2022年6月6日‐10日のFXと暗号資産の予想

EUR/USD: インフレと労働市場ですべてが決まる

  • 今週の結果はゼロに近いと見なすことができます。EUR/USD は前回、1.0730で5日間の取引を終了しましたが、今回の取引終了の鐘は1.0720で鳴りました。なお、この1週間は非常に退屈だったとは言えません: 最大ボラティリティは160ポイント、高値は1.0786、安値は1.0626でした。

    5月30日(月)、DXYドル指数は5週間ぶりの安値となる101.29まで下落しました。これは、FRBが6月と7月の利上げの後に利上げサイクルを停止するかもしれないと予測されたためです。もちろん、米国のインフレが下がればということですが。

    しかし、トレンドは火曜日に反転しました。ユーロ圏からのデーターでインフレ率が過去最高水準になったからです。ブルームバーグのコンセンサス予想では5月の消費者物価は7.8%の上昇を想定していました。しかし、欧州連合の統計局では、4月に7.4%上昇した後、年間8.1%に上がり、史上最も高い数字となります。原油価格も3月上旬以来の高値上昇でした。これにより、米国債10年利回りは再び上昇、5月19日以来の高水準となる2.88%でした。国債と伴にドルは上昇をはじめ、EUR/USD は下落、6月1日には週安値となりました。

    米国労働市場の発表があった6月2日(火)にトレンドは、また、変わりました。同国の雇用は30万人の増加予想でした。しかし、実際は、12万8千人の増加にとどまり、労働市場の安定を維持するには十分でなく失業を招く恐れがあります。非農業部門新規雇用者件数(NFP)により多少のマイナスイメージは修正されました。この指標は週の終わりに発表され、予想値の32万5,000人と前回の43万6,000人に対して39万人でした。米国の雇用市場を安定させるには、毎月20万人強の新規雇用をつくりだす必要があります。つまり、NFP の39万人はかなりいい感じのようです。失業率については、先月と変わらず、5月は3.6%の水準にとどまり、予想の3.5%を下回りました。

    EUR/USD は現在、2015-2016 の安値付近の取引ですがDXY指数は、この20年間の最高値である2016年12月の高値にとどきました。

    スイスホールディングUBSウェルス・マネジメントのような一部の為替ストラテジストは、ドル高が止まる可能性があるという見方をしています。市場は既に米国中央銀行による金融引き締め策と利上げの両方が相場に反映されており、次の上昇となるきっかけが見込まれていません。つまり、EUR/USD の上昇は単なるテクニカルな調整ではなく、中期的トレンドの変更だとする見解です。

    来週はアナリストの65%が1.0800 のレジスタンスを突破しようとする見解で、35%が5月の安値に戻り、残り10% が中立の立場です。週から月次の予想になると、強気筋派は50%に減少して最大目標が1.0900-1.1000圏内となります。D1のオシレーターでは、80% が緑(このうち4分の1が買われ過ぎ圏内)で、20% が中立の立場です。トレンドインジケーターの比率: 上昇が50%、下落50%­ 。直近のレジスタンスは1.0750-1.0800圏内。成功すれば、強気筋は1.0900-1.0945を突破しようとして1.1000 と1.1050、その後は1.1120-1.1137 が控えることになります。弱気筋では、1 番の課題が1.0625-1.0640のサポートの突破、そして、1.0480-1.0500、その後は5月13日の安値1.0350の更新です。成功すれば、2017年1月1日の安値1.0340を下回ろうとする動きとなり、その下は20年前の目標しかありません。

    ユーロ圏のGDPデーターが 6月8日(水)に発表されます。しかし、来週の注目のイベントは、6月9日のECBの会合であることは明らかです。市場は、現在0%の金利に関する欧州規制当局の決定と、さらなる金融政策に関するコメントを待っています。また、木曜日には米国の新規失業保険申請件数、6月10日(金)は米国消費市場に関する全てのデーターが公表されます。

GBP/USD: インフレ予想を見越して

  • イギリスは6月2日(木)にエリザベス女王2世の"プラチナ" 記念日をお祝いしました: グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の即位70周年 (1952年即位)。 これにより、銀行は6月2日と3日は休業でした。

    この週のほかの経済的イベントにはイギリス製造業PMIの発表があり、5月は4月より若干低くなりました: 55.8に対して54.6 でしたが、まさに予想どおりのため市場は鈍い反応でした。通常、このペアの推移はEUR/USDの動きに似通っていますが、今回の下落圧力はやや強いものでした。一週間前と同じで、GBP/USD は横ばいの1.2497で取引を終えました。

    イギリスの建設業とサービス部門の事業活動データーは事活動指数(PMI)と同じく6月7日(火)と8日(水)に発表予定です。また、来週末にはイングランド銀行が最新のインフレ予測を公表します。予想では、過去最高(2008年4.4%)よりも大幅に上昇して、5.0%に跳ね上がれば英ポンドの政策金利はさらに引き上げられる可能性が高くなります。6月末には選挙もあり、ボリス・ジョンソン首相と保守党支持の結果がわかることになります。

