が続き、量的緩和政策終了の時期が近くなることが予想されます。とりわけ、10月15日(金)に発表された小売売上高もグリーンゾーンでした: ­予想の0.2%減対比0.7%

    そこで、疑問が生じます: 米国経済が好調であるならば、なぜこのペアは急落を続けないのでしょうか? 藁にもすがる思いのユーロの強気筋は、未だに、金融刺激策の段階的終了を遅くても12月まで延期することを望んでいます。これは、株価指数の急騰で裏付けされています: S&P500は週の後半に3%上昇し(7ヶ月ぶりの高値)、ダウ・ジョーンズは3.4%に上昇しました。この指数のこのような急上昇は、ほぼ3ヶ月間ありませんでした。

    では、近い将来、EUR/USDから予測されることはなんでしょうか? 修正後の下降トレンドの継続でしょうか? 強いユーロで上昇トレンドに反転でしょうか? あるいは、横ばいでしょうか?

    D1のインジケーターの値はかなりバラつきがあります。オシレーターでは、55%が赤、15%が緑、残りの30%がニュートラルグレーです。同様に、トレンドインジケーターも統一感がありません: 65%が下向き、 35%が上向きです。グラフ分析では、1.1725まで上昇した後、反落して1.1585-1.1725範囲での推移を示しています。­

    アナリストについては、20% がさらなる下落、50%が上昇の支持しており、 30%が中立の立場です。サポートレベルは、1.1585、1.1560、1.1520、1.1485、1.1450。レジスタンスレベルは、1.1625、1.1685 1.1715、1.1800、1.1910。

    来週のイベントでは、10月21日(木)の欧州理事会、10月22日(金)のドイツおよびユーロ圏全体のマークイット製造業PMIに注目です。また、10月20日(水)に発表される中国人民銀行の金利決定も、このペアを揺るがす可能性があります。

GBP/USD: 今のところ、勝利はポンドにあり

  • ヨーロッパの隣国とは異なり、イギリスポンドはドルに対して上昇を続けています: 9月29日以来 GBP/USD は、360ポイント上昇し(1.3412 から 1.3772) 、1.3744で終了しました。この動きの理由には、イングランド銀行が近い将来、金融政策の引き締めと金利の大幅な引き上げを開始する意図にあります。

    既に述べましたが、シティバンクの専門家によれば、現在、ポンドは次の要因で支持されています。まず、イギリスが、コロナウィルス対策に成功していること。次に、EUとイギリスでの北アイルランド議定書の交渉やスコットランドの独立を問う住民投票の否決に伴う政治的リスクの軽減。そして、もちろん、主要金利を2022年5月に0.25%、12月に0.50%に引き上げる可能性があることについての決定です。このような英国の金融政策の見通しについて、シティバンクのアナリストによれば、10月中の “ Fed の政策に対峙する位置”であると分析しています。

    しかし、FRBがQEプログラムの縮小に動けば、状況はドルに有利な方向に大きく変わる可能性があります。専門家の60%は、現時点ではペアが再び下落し、1.3675、1.3600、1.3575、1.3525、1.3400のサポートを試すと予測しています。アナリストの20% は、上昇トレンドと予測(強気筋のレジスタンスレベルとターゲットは、1.3770、1.3810、1.3900、1.4000)。そして、D1のグラフ分析で裏付けられた専門家の20%は横ばいのトレンドを予測しています。

    インジケーターでは、依然、緑が優勢です。日足では、オシレーターの60%、トレンドインジケーターの100%が上昇トレンドの継続を示しています。オシレーターの25%は買われ過ぎを示し、15%は中立です。

    来週の経済指標では、英国消費者物価指数(10月20日(水)発表予定)や10月22日金曜日に発表予定のマークイット社の英国サービス業PMIなどの重要なインフレ指標に注意を払う必要があります。

USD/JPY: ペル・アスペラ・アド・アストラ

  • ペル・アスペラ・アド・というラテン語の表現があり、作者は古代ローマの哲学者ルシウス・アンナ・セネカとされています。直訳すると"苦難を経て星へ”であり、 "苦難を経て勝利へ"を意味します。まさに、 USD/JPYの強気筋の勝利がこれです。

    ほとんどの専門家は、112.00の高値 の嵐になるまで安定しないであろうと予測していました。そして、現在、ついに、何か月にもわたる努力が叶いました。しかも、素晴らしい形で。1週間で222ポイント跳ね上がった後、10月15日(金)には114.45の高値に達し、最終的には2017年が始まって以来の取引幅での高値付近よりも僅かに低い114.21で終了の鐘がなりました。

    このような日本通貨の大失態は、安全通貨としての日本通貨の役割に完全に一致しており、そのレートとリスク需要には安定した逆相関関係があることを反映させています。日米株式市場への投資家の関心の高まり(日本の株価指数日経225はS&P 500と並行して上昇)が円に大打撃を与えました。また、日本が主に輸入しているエネルギー価格の下落も、市場の日本株への需要を支えました。

    日本の鈴木俊一財務大臣によると、円安は輸出企業を支える一方で、多くの企業や消費者の輸入コストを膨らませています。同時に、外国為替市場の安定は政府にとって重要であり、日本経済への為替レートの影響を注意深く監視すると述べています。しかし、財務相は現在の状況に関する直接的なコメントを控えています。

    ただ、10月の2週間での円の下落は、過去5ヶ月間の動きと比べると速すぎるようです。そして、これがUSD/JPY の大きな下方修正の理由になる可能性があります。そこで、70%のアナリストは、このペアが今後3週から5週間の間に111.00-112.00圏内に戻ることを予想しています。しかし、短期的には強気筋が優勢となるでしょう。 55% の専門家は投資家の株式市場への関心が続くことで、日本の通貨がさらに安くなる可能性があると考えています。

