2022年3月14日‐18日のFXと暗号通貨の予想

EUR/USD: 今週のメガイベント: 米連邦準備制度理事会

  • 期待通り、先週のメインイベントは3月10日のヨーロッパ中央銀行の会合でした。金利据え置きの0%には誰も驚くことはありませんでした。しかし、この決定が想定内であったにもかかわらず、EUR/USD は政府側の声明後、まずは、1.1120に急騰、それから 1.1000へ下落しました。タカ派とハト派の両方に"エサ"を与えようとしたことが失敗でした。

    その一方で、ECBがQEをさらに敏速に縮小しようとする決定に誰もが驚きました。QEによる資産購入額は4月の400億ユーロから5月には300億ユーロ、6月に200億ユーロに縮小され、前回の予想より大幅に上回っています。前回では、10月までは200億ユーロへの削減はない推定されていました。

    しかし、ECBの利上げに関する立場は、依然にましてよりハト派的になりました。政府は、QE削減とこれに続く利上げは非常に短い間隔にする予定であることを述べています。現在、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁によれば、"ECBの基準金利の調整は、債券購入終了後のある時点で段階的に実施"です 。このようなハト派的な発言は投資家を落胆させ、EUR/USD を押し下げました。

    40年ぶりの消費者物価指数の上昇という米国のインフレ報告がユーロ売りに拍車をかけました。つまり、月次の消費者物価指数は0.6%から0.8%へ上昇、年間だと、インフレーションは7.5%から7.9%へ加速でした。これらのデーターにより来週の水曜日、3月16日に開催される次のFRB会合での米国のフェデラル・ファンド利上げの確信がさら強くなりました。さらに、米中央銀行のジェローム・パウエル総裁は、今回の会合で0.25%の利上げを提案する予定であると述べました。.

    当然、インフレーションは米国だけでなく、ヨーロッパでも上昇しました。ECB は2022年の上昇予想を3.2% から5.1%にしました。また、ゴールドマン・サックスのアナリストよれば、この数字は8%まで上昇する可能性があります。しかし、金融政策と経済見通しの相違がEU側でないことは明らかです。政治的要因があることも考慮すべきです: ウクライナの武力紛争地帯に近いことやロシアのエネルギーにヨーロッパが依存していることです。

    現在、ヨーロッパがロシアに対する制裁の損失を主に被っています。アナリストは、スタグフレーションが進行しているとの見方をしています。米国も経済成長の減速を無視できません。しかし、世界有数の原油供給国の一つであり、シェールガスもあるのでエネルギー価格高騰の影響はかなり少ないでしょう。また、コロナウィルスのパンデミック時に蓄えた米国世帯の貯蓄額は、現在、史上最高額となっています。この資金的クッションがインフレ圧力を弱め、Fedの金融引き締め政策を可能にしています。

    EUR/USD は、先週にかけて若干2月の損失を取り戻し、1.0911で5日間を終えました。しかし、ウクライナ紛争の激しさと鉱物燃料の上昇で弱気筋の直近の戦略的目標が3月7日の安値 1.0805を再度試すこととは間違いないでしょう。 これに続いて2020年の安値1.0635と2016年の安値1.0325となるでしょう。前回のレビューでは、既に相場がある地点で1.0000 になるかも知れないという見方を示しました。この見通しは、ABN Amro 銀行のストラテジストによるこのペアのパリティが下がることを基本的なシナリオとしています。

    一方で、紛争行為の完全な終了は言うまでもありませんが、ウクライナ情勢の外交的解決の兆しがあればユーロはかなりサポートされ上昇につながることになります。ボラティリティが大きくなれば、強気筋の直近のターゲットは1.1000付近のレジスタンスゾーンを突破することになるでしょう。そして、次に1.1100-1.1125、1.1280-1.1390、と1月13日と2月10日の高値1.1485になります。

