2022年4月4日-8日のFXと暗号資産の予想

EUR/USD: あまりにも不透明

  • 主要通貨の3月の推移は、ロシア・ウクライナ戦線の報道、ロシアへの制裁におけるエネルギー戦争、金融引き締めのペースにより左右されました。米ドルは、米国債利回りの急騰やFedの利上げシグナルによりこの数ヶ月は大幅に上昇しています。EUR/USD は、3月7日に1.0805 へ下落、2020年5月中旬以来の低い水準でした。しかし、その後のドルは上げ止まり、ピボットポイント1.1000に沿った横ばいの推移となりました。Fed運営陣のタカ派的発言がこのペアを押し下げ、ロシアとウクライナの武力紛争解決への期待でこのラインを超えました。

    EUR/USDの推移は先週と同様の材料で左右されました。このペアは3月28日(月)から3月31日(木)にかけて、1.0944から1.1184へ 240ポイントの上昇でした。まず、ECBが年内にリファイナンス金利を積極的に上げることに着手するかもしれないとした米国メディアの報道によりユーロ高となりました。伝えられたところによると、大口の市場参加者の多くがヨーロッパ政府に2022年末までに4回の利上げ要求をしているようです。その結果、投資家がECBのこのような動きの可能性を相場に盛り込み始め、ヨーロッパ国債は上昇となりました。

    翌日の3月29日はイスタンブール(トルコ)でおこなわれたロシアとウクライナの和平交渉の期待が高まりました。ロシアのEUへのエネルギー戦争の成功も欧州通貨を助けました。ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、1週間前にヨーロッパへのエネルギーを供給はルーブルのみとした法令に署名しました。この意図は明らかでした: 制裁下でルーブルの為替レートをサポートすること。しかし、主なヨーロッパの消費側は断固としてこれを拒否しており、ロシアの大統領はこの決定に注意を払うことを余儀なくされています。

    すべてがユーロにとって良いことのはずでしたが、週の後半には2022年のユーロレートの上昇は憶測しかなく、イスタンブールでの交渉は大きな進展がないことがわかりました。マクロ統計もわずかながらドルを助けました。結果として、EUR/USD の上昇は止まり、下向きになり、5日間をピボットポイントからさほど遠くない水準の1.1045で終わりました。

    ウクライナでの紛争結果は、まだ、わかりません。ヨーロッパへの炭化水素の供給や支払い状況も混乱が続いています。原油は3月24日以降、約14%値下がりしています。これは、ジョー・バイデン大統領の石油の備蓄放出計画における市場の反応です。ホワイトハウスでは、今後6カ月間に一日あたり100万バレルまで放出予定です。そして、これは米国の石油備蓄計画の約50年史上で最大の放出量となります。ここで注意しなければならないのは、量が少ないにもかかわらず、現在、石油の供給がガスより多くの利益をロシアにもたらすということです。アメリカのこのような決断がヨーロッパのロシア産エネルギーの依存度を下げ、ロシア経済へのさらなるダメージとなるはずです。

    もう一つ不透明なことはFedによるものです。最近、米国のGDP予測が修正されたことを思い出してください。政府はロシアとの制裁戦争により2022年の経済成長を4% から2.8% への減速予想と示しました。それに加え、利上げ予想も変更となりました。以前は、年末までに0.75-1.00%になると言われていました。 この数字が、現在、1.75-2.00%に上昇しています。年内にあと6回の会合しか残っていないことを考えると、FOMC(連邦公開市場委員会)は毎回0.25%の利上げをしなければならないことになります。

    しかし、これだけではありません。2023年末の利上げ予想も 1.50-1.75%から2.75-3.00%へと上昇しました。しかも、2024年にはいくつかの金融規制にも直面するようです。つまり、これは単なる予想修正ではなく、米国の金融政策の強い引き締めがあり、労働市場に深刻な打撃を与え、大きな景気後退へとつながる可能性があります。市場は4月6日(水)に今後のドルの動きについて重要なシグナルを受け取るかも知れません。この日は3月のFOMCの議事録が公表予定となっています。