    このレビューの執筆時点では、D1のオシレーターの75%とトレンドインジケーターの100%が、このペアのさらなる上昇を示しています。オシレーターの25%は、買われ過ぎであり、修正の可能性があることを示しています。レジスタンスレベルは、114.55と115.50、強気筋の長期目標は2016年12月の高値118.65です。サポートレベルは113.80、113.25、112.00、111.65。

暗号通貨: ビットコインの新たな目標は $68,000

  • 中国関連のニュースで、10月13日(水)に再びビットコインのトレンドは下落へとほぼ反転しました。最大級の暗号通貨取引所であるBinanceは、ほかの取引所に続き、12月31日をもって中国の顧客へのサービスを停止し、人民元を通貨リストから削除することを発表しました。

    北京の抑制前までは、この国の住民が暗号通貨の主要なコミュニティの一つであり、暗号通貨マイニングの先進国でした。2020年当時、ここでのシェアは世界のハッシュレートの50~60%でした。その後、状況は大きく変化し、ケンブリッジ大学によると、現在の暗号通貨のマイニングトップ3は、米国(35.4%)、カザフスタン(18.1%)、ロシア(11.2%)となっています。

    地図を見れば、カザフスタンとロシアは、中国と陸続きになっているため、多くのマイニング機材を移動させることが可能です。その結果、ロシア国境地域での違法なマイナーがこの国の年間電力消費量を160%増加させました。 

    禁止を課したことで中国が勝つか負けるかは、時間が解決してくれるでしょう。これは、他国でもあてはまり、この分野の法律をできる限り強化しようとする国もあれば、デジタル資産にとても忠実な国もあります。例えば、米国家情報長官のジョン・ラトクリフは昨年、SEC委員長に書簡を送り、米国のマイナーの活動を制限しないよう求めました。ビットコインを公式通貨として認めたエルサルバドルについては、言うまでもないでしょう。

    興味深いことに、この決定をイーサリアムの考案者であるヴィタリック・ブテリン氏が強く批判しました。“批判もせずに、彼[エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領]を称賛している人々(いいですか、主犯格の名前を挙げます: ビットコインのマキシマリストは恥じを知れ)は恥じるべきだ” とブテリン氏はRedditに記述しています。そして、デジタル資産を強制的に金融に組み込むシステムは“暗号通貨コミュニティのメンバーが賛同する自由理念に反するものであり、また、事前のトレーニングをほとんど、あるいは、まったく行わずに、ビットコインを数百万人のエルサルバドール人に一斉に配ることは、無謀な戦略であり、多くの無知な人々がハッキングされたり騙されたりする危険があります"と強調しました。

    キャップジェミニ・リサーチ研究所では、暗号通貨がどれだけ広く一般の人々の生活に入り込んでいるかという問題にも関心を持っています。多くの国で実施した調査に加え、国際決済銀行、欧州中央銀行、国際通貨基金、世界銀行、その他の中央銀行の統計を調べました。

    キャップジェミニでは、現在、暗号通貨を決済に使用している消費者は10%未満であると指摘しています。しかし、この研究所では、消費者の45% 近くが1年か2年で新しい支払い手段として利用するだろうと予測しています。この傾向は、国際決済に対する需要の高まりと高額の取引手数料の支払を躊躇することで支持されるでしょう。

    もし世界の主要国が中国の後にビットコインを追いかけ始めなければ、ビットコインは資金面で主要企業や世界経済のあるセクター全体のバイパスするチャンスが多くあります。

    Coinmarketcapによれば、現在最も資本金が大きいのはApple(2兆3400億ドル)で、続いてMicrosoft、Google、Amazonと続き、ビットコインは5位です。統計では、現在、株式市場の時価総額は約100兆ドル、金市場は約12兆ドル、レビュー執筆時の暗号通貨市場では2兆4200億ドルで、ビットコインの時価総額はすでに1兆1200億ドルに達しています(ドミナンス指数46.24%)。

    先週のビットコインは、投資家を喜ばせ続けました。7日間でBTC/USD は、16%上昇で$62,880の高値をつけました。多くの専門家予測では、4月14日の史上高値である$64,810を間もなく試すことになるそうです。実現すれば、統計的なボラティリティーを考慮し、このペアは$68,000に達した後、巨額の利確を伴った深刻な修正があるでしょう。

    しかし、引き戻される可能性があるとはいえ、このペアの中期的見通しは、引き続き良好です。次の主なレジスタンスレベルは$80,000-81,000 範囲です。アメリカの暗号取引所Krakenの専門家は、2021年末までにビットコインは$100,000 をつけるだろうと考えています。例年の推移を基にすると、ビットコインの価格は第4四半期に上昇する傾向があるとの計算結果が出ています。この間、"平均収益は+119%、中間収益は+58%" 。前年の2020年の平均収益が繰り返されるならば、ビットコインは年末までに$100,000になる可能性があります。より正確に言うなら、$96,000付近です。しかし、平均ではなく中間収益では、ビットコインの価格は $70,000ぐらいに上昇するだろうとKrakenの専門家は記述しています。

    Crypto Fear & Greed インデックスは、71ポイントをつけ、この2週間で恐れのゾーンから強欲ゾーンへ上昇しました。しかし、これは市場が強く買われすぎていることを意味するものではなく、インデックスの開発者の意見によれば、このような状況でショートポジションを開くには依然危険である可能性があります。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。

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