EUR/USD: 不安定な状態
- 1週間前の予想では、EUR/USDの下落を支持するアナリストは20%、上昇は50%、中立は30%でした。結果としては、上向きと横ばいを支持した80%が正しかったことになります。1.1600で始まったこのペアは、まず、1.1668に上昇した後、1.1616に下落、その後は横ばいの動きでした。金曜日のFRB議長のスピーチの後は、取引幅の安値まで下げましたが、1.1643でほぼ中間で終了しました。
ロイター通信によれば、ジェローム・パウエル議長は、資産購入の縮小を開始する時期であるとしながらも、まだ利上げには早いと付け加えました。議長の見解では、高いインフレ率は来年も継続する可能性が高いとしていますが、中央銀行の2%の目標に戻るとことが想定されています。
今週、米国の労働市場から発表された数字はポジティブなものと考えられます。前回、発表された失業給付の再申請件数が2.593Kから2.603Kへと大きく修正されたことによります。そのため、2.481Kの現在の数字は、予想の118Kから122千件の減少となりました。
このような "巧妙な"計算によって、主な給付申請件数のデータも改善されました。つまり、前回の結果が反対になり、2,000件の増加ではなく、6,000件の減少となりました。
しかし、米国債利回りは2.15%前後の推移ですが3.0%に向かう可能性もあるので、これら全てのプラス要因がドルをあまり、助けていません。
10月22日(金)のドイツとユーロ圏の製造業におけるマークイットPMIが下がったことにより、EUR/USDを押し下げる可能性がありました。しかし、マルチカラーであることがわかりました。ヨーロッパの指数は、赤に変わり、予想の55.2に対して56.2から54.3に低下しました。しかし、ヨーロッパの家計支出の主要原動力であるドイツの指数は、対照的に予想の56.5に対して58.2と緑色です。
米国の労働市場が引き続き改善しているという事実は、最終的にはドルの支持を強めることになるはずです。FRBのパウエル議長は、金融刺激策(QE)は、とりわけ労働市場の安定化を目指しているものだと繰り返し強調しています。この目標に達成してはいないものの、非常に近づいています。つまり、FRBが近い将来、金融刺激策の縮小を開始するにあたり、妨げるものは何もありません。
では、近い将来 EUR/USD から、何を期待すればいいのでしょうか?一週間前、 D1のオシレーターの55%は赤、15% は緑、30% はニュートラルグレーでしたが、現在は変わっています。インジケーター50%は、上向き、 20%は中立、 15% は下向き、残りの15% は、このペアが買われ過ぎであることを指しています。トレンドインジケーターでは、最近の横ばいの推移の影響で、50% 対 50%の結果となっています。
圧倒的に多くのアナリストが年末までにドル高になると予想しています。しかし、来週の予想では、ほぼ同数で分かれます。強気筋が45%、弱気筋も同数で、10% が中立です。
サポートレベルは、1.1615、1.1585、1.1560、1.1520、1.1485、1.1450。レジスタンスレベルは1.1670 1.1715、1.1800、1.1910。
来週のイベントでは、10月26日(火)に発表されるヨーロッパの銀行貸出報告が注目されます。10月27日(水)は、米国から耐久財受注の発表があります。私たちは、木曜日と金曜日に、ユーロ圏、ドイツ、米国の消費者市場やGDPデータなどから、かなり多くのマクロ統計の発表があると予想しています。また、10月28日には欧州中央銀行の会合があります。0%の金利据え置きになる可能性が高いです。そのため、この発表に続いて行われる中央銀行の運営陣による金融政策のコメントには、より多くの関心が寄せられるでしょう。
GBP/USD: ユーロの行く先がポンドの行き先
- 先週の GBP/USD チャートは、EUR/USD とほぼ同じです: 強気筋に有利な横ばいの推移で開始時点より少し上の1.3758で終わっています。これは、大西洋の反対側で非常に大きな原動力が欠けているのと同じようにイギリスの統計が要因です。
イギリスの消費者物価上昇率が3.2%から3.1%に鈍化したことで、世界的なインフレを懸念する投資家にとっては良いシグナルとなりました。しかし、今やエネルギー危機は欧州連合だけでなく、離脱したイギリスでも非常に懸念されているため、市場はこの数字に反応せず、ガソリン価格に注意を払っています。インフレーションは、確かに重要ですが、この国では、わずかに減少をした後、大きく上昇したヨーロッパやアメリカが通った経緯を既に繰り返しています。
10月22日(金)にイギリスのサービス部門におけるマークイット非製造業指数 (PMI)の発表がありましたが、予想されていた下落ではなく、55.4 から 58.0への上昇でした。 これはポンドの助けになりませんでした。市場が閉まる少し前のジェローム・パウエル議長のスピーチで、ドルはユーロだけでなく、ポンドに対しても高くなりました。
ユーロと異なり、ポンドは9月29日から上昇していました。また、これはD1のインジケーターに影響を与えていますが、とりわけ、緑が依然、優勢になっています。オシレーターでは、55%で、25% がグレー、20%は、このペアが買われ過ぎているシグナルです。トレンドインジケーターでは、 60% が上向き、40%が既に下に向きを変えてています。
現在のところ、専門家の意見はどちらが優勢というわけではありません: 35% が上昇、25%が下落、40% が横ばいの推移を支持しています。
サポートレベルは、1.3740、1.3675、1.3600、1.3575、1.3525、1.3400 。レジスタンスレベルと強気筋の目標は、1.3770、1.3810、1.3835、1.3900、1.4000。
USD/JPY: 2017年に戻る