    アナリストの見解は次のようになります。50% がEUR/USD が3月中に少なくとも1.1200に戻すことができるという意見です。25%が弱気側で、残りの25%は中立の立場です。D1に関するオシレーターは 90% が赤、10%がニュートラルグレイ。トレンドインジケーターは弱気側が100%です。

    来週のカレンダーについては、既に述べたように、3月16日水曜日の米連邦準備制度理事会の会合がメガイベントになります。そして、最終コメントの発表と政府当局側の記者会見の数時間前には米国の小売売上高に関する統計が公表されます。翌日の3月17日木曜日にある欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁のスピーチ、ユーロ圏の消費者市場や米国の労働市場のデーターに注目です。

GBP/USD: イングランド銀行からの期待するもの?

  • 制裁前のEUのロシア産ガスへの依存は、およそ45-50% でした。EU諸国とは異なり、イギリスはロシア産ガスの供給から実質的には独立しています: この数字は3%未満。ロシアとの貿易量も非常に低いです。そして、地理的にもロシアとウクライナの武力紛争地帯から約2,000kmも離れています。これらの要因でイングランド銀行がECBと違って金融政策の正常化をより決定的にしています。

    連邦準備制度理事会の会合の翌日の3月17日にはイングランド銀行の会合もあります。なお、前夜にどの程度、米国中央銀行が利上げ(あるいは、利上げなし)をするかによってイギリス政府の利上げ決定が左右される可能性が高くなります。これは、イギリス通貨の為替レート予測の上での不透明要因でもあります。

    イングランド銀行が最初に0.5%の利上げをしたことを思い出してみましょう。しかし、どのくらいタカ派が続くかは今のところ不明です。

    GBP/USD についてアナリストの予想は次のとおり: 35% が上昇、35%が -下落、残りの20%が横ばい傾向です。 しかし、月次予想では明らかに強気が優勢: 65%で15% が弱気、20% は無回答。D1インジケーターの100%は、このレビュー執筆時点で下向きですが、30%のオシレーターは、このペアの売られ過ぎを示しています。

    ポンドは、1.3035で今週の取引セッションを終えました。直近のサポートは、1.2985-1.3025圏内で、これに2020年のサポートが控えています。レジスタンスレベルは1.3080、1.3145、1.3200、1.3270-1.3325、1.3400、1.3485、1.3600、1.3640。

    イングランド銀行の会合以外に、来週は15日火曜日に平均賃金や失業保険の申請件数の推移などを含んだイギリスの労働市場データーの発表があります。

USD/JPY: 市場はドルを選択

  • 前回のUSD/JPY では、市場がパニックに陥り、投資家が資金の安全な保管場所を探しはじめることをほのめかした “円かドル: どちらが安全通貨にふさわしい?”: という質問をしました。

    この質問ですが先週はドルの勝利でした。ただの勝利ではなく、大勝利でした。3月11日金曜日に114.81ではじまったUSD/JPY は上昇、わずかながらに下げた117.25で取引終了の鐘がなりました。大半のアナリスト(75%) が、この上昇を見通していましたが、これほど力強く、すべてを破壊するほどであることを予想していた人はほとんどいなかったことを思い出しましょう。この電撃戦の結果、1月-2月の高値116.35 を更新するだけでなく、2016/2017年の年越しにとても、とても長く取引されていた圏内にとどきました。

    専門家は円の需要が低い理由として日本銀行がいまだに景気刺激策の削減を好んでいることだと述べています。既に記述しているとおり、政府は現在の状況での金融引き締めが経済に良い影響を与えるよりも悪い影響を与える可能性があると考えています。しかも、この国はロシアの制裁措置に加わっており輸出型企業のかなり収入源を取り上げています。

    ロシアのウクライナ侵攻を背景に、ロシアと日本は第二次世界大戦終了時に平和条約が締結されず、現在も形式的には戦争状態にあることも注目されます。その理由は、南樺太と千島列島の領有権に関する意見の相違です。そして、この課題がここ数日、再び浮上しました。