    現在、アナリストの50%がドル高の支持です。40%はEUR/USD の上昇、10% が中立の立場です。D1のオシレーターは混在: 30% が赤、20% が緑、残りはグレーのニュートラル。トレンドインジケーターは、赤が優勢: 緑の15%に対して赤は85% 。

    強気筋の直近のターゲットは、1.1100-1.1135付近のレジスタンス圏内を突破、それに続いて1.1185-1.1200、1.1280-1.1350と1月13日と 2月10日の高値である1.1485付近。弱気筋については、1.0950-1.1000の圏内を確実に突破して100ポイント下げること。もし、これに成功したら、次のターゲットは3月7日の安値1.0805と2020年の安値1.0635、2016年の安値1.0325。

    3月のFOMC議事録の公表以外は、来週の経済イベントは比較的少なくなります。4月5日(火)の米国サービス部門ISM PMI の公表と4月7日(木)のユーロ圏小売売上高のデーターには注目です。

GBP/USD: 1.3100 に沿った横ばい傾向

  • 先週のイギリスからの統計は、かなり矛盾したものでした。31日(木)に発表されたデーターでは、イギリス経済の第4四半期は1.3%の上昇で、前回の1.0%と予想の1.0%をともに上回りました。 また、この1年間の経済成長率は7.5%で、1941年以来の高水準でした。 しかし、ここでは2020年のGDPが9.4%減少したことを考慮する必要があります。つまり、まだ、パンデミック前の水準に完全には回復していないのです。さらに、21年の第4四半期のこの国の経常収支に関するデーターは予測の176億と前回の289億に対して73億ポンドとなりました。

    イギリスの製造部門の業績も予想を下回り、4月1日(金)にIHSマークイットが発表した報告書でも確認されています。3月の購買担当者景気指数(PMI)は、予想の55.5に対して55.2。

    ユーロと同じく同様な理由からGBP/USD の投資家やトレーダーには迷いがあります。その結果、このペアは1.3100に沿った推移での週を通して低い値幅での取引でした。 今週の安値は1.3050、高値は1.3182、1.3112で取引終了の鐘が鳴りました。

    来週の予想ではアナリストの55% が強気、35% が弱気、10% が中立です。予想中央値は依然として1.3100を指しています。しかし、4月全体の予測になると、その数字は1.3235に上がっています。D1のほとんどのトレンドインジケーターは上向きです。オシレーターでは、55%が赤、 20% が緑、残りの25% がグレーのニュートラルです。トレンドインジケーターでは、 EUR/USDと同様、赤が圧倒的に多数: 赤は90%。

    直近のサポートは1.3080-1.3100付近で、その後は1.3050と3月15日の安値 ( 2021-2022同様) - 1.3000に続き2020年のサポートが控えています。 レジスタンスレベルは、1.3160、1.3190-1.3215、そして1.3270-1.3325、1.3400、1.3485、1.3600、1.3640。

    イギリスの経済関連のイベントでは、4月4日(月)にあるイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁の発言と4月5日(火)の総合PMIやサービス部門購買担当者景気指数、4月6日(水)の建設業購買担当者景気指数PMIに注目です。

USD/JPY: 125.09: これ以上は記録に反しない?

  • 円は記録に反した後は記録どおりです。3月25日(金)にUSD/JPYは 122.43 を付けた後、3月28日には既に263 ポイント高くなっています。円安が続く理由は同じ: 日本銀行が超緩和金融政策の変更を望まないためです。日銀の黒田東彦総裁は3月22日に量的緩和政策 (QE)の縮小や利上げについての議論は時期早々だと発言しています。 マイナス0.1%というマイナス水準が長く続いていることを思い出してみましょう。それに加えて、政府は目標水準の利回りを0.25%に抑制するために必死で先週は日本国債(JGB)を積極的に購入しました。

    先週の高値125.09 は既に2015 の高値125.86に近づいています。また、 クレディ・スイスのストラテジストによると、このペアがこの高値を突破すれば長期的には135.20、さらには 147.00-153.00圏内に道が開かれる可能性があります。しかし、ストラテジストの見解では、現在の修正は第2四半期中に、まずは、119.79、そして119.09、その後、119.00-125.00圏内への取引推移です。クレディ・スイスは、119.09のサポートを突破すれば、引き戻しが大きくなり、 116.35-116.50圏内になるとの見方もしています。