- USD/JPY は、10月20日に2017年11月のポイントに近い114.70をつけ、4年ぶりの高値更新でした。その後、強気筋の勢いは落ち着き、このペアは一週間前の値に戻りました。
10月22日のFRBのパウエル議長のスピーチにより、ドルは、ユーロやポンドに対して高くなっていますが、安全通貨の円に対しては安くなっています。結果として、113.42 付近で取引終了の鐘が鳴りました。
ご存知のように、このペアの動きは米国債の利回りに強く影響され、今のところ2.15%前後で推移です。しかし、上昇となれば、USD/JPY は、ボラティリティで新たに大きくなります。
現段階では、65%のアナリストが、まず、このペアは、いったん113.00に戻ってから、11月末には111.00-112.00 圏内まで下がると予想しています。残りの35%のアナリストの見解は、反対で、 数年来の高値更新と115.00-116.00への上昇を予想しています。
レジスタンスレベルは、114.45、114.70、115.50で、強気筋の長期目標は、2016年12月の高値118.65です。サポートレベルは、113.25、112.00、111.65。
来週のイベントでは、ECBの会合と同じ日、10月28日に開催される日銀の会合に注目です。しかし、おそらく、驚くようなことはおこりそうもなく、金利は従来どおりマイナス0.1%でしょう。
暗号通貨: $66,925: ビットコイン新高値更新
- 4月14日にビットコインは、$64,850をつけた後、55%まで引き戻され、$29,230になりました。そして、現在、ついに、暗号化投資家が待ち望んでいたことが起こりました。数ヶ月にわたる不安と期待の後、BTC/USDは損失を戻しただけでなく、10月20日には新高値更新で$66,925に達しました。 イーサリアムも新高値更新: ETH/USD は、$4,363の高値を記録しました。
アナリストは、現在の上昇の理由は二つあると述べています。一つ目は、ビットコインETF(上場投資信託)の発売です。まず、米国証券取引委員会(SEC)がProShares社のビットコイン先物ETFを承認したことに続き、VanEck社のETFの販売申請を承認しました。
二つ目と強気傾向の主な理由は、インフレに関する投資家の懸念です。巨大銀行組織であるJPモルガン・チェースの専門家は、デジタルゴールドは、本物の金と違い、滅多にインフレに反応しないことを指摘しています。これは、投資家にとって資金保護の最善策であることを示唆しており、年末までのビットコインの強気の見通しを支持しています。
JPモルガン・チェースと同意見の他の多くの専門家は、12月末までのビットコインの動向について楽観的です。しかし、ビットコインの大きな4年サイクルが終了しかけているので、2022年初めは注意をするように投資家に促しています。そこで、2007年の住宅ローン危機を予測したヘッジファンドのサイオンキャピタルの創業者であるマイケル・バリー氏が既にビットコインのショートポジションを開くことを検討しています。
Finder社は、Cypherpunk Holdings社、Bitcoin Reserve社、Kraken社、Arcane社、CryptoQuant社の代表者とアジア、ヨーロッパ、オーストラリアの大学の7人の教授でフィンテック業界の専門家50人を対象とした調査を行いました。彼らの意見では、BTCのレートは今後2ヶ月以内に$80,000を少し上回る水準でピークを迎え、そして、$71,400前後で1年を終えるとのことです。
専門家が示したレベルは、ビットコインが年内に$100,000を超える可能性があると分析しているスタンダードチャータード銀行やブルームバーグのアナリストの予測よりも、だいぶ低いことが判明しました。
人気の暗号通貨アナリストであるウィリー・ウー氏は、ビットコイン市場の次の段階は、今までの強気の期間よりもボラティリティが激しくなると分析しており、現在のサイクルが長くなることを示唆しています。こちらのアナリストが自身のモデルに基づき、ビットコインが2021年末に$200,000になるという保守的な予想をシリーズ化してツィーターに投稿していたことを思い出してみましょう。しかし、ビットコインの$300,000急騰についても排除していませんでした。
モーガンクリークキャピタルマネジメントのマーク・ジャスコCEOは、ウィリー・ウー氏の予測に近い数字を述べています。CEOは、ビットコインは$250,000に急騰する可能性があるが、それは、2021年ではなく、5年以内だと述べています。そして、これが実現する場合についての過程が決して簡単ではないことを認めています。
一方で、暗号通貨市場では、引き戻しがありました。多くの注意深い投資家がロングポジションを閉じました。春に高値で購入した人もビットコインを売っています。薄利でリスクを再び避けたい人々です。Binance.US 取引所でのアルゴリズムの不具合で価格が87%に急落したことも不安を募りました。しかし、ほかの取引所やブローカーは影響を受けることなく、この執筆時点でBTC/USD は$61,000 で取引されていました。暗号通貨市場全体では、暗号時価総額は2.6兆ドルで Bitcoin Dominance Index は45.94%です。Crypto Fear & Greed Indexは、75ポイントで Greed (強欲)ゾーンです。しかし、これは市場が大幅に買われすぎていることを意味するものではなく、指標の開発者によれば、この状況でのショートポジションを開くには、依然、危険を含んでいる可能性があります。
NordFX Analytical Group
注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。
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