    弱い統計が先週も円に対して作用しました。日本の2021年第4四半期のGDPは、1.4%増ではなく、1.3%から1.1%に減少でした。年間としては、5.4%から4.6%減で投資家を失望させました

    予想としては、80%のアナリストがこのペアの上昇の可能性は既に出尽くしているという見解で、20% が反対の見方です。D1のインジケーターでは、上向きに強く突破した後、ほぼ完全一致です。トレンドインジケーターの100%とオシレーターの90%も上向きですが、このうちのうちの3分の1はすでに買われすぎのゾーンです。 残りの10%のオシレーターは中立のポジションです。 

    アナリストは117.35、117.70、118.00、118.60をレジスタンスレベルとして挙げています。サポートレベルと圏内は117.00、116.75、116.35、115.75、115.00、114.40-114.65、114.15、113.75。

    日本銀行の定例会議が3月18日金曜日に開催されます。しかし、イングランド銀行がアメリカ連邦準備制度理事会の決定に反応すれば、常にマイナス(マイナス0.1%)の金利の日本政府からの期待は何もないでしょう。安全通貨としての円は、常に投資家のリスク資産からの逃げ道として支えられています。しかし、先週の様子で判断するなら、投資家はドルを選好しました。

暗号資産: 39日のミステリーと暗号資産の王冠をかけた密かな戦い

  • 3月9日の想定外のビットコインの急騰におそらく多くの人が驚いたことでしょう。週明けはかなり静かでした: 強気筋は$40,000超えようとし、弱気筋は$37,000を下回ろうとしました。そして突然、わずか数時間の間に、BTC/USD は10%急騰、$42,520の高値になりました。

    なぜ、このようなことが起きたのでしょうか?

    暗号資産の現在と未来は、ホワイトハウスと米中央銀行の手に委ねられるところが大きいと繰り返し述べてきたが3月9日の急騰は明らかにその証拠です。

    ジョー・バイデン大統領の大統領令の詳細が明らかになった後、ビットコインとほかの暗号資産は急騰しました。この文書は、連邦政府機関に対し、年末までに暗号通貨が国家安全保障と経済に与える影響を調査し、法律の必要な変更について概説するように指示しています。特に、SEC(証券取引委員会)やCFTC(商品先物取引委員会)の業務調整や国務省から商務省に至るまで、政府機関の役割分担を明確にすることになっています。

    多くのアナリストによれば、ウクライナ情勢がホワイトハウスによるこの文章の準備を促しました。より正確に言うなら、一部の組織や個人が対ロシア制裁回避のためにデジタル資産を利用するのではないかという懸念からです。しかし、理由はどうであれ、ポイントは変わりません。例えば、この市場を完全に封鎖した中国と違い、アメリカは対照的にこの業界を成長させたいようです。そして、これが暗号資産の投資家に肯定的に受け止められました。

    このようなワシントンの意向はスカイブリッジ・キャピタルの創業者であり、元ホワイトハウス広報部長であるアンソニー・スカラムチ氏により確認されました。同氏は、アメリカが暗号資産市場の首根っこをつかまないであろうと確信しています: “私は、米国が金融サービスのリーダーシップを失いたいとは思っていません。デジタル通貨の禁止や過剰な規制の決定をすれば、この国からの資金や頭脳流失を見ることになるでしょう”

    こちら実業家はMagnifi のインタビューで、今までに暗号資産を購入したことのない人もBTCを購入すべきだと述べています。スカラムチ氏によると、待つ意味のわかる冷血なホルダーが将来、利益を得ることになります。同氏は、数年でビットコインが$100,000 になると確信しています。ちなみに、こちらの実業家は約10億ドルのビットコインを保有しています。

    ロシアへの制裁に話を戻すとビリオネアである伝説の投資家ビル・ミラー氏によれば、ビットコインの価格は急騰する可能性があるようです。 “ロシアの保有する蓄えの約50% はロシアに危害を加えたい人々が管理する通貨である” とミラー氏は述べています。 これに関しては、ロシア政府はデジタルゴールドを準備通貨として使うかもしれません。そして、これは、ミラー氏によれば、ビットコインの“かなり強気のシグナル”になります。