    ラボバンクのアナリストも第2四半期は同じ高値で125.00を超えるのは今年後半になってからだと予想しています。 Fedの金融引き締めの方針は、既に現在のドル相場に組み込まれいるため、今後数ヶ月はこのペアの上昇を抑えることになるでしょう。しかし、金利差と日本の原材料輸入国としての立場が第3四半期、第4四半期にあらわれ、徐々に円安が進むことになります。 USD/JPY が125.00 を急激に上回れば日本銀行の量的緩和政策(QE) の見直される可能性が大きく高まります。

    先週、このペアは125.09になると、調整が始まりました。3月31日(木)に121.27で安値を記録した後は、再び上昇して122.54で終了しました。

    アナリストの50%が来週は強気を示しており、堅調でターゲットとしては124.00-124.50圏内の見方をしています。 対照的に25% のアナリストはさらなる下落、25% が中立の見方です。月次予想では、大多数のアナリスト(85%)が円高でこのペアについて115.00-117.00 圏内の予想をしています。

    D1のインジケーターでは、このような上向きに強く突き抜けた後にほぼ一致となります。トレンドインジケーターの90% とオシレーターの100%は上向きですが、 オシレーターの25%はすでに買われすぎゾーンです。直近のレジスタンスレベルは123.20、124.20、そして3月28日の高値125.09。その後は、既に述べましたが、強気筋が2015年の高値125.86を目指すことになるでしょう。 直近のサポートは、122.00、そして121.30。これに続いて120.60-121.40、119.00-119.40、118.00-118.35が控えています。

    この週については、日本についての重要な統計はありません。

暗号資産: クジラと短期投機家の動向

  • 株価指数を上昇させた投資家のリスク選好は先週のはじめに暗号資産市場を引張りました。3月の後半にビットコインが28%、イーサリアムが40%近く上昇しました。

    3月25日(金)の夕方、ビットコインは今年になって5回目となる強力なレジスタンスレベルの$45,000になりました。 4回目の前回は足元を固めることに失敗して、BTC/USD は引き下げました。今回は、とうとう待ちわびた強気派が成功したようです: 相場は3月28日に局地的な高値 $48.156 を記録しました。しかし、その後、200-日 SMAで上昇は止まりました。 この止まった最も論理的な理由は週末のドル高にあります。

    4月1日の執筆時点でビットコインは、まず、$45,000 圏内に戻り、レジスタンスからサポートに転じて$46,500に反発しました。 市場時価総額は2兆1400億ドルに上昇 しました(1週間前は1兆995億ドル)。 The Crypto Fear & Greedインデックスもやや上昇: 47から 50 ポイント。

    DataDash のニコラス・マーテンCEOは 短期投資家とレバレッジをかけたトレーダーがビットコインのボラティリティに影響を与えるので“クジラ” の成長に影響を及ぼすと考えています。“この数ヶ月はマクロ情勢においてパニックが続いている” と同氏は記述しています。Fed の利上げ... ウクライナとロシアの紛争、コロナウィルスの次の感染拡大- これら全ての材料が個人投資家を悲観的にしています。同時に、“クジラ”は対照的で暗号資産を売却しませんでした... 事実、長期投資家のビットコインの購入か保持が見られました。

    こような投資家の一つが、有名なソフトウェア開発会社であるMicroStrategyです。同社は最近、自社の暗号資産を担保に2億500万ドルの融資を受けました。融資元は、アメリカの銀行シルバーゲートです。融資目的はビットコインの購入です。Bitcoin Treasuries のウエブサイトによると、MicroStrategyは既に60億円相当に近い 125,051 BTCを保有しています。 MicroStrategyのマイケル・セイラーCEOは、“このローン”について “ビットコインに投資する公開会社のリーダーとしての立場を強化するチャンスである”と述べています。

    なお、暗号資産を担保とする企業はMicroStrategyだけではありません。このタイプのローンのためにシルバーゲート銀行では特別なSEN レバレッジプログラムを用意しており、債務総額は既に5億7千万ドル以上になります。

