EUR/USD:FRB(FOMC)の会合を前に ユーロは5年ぶりの安値更新
- 主要6通貨に対するドルを測定したドルインデックスは4月28日(木)に20年ぶりの高値更新でした。この上昇理由は繰り返し述べているとおり同じです: FRBがほかの主要国の中央銀行より早く金融引き締め策を開始したことです。FOMC(連邦公開市場委員会)は次回の5月4日の会合で基準金利を0.5% まで上げるかも知れません。これは最低のものです。例えば、セントルイス連邦準備銀行のジェームズ・ブラード総裁は、すぐにでも0.75%に利上げをする可能性について否定しませんでした。
米国FRBがタカ派的な動きをしている中、ほかの政府はかなりゆっくり(または、まったくしていない)とした動きです。ほか国の経済では、新型コロナウィルスのパンデミックによる経済回復の乏しさが示されているので、中央銀行は金融刺激策(QE)の早急な縮小や借入コストを増やすことができません。
もちろん、これは欧州連合にもあてはまり、ウクライナへの軍事的攻撃によるロシアへの制裁によりさらに経済的損失を被っています。EU諸国はロシアからのエネルギーに高く依存していることを思い出しましょう。
このような状況からドルは欧州通貨に対して上昇を続け、EUR/USD は5年ぶりの最安値を更新、4月28日には1.0470 に下落しました。こうして、欧州通貨は4月だけで700ポイント以上を失っています。5日間の終わり近くでやや反発しましたが、1.0545の水準で終了しました。
1.0500の水準がサポートとしてショートポジションの量を減らした場合、かなり強い上方調整がある可能性があります。これがない場合の次の弱気筋の目標は2016年の安値1.0325です。すぐにユーロとドルの1:1のパリティが見られる可能性があります。しかし、5月4日の米連邦準備制度理事会の会合での金利についてと会合後の記者会見での運営陣の発言に大きく左右されます。
この執筆時点では、アナリストの意見はほぼ均等に分かれています。35% はドル高、30% は反対の意見で、残りの35% は様子見です。当然ながら、現在のこのペアの推移でD1のトレンドインジケーターとオシレーターの100%は赤、オシレーターの25%は、このペアの売られ過ぎのシグナルを示しています。直近のサポートは、1.0500に続いて、4月28日の安値 1.0470、また、 EUR/USD の弱気筋のさらなる目標は上記で述べたとおりです。直近のレジスタンスゾーンは1.0550-1.0600、1.0750-1.0800、1.0830-1.0860、1.0900-1.0935、および1.1000。
来週に関しては、5月2日(月)のFRBの会合が注目度No.1ですが、それに加えてドイツの小売売上高、米国製造業景況感指数(ISM)のデーター発表が予定されています。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言は翌日です。5月4日(水)は欧州連合全体としての小売売上高がわかります。この日は米国の民間雇用に関するADPレポートが公表されます。米国労働市場からのほかのデーターでは非農業部門の新規雇用者数(NFP)を含めた重要な指数が5月6日(金)にあります。
GBP/USD: イングランド銀行の会合前にポンドは2年ぶりの安値更新
- 前回のレビューでは1.3000のバトル失敗と述べました。反撃については、多くのアナリスト(65%) がない、反撃はなくポンドの下落が続くと回答しました。この予想はまさに正解で、売られ過ぎのシグナルにもかかわらず、GBP/USD は4月28日(火)にローカルボトム1.2410をつけました。 前回のこの水準は2020年6月でした。今週の最後の鐘は1.2575 圏内で鳴りました。
来週は米国連邦準備制度理事会だけでなく、イングランド銀行でも会合があります。予想ではイギリス政府が0.75% から1.0%の利上げの可能性があります。しかし、会合は5月5日でFRBより一日遅れのため、銀行のMPC(金融政策委員会)の9人の委員には海外の決定次第では立場を調整する時間があります。
一方、多くのアナリスト(70%) は、両会合を前にして中立の立場です。アナリストの15% はさらなるドル安予想で、同数のアナリストは上昇調整を見通しています。D1インジケーターでは赤が優勢のままです: トレンドインジケーターとオシレーター共に。弱気筋の直近ターゲットは1.2500のサポートの克服、このペアのさらなる下落目標は、1.2400、1.2250、1.2075および1.2000水準。強気筋に関しては、主導権をとれば、1.2600、1.2700-1.2750、1.2800-1.2835、1.2975-1.3000のレジスタンスに直面するでしょう。
イギリス経済の統計発表については、5月3日(月)に製造業 (購買担当者景気指数) のPMIが公表されます。総合とサービス部門のPMIはイングランド銀行の会合に少し先駆けて発表されます。5月6日(金)にあるイギリスの建設業PMIの発表で企業活動の全体像が明らかになります。
USD/JPY: 円は20年ぶりの安値更新。ほかに予想できること?
