2022年1月17‐21日のFXと暗号通貨の予想

EUR/USD: 市場を動かす噂

  • 市場の雲行きは、時々、現実とはあまり関係ない噂で決まることがあります。もしくは、全然、関係ないこともあります。しかし、噂を広める人には、推測でお金を稼ぐことができます。似たような状況が先週ありました。

    EUR/USD が11月以来、1.1220-1.1385での値動きで横ばいであることを思い出してみましょう。一週間前、弱気感情の支配と共に、このような動きが続くとほとんどのアナリストが支持しました。米FRBのタカ派が緊急刺激策の終了、利上げ、バランスシートの正常化を意図したことがドル高選好の根拠となりました。

    米FRBのジェローム・パウエル議長やアメリカの中央銀行の高官が、2022年に4回の利上げが可能であるとほのめかしたことはありません。この数字がどこからきたの不明ですが、このような噂が広がり始め、結果として、多くの投資家がこれを信じてしまいました。

    1月11日(火)、米国議会で演説したジェローム・パウエル議長は、以前、述べたことを繰り返すだけでした。議長は、40年ぶりの記録的なインフレ率を抑えるために、今年は2回、必要であれば3回のリファイナンスレートを上げると再び述べました。つまり、実際は、新しいことは何も語っていません。しかし、市場は"4”回を期待していたのがそうでもなさそうなので、がっかりさせられました。

    結果、DXY ドルインデックスは大きく上昇し、50日単純移動平均線を下回り、EUR/USD は、下向きではなく、上向きになりました。

    米国のインフレデーターのおかげで、翌日の1月12日(水)、ユーロ‐のポジションはさらに上昇し、EUR/USD は、中期横ばい傾向の境界線を突破し、さらなる上昇となりました。1.1385ゾーンのレジスタンスの突破は、2021年の5月に始まったドル高とその後の1ヶ月半の横ばい傾向の後での調整のきっかけとなりました。1月14日(金)朝は1.1482の高値で週高値を更新しました。

    週明けに発表された米国の小売売上高と消費者信頼感のデーターは、前回よりもはるかに悪く、コロナのオミクロン株が米国経済に悪影響を与えたことわかりました。これがFRBの次のステップに、どの程度影響するかについて正確に予測することは、まだ、できません。しかし、市場の反応で判断するなら、投資家は、このような統計が政府の決定のさらなる後押しになるだろうと判断したようです。その結果、EUR/USD は、1.1415で終了しました。

    もちろん、短期的にはドルがもう少し下落する可能性があります。しかし、FRBのタカ派とECBのハト派の政策の違いが依然、米ドルをサポートするはずです。さらに、FRBの議長は最近のコメントでインフレ対策が米国政府の最優先課題であることを強調し、米国経済が利上げに対処できる自信があることを示しました。

    また、多くの専門家によると、利上げは、前回の金融引き締めサイクルの場合のように四半期に一度ではなく、さらに多くなるかも知れません。しかし、これは、今のところ、あくまでも見解であり、新たな噂や期待の波を起こす可能性もあります。投資家は、1月26-27日の米連邦準備制度理事会の1月のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果で、実際には何があるかわかることに期待しています。

    この執筆時点でD1オシレーターの75%が緑で25%が EUR/USD が買われ過ぎのシグナルを示しています。トレンドインジケーターの65% は緑で、35% は赤です。専門家の間では、多く(75%) が来週のこのペアの上昇を排除していません。しかし、2月の天気予報では、風見鶏が180度回転して、既に75%のアナリストがドル高支持です。レジスタンスは、1.1450、1.1480、1.1525、1.1570、1.1615のレベル。サポートレベルと圏内は、1.1385-1.1400、1.1300、1.1275、1.1220。昨年の11月24日の安値1.1185と1.1075-1.1100 圏内がこれに続きます。

    来週の経済指標カレンダーでは、1月17日(月)と20日(木)にあるユーロ圏の消費者市場に関するデーター発表に注目したいところです。金融政策に関するECBの声明や米国の労働市場に関する統計発表も木曜日に予定されています。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁の講演は、1月21日(金)の予定です。

GBP/USD: イングランド銀行vs FRB: ゲームの先手

  • 当然のことながら、FRBとECBの会合に加えて、イングランド銀行の会合も1月にあります。こちらの政府は、ほかと異なり、12月に物価高騰打破を始めたことで市場に強い印象を与えたこと忘れてはいけません。イギリスのインフレ率がこの10年でのピーク5.1%に上昇したことで、イギリスの中央銀行は、金利を0.1%から0.25%に3年ぶりに引き上げました。新型コロナウィルスによる感染拡大の悪化の中での決定です。そして、ここではイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁とジェローム・パウエル総裁の意見が一致しました: 両者とも一番の課題は、社会経済における物価上昇圧力の抑制です。しかし、15ポイントベースでの利上げでは十分ではないものの前者の方がよりタカ派的です。ただ、最初のステップを踏んだことで、市場は、2月に2回目の利上げがあると期待しています。