    この強気感情はデイブ・ザ・ウェーブとして知られる有名な暗号資産アナリストからも支持されました。予想によれば、ビットコイン価格は2022年に史上最高値になるはずです。デイブ・ザ・ウェイブはBTCの価格チャートを公開し、ビットコインが$40,000を下回りながらも、$100,000に進んでいると説明しています。世界市場の崩壊でコインが$36,000 から堅実に反転する可能性があります。

    有名な暗号資産アナリストでトレーダーのマイケル・ファン・デ・ポッペ氏は、現在の状況について全く違った見方をしています。同氏は、東ヨーロッパの政治情勢により、ビットコインは$30,000に下落し続けるといいます。"なぜ?" とこちらのアナリストに質問すると、その答えは: “短期的なパニックによるものです。トレーダーは短期的で非常に衝動的で感情的であるということを理解する必要があります。そして、これが市場に反映されるのです” 。同時に、マイケル・ファン・デ・ポッペ氏は現在の景気後退ではビットコインの買い増しについて楽天的な人々にとっていいチャンスだといいます。

    こちらのトレーダーによれば、イーサリアムをはじめとするアルトコインについては現状では強い売り圧力がかかっており、$2,000 台まで押し下げられるだろうといいます。

    ギャラクシーデジタルのマイケル・ノヴォグラッツCEOによれば、近い将来にビットコインと金が最も安全な資産になります。“この2つ資産に等号を入れれば、ビットコインか貴金属のどちらがより重要であるかについての議論を止めることができます“とこちらのビリオネアは言っています。

    しかし、現時点では同じではありません。対照的に、IntoTheBlockのアナリストによれば、ビットコインと貴金属の相関関係は2021年8月以来の最も低い水準まで落ち込んでいます。つまり、金や銀との関係では7ヶ月ぶりの安値でした。アナリストは、ロシアのウクライナ国内での軍事的行為によりこのような変化が起きているいう見方をしています。ビットコインは、コモディティ価格が上昇を続ける中、、従来の株式市場との相関性が高くなっています。

    専門家によれば資産収益とリスクの程度を評価する指標は、どの程度貴金属がビットコインと比較してボラティリティに優れた反応を示したか示しています。.

    アナリストもビットコイン所有者の多くが (57%)が最近のコイン価格の変動に動揺していないとことに注目しています。 多くの所有者が1年以上バーチャル資産を保有しており、依然、プラスの利益であることを意味します。

    このレビューの執筆時点(3月11日の夕方)は、3月9日に急騰した後、すべてが通常通りに戻りました: BTC/USD は、$39,000付近での取引で、市場の時価総額は1.854兆ドルに上昇、その後は一週間前の1兆740億ドルに戻りました。なお、 Crypto Fear & Greed インデックスは27 から22 ポイント下げ、再び非常に恐怖のゾーンです。

    そして、最後にユーモアのある暗号資産ライフのハックコラムからのもう一つヒントです。以前、ここでこの市場でお金を稼ぐ代替的な方法について話題にしたことを思い出してください。今回のアドバイス: “ワクワクするような暗号資産の文章を書くこと”。例えば、最近のフォーブスのジャーナリストであるローラ・シン氏のベストセラーです。タイトルはかなりそのままで:暗号資産: 理想主義、貪欲、嘘、そしてビットコインに熱狂させる方法。筆者は本書で、“ニュー・マネー”業界における影響力とリーダーシップをめぐる富裕層の大規模な戦いについて語っています。

    シン氏はヴィタリック・ブテリン、Web3 prodigy、チャールス・ホスキンソン、ジョーラビン(元ゴールドマンサックスの副社長で有名な暗号資産のビリオネアうちの一人)達を紹介しています。 “無限の可能性を秘めたビジネス界で、個性的な有名人たちが自分たちの居場所のために火花を散らす”と書いており、“暗号資産族” の対立が描かれています。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性もあります。

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