- 日本通貨は1ドル131.25 円を更新。USD/JPY の週前半は下落調整でした: 126.92の水準まで。しかし、その後は、日本銀行の会合に続き、433ポイントの新たな上昇を目にすることになりました。 この後、190ポインの強力なリバウンドがあり129.75で終了となりました。
一部のアナリストは、日本政府が超緩和政策を少しだけ縮小する可能性があると予想していました。それに加えて、以前、多くの政府関係者がインフレ率上昇に日本の世帯が不満を抱いており、米国連邦準備制度理事会の動向から金融政策の調整時期であると述べていました。しかし、日本銀行は変わらずのマイナス金利 (-0.1%) で必要に応じて国債の無制限買付けに取り組むと公表しました。
多くのアナリストによると、日銀は、2022年は金融緩和政策を変わらずに維持、おそらく少なくても2023年の会計年度まで大きな刺激を促すとしています。
さらに米国10年国債利回りが4月だけでも48 bpの2.83%上昇しました。 そして、これがその結果: ポンドが2年ぶりの安値、ユーロが5年ぶりの安値、円は20年ぶりの最安値!
アナリストの35% は強気派のさらなる高値の嵐を支持、50%が反対の立場です。残りの15% はFRBの会合を控えて中立です。D1のトレンドインジケーターとオシレーターについては、100% が上向き、オシレーターでは15%がこのペアの買われ過ぎを示しています。
直近のサポートは129.00-129.40に続いて、127.80-128.00、127.45、126.30-126.75、 126.00 と125.00。レジスタンスは130.00-130.351と31.00-131.25水準。強気筋のその後の目標設定は、むしろ占いのようなものです。唯一想定されることは、ゴールが2002年1月の高値であることです。このペアが上昇レートを維持するなら、早ければ6月に達成する可能性があります。
今週は、日本経済に関する重要な情報はなさそうです。トレーダーは2つ祝日があることについて知っておく必要があります:5月3日(火) の日本の憲法記念日と5月4日(水)のみどりの日。
暗号資産: トレンド、予測、ハリウッド
- ビットコインは2022年を通して$40,000付近のピボットテーブルに沿った推移で$50,000 にとどくか、または、$30,000に下落するかです。強気派と弱気派のバトルは先週と同じように続いています。BTC/USDのチャートを見れば、この5週間は弱気筋が優勢であったことが明らかです。もちろん、強気筋は流れを変えようとしていますが、未だ、成功は見られていません。
この執筆時である4月29日(金)の夕方の暗号資産の時価総額は重要な心理レベルである2兆ドルをまだ下回っているままです: 1兆752億ドル(1週間前は1兆850億ドル)。Crypto Fear & Greed Index は少しだけ悪くなりました: 26 から 23 ポイントで恐怖圏内から非常に恐怖圏内。BTC/USD は$38,700付近での取引です。
ビットコインとS&P500やナスダック総合株価指数などの株価指数との相関関係は、今も非常に強くあります。米国のハイテク企業の調整が昨年から始まっており、多くの企業の株式が現在、高値より50-70% 下回って取引されています。FRBによる急激な利上げを予想した投資家がリスク選好資産から米ドルへ移り、株式市場や暗号市場に打撃を与えました。多くの先進国での高いスタグフレーションのリスク、中国での新型コロナウィルスの感染拡大、ロシアとウクライナ紛争の激化、世界経済に与えるプロセスで楽観できません。つまり、1ビットコインが$30,000 を下回る可能性が多くあります。
トレーダーでアナリストのトニー・ワイス氏によると、ビットコインはサポートレベルを超えているので、さらに大きく下落可能性があります。このようにならないためには$39,500 前後を維持する必要があります。
カレオのニックネームで知られる暗号資産トレーダーもビットコインは底値の確信がとれない水準であるとした見方です。同氏によれば、暗号資産は2021年半ばの最近の安値に向かいそうです (2021年6月にBTC/USD が$29.066 の底値をつけたことを思い出してください)。現在のビットコインは大きなウェッジパターンの中で、カレオによれば今後数週間でこれが崩れ28%ぐらいの下落が見込まれます。さらに、同氏は $41,000を超えた反発があったとしても、あまり状況は変わらないだろうと警告しています。