    このような期待でイギリス通貨の支持が続いたおかげで、GBP/USD は、1.3748の高値をつけ、この8週間での高値更新となりました。しかし、200日単純移動平均線を超えることができず、1月14日(金)後半にドル高が進んだ後、1.3678で5日間の取引終了の鐘が鳴りました。

    60% のアナリストによると、GBP/USD は、今後、新たに1.3800台を超えて上昇しようとします。

    このシナリオは、D1のトレンドインジケーターの90%とオシレーターの80%に支持されています。残りの20%は、このペアの買われ過ぎのシグナルです。しかし、 EUR/USDと同じく、週間から月次予想になると弱気選好になり、既に、55%がこのペアの下落を待っています。

    サポートは、1.3659、1.3600、 1.3525、1.3480、1.3430、1.3375で、次の強いサポートは100ポイント下がります。レジスタンスレベルは、1.3700、1.3750、1.3835、1.3900。

    イギリスからの重要なマクロデーターは、来週だけで十分なくらいです。1月18日(火)には、この国の失業率と平均賃金のデーターが発表されます。その翌日には、消費者物価指数がわかることになります。さらに、1月19日(水)にイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁の声明があり、1月21日(金)には2021年12月の小売売上高が公表されます。これは、消費者がどのくらいお金を使ったことを示す重要な指標で、消費者信頼感とも相関しており、イギリス経済の成長ペースの指標とされています。予測によると、1.4%からマイナス0.6%に低下です。

USD/JPY: 円高ドル安

  • USD/JPY は、パウエル議長の声明と米国債利回りの下げを背景に先週は、116.35 の高値 (2017年1月以来の高値) から113.47 へ下落しました。しかし、日本政府の超ハト派的立場から、さらなる円高にはなりにくいと思われます。再び、ドル高傾向が強まり、このペアは先週の終わりには114.18レベルまで上昇しました。

    この1週間半USD/JPY の下落と共に、ほとんどのD1インジケーターが赤に変わりました。オシレーターでは、80%になり、10%はこのペアの売られ過ぎのシグナル、10% は既に赤から緑に変わりました。トレンドインジケーターでは、60%が売り推奨、 40%が買い推奨です。 専門家の間では、50% がこのペアの上昇、40%が下落を支持、10% が中立の立場です。

    サポートレベルは113.50、113.20、112.55、112.70。直近レジデンス圏内は、114.40-114.65、その後は、115.00、115.45、116.00、116.35が控えています。

    日銀の基準金利の決定が1月18日(火)に発表される予定です。そして、おそらく、前回と変わらず、マイナス0.1%となる可能性が高いようです。前述どおり、こちらの政府によれば、この国は円高を必要としておらず、円安は輸出業と企業利益を支えるため、この国の経済を助ける可能性がより高くなります。

暗号通貨: ここでも、ジェローム・パウエル議長のおかげ

  • サトシ・ナカモトは、2009年1月に50BTCとジェネシスブロックのマイニングによりビットコインのメインネットを立ち上げました。それからわずか13年しか経っていませんが、中国の国家発展改革委員会は2022年1月に暗号通貨のマイニングが“時代遅れ” であると発表しました。この経済最高機関の公式発表によると、今後は、よりクリーンで資源集約度の低い産業を優先し、"時代遅れ" のテクノロジーのリストにあるマイニングは投資から禁止され排除されなければなりません。

    ウィリアム・シェイクスピアのとおりでした; 月の下では、何事も永遠に続かない。そして、中国でデジタル通貨が“ペルソナ・ノン・グラータ”と宣告された後、暗号通貨市場の影響力の中心が完全にアメリカに移りました。その証拠に、先週はパウエルFRB議長の一言でビットコインの下落が止まり、暗号市場のトレンドが上昇に転じました。

    パウエル議長は、米上院銀行委員会で、ステーブルコインが中央銀行の公式暗号通貨(中央銀行デジタル通貨は、中央銀行によって発行されるデジタル形式の法定通貨)と併用できる可能性があると述べました。しかし、これは暗号通貨の相場を上昇させたのではなく、一般的なドル安と投資家のリスク選好を戻しただけです。

    前述のとおり、ジェローム・パウエル議長は連邦準備制度理事会が約9兆ドルのバランスシートの縮小をまだ決定していないこと、2022年の利上げは4回ではなく、3回までであることを明らかにしました。その結果、DXYドルインデックスが下落する一方で、株価指数と暗号通貨の相場は上昇しました。