    Glassnodeのアナリストによると、マクロ経済や政治情勢の課題が数多くあるものの、ビットコインは弱気相場の後半に入る可能性が高いとのことです。これは、$35,000-42,000範囲でのビットコインの積極的な蓄積と2021年第1四半期に購入されたビットコインの大きな支出がないことからも明らかです。一年以上の“熟成” したビットコインはこの8カ月で9.4%増加して過去最高の62.9%に迫っています。ビットコインの保有者は過去12カ月で50%を超える調整時でも処分をしませんでした。この指標の伸び率は、2018年から2019年の市場の回復に匹敵します。そして、これはビットコインに対する投資家の信頼が高まったことを反映していると考えられます。

    その一方でGlassnode のアナリストは、弱気市場での底や投資家の降伏過程が時として長く痛みを伴うものだと警告しています。つまり、弱気相場の終わりの特定を焦らないように促しています。

    多くのアナリストは新たな強い下方調整がある見方をしています。相場急騰の原動力はなく、政治情勢や世界的な経済回復に委ねられています。$30,000レベルがBTC/USD の弱気ターゲットになる可能性があります。

    Factor Tradingのピーター・ブラントCEOは、楽観的予想に注意を呼びかけています。こちらの伝説的トレーダーはBTCの最近の動向が$3,500で底打ちして強気サイクルの最初の段階がはじまった2019年4月を思い起こさせると629,400 人のフォロワーにツィートしました。しかし、同氏はテクニカル的な突破ですらビットコインが2019年のような反発を繰り返すことを保証するものではないと強調しています。

    “チャートは未来を予測するものではない。チャートは確率を提供するものでもない。チャートはチャンスを与え、取引プログラムでのリスク管理に役立つものである。チャートのパターンは、うまくいくこともあれば、失敗することもあり、形状を変えることもある。もし、レーザーアイが再び現れ、BTCがストップしたら、要注意である” とブラント氏は警告しています。

    通称Dave the Wave の暗号資産アナリストはビットコインが週足で大きな上向きのトライアングルを形成しており、史上高値の$69,000まで上昇する可能性があるというコメントを投稿しました。

    3月の最後の週の予想ではイーサリアムがビットコインより現在、若干優れていることがわかりました。上記の上昇数値がこのことを明らかにしています。多くの投資家が現在、ビットコインと一緒にイーサリアムを購入しています。さらに、コミュニティは、待望のイーサリアムメインネットの更新を待っているところです。Mergeの更新はテストネットでのテストの成功に続いて開始が近づいています。開始前に、50億ドル以上のETHトークンがバーニングされたのを受けて流通から除外されました。 バーニングがイーサリアムの全体的な供給量を減らすため、その価格にプラス効果を与え、アルトコインの上昇に貢献しています。Glassnodeのアナリストは、取引所でのイーサリアムの量が最近、減少していることに気がつきました。こちらのアルトコインの流入は流出より20% 低く、ETH の不足の形状の状態を作りあげています。

    コイン価格の上昇は上位10の大口ETHアドレスの動きが背景にあります。分析会社サンティメントの新しいレポートによると、クジラはイーサリアム総供給量の23.7%まで蓄積しているとのことです。そして、クジラは資産を放出せず、ETHをオフラインストレージに送ることを選んでいます。同様の傾向が2017年前半にも見られ、その後、5年前に熱狂の中でイーサリアムの上昇が見られました。

    そして、このレビューの最後に暗号資産ライフハックでもう一つアドバイスです。この市場での面白くて意外な方法によるお金の稼ぎ方にふれていることを思い出してください。

    何のためにトイレがあるか思ったことはありますか? お答えしましょう: 暗号資産のマイニングのためです! これは、まさに、スロバキアのガブリエル・コサック氏とドゥシャン・マツカ氏が考えてことです。この考えにより、彼らは人間と動物の排泄物による電気で稼働するAmityAgeマイニングファームを作りました。ドゥシャン・マツカ氏は"この装置は生分解の過程で発生するメタンで稼働する" と述べました。このような排泄物の不足は当面不足しないので、ファームでのビットコインのマイニングには世界的なエネルギ‐価格の上昇に左右されません。さらには、再生エネルギー源により環境にやさしいため、この業界のあらゆる苦情は完全になくなります。

 

NordFX Analytical Group

 

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