アナリストのケビン・スウェンソン氏は、トレンドの反転を正確に予測することを提案しています。同氏よれば、暗号資産取引所のCoinbase でビットコインの週間取引高を監視することが必要です。この指数は2017年以降のビットコインの天井値や底値を正確にスウェンソン氏に示しました。スウェンソン氏は、投資家が底打ちを完全に確信するためには調整後の出来高が大幅に増加することが必要だと指摘: “価格がはねた時に大きな出来高がみられることは非常に少ないです。上昇トレンドは時間がかかります。強気筋は一緒に価格を吊り上げますが、弱気筋は通常、個別となります”。
しかし、現在の弱気トレンドにかかわらず、すべてが悲観的というわけではありません。ビットコインの価格が2022年の年末に$65,185にとどくかも知れません。 この予想をしたのはFinder がインタービューしたファイナンシャルアナリストたちです。アナリストたちによると、ビットコインの価格は2025年12月31日に$179,280、2030年末には$420,240 なるそうです。調査対象の2/3は今がビットコインの買い時であるとした見解です。9%だけがこの資産からの撤退支持でした。
回答者の87% は効果的な暗号資産にイーサリアムを挙げていました。ビットコインは71%で第2位でした。アナリストの半数はビットコインが最終的により高度なブロックチェーンに最も人気のある暗号資産の座を奪われるとしており、38% はビットコインが王座のままであると確信しています。
ARKインベストのキャサリン・ウッド氏とマイクロストラテジーのCEOであるマイケル・セイラー氏が長期的予想でビットコインが間違いなく100万ドルをつけるとした見解を表明していたことを思い出してください。両氏によれば、これは2030年頃になるといいます。
同じく100万ドルという数字をもう一人の専門家、ジェイソン・ピッツイーノ氏が先週、発言しており、どのような状況で達成するかを説明しました。このためには、まず、ビットコインがナスダック指数に依存することから脱却する必要となります。この依存が続けば、ビットコインやイーサリアムは価値を失うことになります。それに加え、ビットコインがブロックチェーンとの関連付けをやめることが重要です。この暗号資産がグローバルな準備資産となるためにはテクノロジー部門の一部というよりも、より金のような存在になる必要があります。
ピッツイーノ氏はビットコインが25倍に上昇したことは現時点では素晴らしいことのように思えると強調しています。しかし、資産価値が2018年12月から2021年11月の間に資産価格は22倍にも膨れ上がっているので、このような上昇は不可能ではないのです。
Chainalysisのアナリストたちがジェイソン・ピッツイーノ氏の強気感情を間接的に裏付けました。アナリストたちによれば、暗号資産投資家は2021年に1,627億ドルを稼いでおり、前年の2020年(325億ドル)と比べて400% 以上です。二つの暗号資産、ビットコインとイーサリアムが記録的な水準で上昇したためです。763億ドルでイーサリアムは、投資家に747億ドルをもたらしたビットコインを上回りました。アメリカの投資家が最も多く稼いでおり、470億ドルでイギリス、ドイツ、日本、中国よりも利益を上げています。ちなみに、イギリスの貯蓄者たちは"わずか" 82億ドルしか稼げていませんでした。
そして、レビューの最後に、映画と本の…世界からのニュースです。まず、映画会社のスコット・フリー・プロダクションがイーサリアムとヴィタリック・ブテリン氏を題材にした本The Infinite Machine の映画化を予定しています。これは暗号資産業界で有名なジャーナリスト、カミラ・ルッソ氏によって書かれたものです。映画はブロックバスターのエイリアン、グラディエーター、ブレードランナー、火星の人で知られたハリウッドの巨匠リドリー・スコット監督が共同制作予定です。
今週のもう一つのニュースは、元株式ブローカーのジョーダン・ベルフォート氏です。こちらのアメリカ人起業家は1999年に証券詐欺や相場操縦で有罪になり、22ヶ月服役していたことを思い出してください。彼は2007年に回顧録ウルフ・オブ・ウォールストリートを出版し、2013年には同名の映画にもなっています。そして、現在、こちらの金融の “ウルフ”は、およそ$300,000 相当の暗号資産が最近盗まれたことを認めています。同氏は、資金移動を目撃しましたがキャンセルすることができませんでした。運命の皮肉ですね...
NordFX Analytical Group
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