    BTC/USD は1月10日に$39,660に下落しました。2021年9月以来の安値への下落です。しかし、その後、S&P500、ダウ・ジョーンズ、ナスダックの上昇に続いて、1月12日には$44,300に上昇し、暗号通貨市場の時価総額は、重要な心理レベルである2兆ドルを再び超えて、2兆910億ドルになりました。 しかし、Crypto Fear & Greed インデックスは、非常に恐怖の圏内から抜けることはなく、15から21ポイントへ上昇しました。

    暗号通貨市場の新たな急騰の始まりについて話すのは、時期早々であることは明らかです。BTC/USD は、市場高値を35% 下回っており、時価総額は、2021年11月10日の約3兆ドルからは、まだ非常に遠いところにいます。そして、また、ドルの強い上昇が始まれば、デジタル資産は下方傾向へと戻ることが予測できます。

    もちろん、暗号通貨愛好家は、いつもどおり、ビットコインがすぐに高値をつけるだとうと予測しています。暗号通貨取引所の Binance のチャンポン・ジャオCEOは、フォーチュン誌の記事で暗号通貨の世界的普及率が2022年には、現在の5% から20% へ跳ね上がると主張しています。また、Galaxy Digital の創設者であるマイケル・ノヴォグラッツ氏は、“健全な引き戻し”に過ぎないとして35% だと見ています。同氏の見解では、ビットコインは$38,000-40,000付近のサポートで、その後は、上昇に戻るでしょう。コンサルティング会社のDeVereグループのナイジェル・グリーン CEO も現在のサイクルでビットコインを購入するのは、今が最も適していると述べています。

    しかし、専門家の一部は、このような考え方は楽観的すぎると考えています。つまり、ENCRY財団は、ビットコインの価格が$28,000-30,000に下がった後にだけ、上昇に戻る可能性があると予測しています。“アメリカの資産買戻しプログラムの終了後は、市場への流動性が2022年後半には減少するでしょう。そして、ビットコインは$30,000に下落するかもしれない” と同財団のスペシャリストは説明しています。

    現在の水準では、相場の底としてまだ説明することができません。8848 Investの主要アナリストであるヴィクトール・ペルシコフ氏も述べています。同氏によると、底値のフォーマットには、まだ、観測できていない状況があります。これは、ロングポジションの蓄積や建玉の増加、市場参加者のBTCの売りの減少と同じく世界の中央銀行の金融引き締め策のスピードと程度を明らかにするとともに、長く固定されていることです(現状では少なくとも2カ月)。

    “暗号通貨市場の現状では、個人参加者が市場から振り落とされる時の典型的な状況である損切を含む感情的な売りが大方の特徴です。現在の下落は、大口のBTC投資家にとっての脅威ではなく、さらなる上昇前の通常の調整です" ペルシコフ氏は述べています。彼の見解によれば、ビットコインは、1年の大半が$30,000-70,000の価格帯になります。

    BTCの本格的な上昇は、機関投資家のビットコインの上昇への関心が同じように高まった時に可能になります。ブルームバーグによれば、JPモルガンの顧客調査の5%だけが、ビットコインの価格は2022年末に $100,000 にとどくと信じています。40% 以上は、$60,000レベルにしか戻らないと思っています。銀行のストラテジスト、ニコラオス・パニギルツォグロウ氏によると、ビットコインの適正価格は、$35,000 to $73,000だそうです。

    ビットコインの競合相手であるイーサリアムに関しては、暗号通貨アナリストのジャスティン・ベネット氏が 市場全体の下落を背景に“イーサリアムが$4,000を下回っている間は、注意が必要” だと考えています。今週から数ヶ月間イーサリアムがこの範囲に戻って足場を固められた時にだけ、2021年に観測された強い上昇傾向の継続について話せるでしょう。"

    同アナリストは、ビットコインに対するイーサリアムも注目しており、ETH/BTC は、1 ETH あたり0.18 BTC ($7.388)の長期の上昇の可能性もあるが、これには、サポートとして0.075 BTC ($3.077) レベルを維持する必要があります。

    以上のことから、状況が現在あいまいであることを示しています。そこで、どうしたら暗号通貨で稼ぐことができるのでしょうか? この質問の答えに、サンフランシスコ在住のSiraj Raval 氏が2018年テスラモデル3の自動車をイーサリアムのマイニングに使用していることをユーモアのある暗号通貨ライフハックでも取り上げました。このために、同氏は対応する無料のソフトウェアをApple Mac mini M1で起動し、車のセンターコンソールに接続しました。5枚のグラフィックカードがテスラのバッテリーで駆動しています。Raval氏によれば、この方法で1日20時間稼働し、2021年は1ヶ月あたり $400から  $800 稼いだといいます。

    魅力的な数字に見えます。残すは、およそ $50,000 の自動車の購入資金の用意と中国政府のこのマイニング方法について有害で時代遅れであるとみなさないかどうかを見極めるだけです。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。

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