    このようなイベントの予定があることから、ポンドの予想はかなり不透明です。現時点では、40% が上昇、40% - 下落、20% - 横ばい継続の見方です。D1のトレンドインジケーターでは、10%だけが上昇、90% が下落を示しています。オシレーターでは、少し違います: 25% が下向き、35% が中立、40% が上向きです。サポートは1.2460, 1.2400、1.2370、1.2300、1.2200、そして、1.2154-1.2164と 1.2075。 このペアの強力なサポートは心理的に重要なレベルの1.2000。上昇するには、1.2600、そして1.2665、1.2700-1.2750、1.2800-1.2835、1.2975-1.3000のレジスタンスを克服しなければなりません。

USD/JPY: ペアは20年ぶりの高値に向かう

  • ドルの上昇もUSD/JPY を20年ぶりの高値に後押ししています。先週は130.97の高値をつけ、3月9日の 131.34に近づきました。

    米国通貨の上昇理由を上述しましたが、もう一つの理由には触れていません: 5月31日(火)のジョー・バイデン米大統領とパウエルFRB議長の会談です。議論の中心は国民のすべての層の不満の原因となっているインフレ圧力でした。そのため、ジョー・バイデン大統領は米国の中央銀行のトップにインフレ抑制の裁量を任せ積極的な利上げや9兆ドルのバランスシート削減など規制当局が利用できるすべてに許可をしました。

    日本銀行については、超緩和政策の縮小に踏み切れないままです。日銀によると、金融刺激策でコロナウィルスの大流行による日本経済低迷から回復するはずです。弱い経済統計も円に働きかけました。4月の日本の鉱工業生産量は予想の0.2%減ではなく、1.3%減でした。中国のコロナウィルスの新規大流行による理由だと言われています。

    現時点では、アナリストの25%が131.34の高値に急接近の見方で65%のアナリストは下落に引き返すと予想しており、残り 10% が中立の立場です。インジケーターでは、全く異なっています。D1のトレンドインジケーターとオシレーターの100% が緑です。確かに、後者に関しては20% が買われ過ぎ圏内です。

    直近のサポートは129.70-130.20、その後は、128.60、128.00、127.50、127.00、126.00-126.35 、125.00が控えています。強気筋の目標は5月9日の高値131.34の更新です。 最終目標は、2002年1月1日の高値135.19 を見ることです。

    今年の日本のGDPの第1四半期のデーターは 来週の6月8日(水)に発表予定です。この指標では、マイナス0.3%(前回はマイナス0.2%)の予想です。このような下落は金融刺激策とマイナス金利を維持する日本銀行の別の討議となるでしょう。

暗号資産: BTCあたり$8,000から$1,555,000

  • ビットコインは現在、"典型的なブルトラップ"として一部のアナリストに称されているような小さな上昇があります。チャートを見ると、それが正しいと認めるしかありません: 週はじめは$32,490 に上昇、そして、もとに下落、この3週間のピボットレベル、$30,000水準に戻っています。

    また、BTC / USD とS&P500、ダウ・ジョーンズとナスダック株式数のチャートを比べてみると、ビットコインは独自の動きができなかったことが明らかです。そして、ビットコインは遅れをとりながら、また、株式市場に従っています。

    このレビューの執筆時の6月3日(金)の夕方、暗号資産市場の時価総額は1兆225億ドル(1週間前は1兆194億ドル)の水準です。Crypto Fear & Greed インデックスは非常に恐怖で定着しており10ポイント前後(一週間前は12 ポイント)です。BTC/USD は$29.770での取引です。

    アナリスト企業のグラスノードのレポートによると、長期のビットコイン保有者だけが弱気市場で頭打ちとならず、$30,000 付近で購入を続けています。現在の蓄えの過程では残高が100 BTC と10,000 BTC 以上のウォレット所有者が関係しています。前者の量は80,724 BTC、後者は- 46.269 BTC増えています。同時に、残高のないウォレットの合計は新規購入者がいないことを示しています。 2021年5月の売りの後でも似たような状況がありました。2020年3月や2018年11月と異なり、オンライン活動や新たな強気市場が急増したことで、直近の売りが新たなユーザーの流入をさせたようなことは今のところありません。

    さらに、大手マイニング企業は徐々に所有者ランキングから消えています。コンパスマイニングの分析レポートによると、マイナーからのコインの流入は一月以来の最高水準であることを指摘しています。実情は、マイニングの収益が半減期や複雑な計算により低くなっています。また、借入の返済や運営にあたり義務やサポートが必要になります。つまり、マイニング企業は、自らが保有しているBTCを手放さなければならないのです。

    例として、マラソン・デジタルのような長期保有企業を挙げてみましょう。ほかの多くの企業と同じようにこちらの企業は長い間採算が合いませんが、2022年末までに約5億ドルを調達する必要があります。そのため、マラソン・デジタルは、すぐにでも10,000 BTCの一部を売るしかないのです。

    以前、ビットコインが$30,000を下回る下落をすると予想したカポ氏は、アルトコインとビットコインがさらに下落すると予想しています: “考えは変わらず、アルトコインは40-60%、ビットコインは25-30%下落すると思います。そして、回復までに一ヵ月から三ヵ月はかかるでしょう” 。同氏は、S&P500インデックスは現在、強いレジスタンス水準 (4,150-4,200)の領域内で株式市場や暗号資産市場の両方に下降トレンドの要因となる可能性があると述べています。

    別の暗号資産ストラテジストであり、トレーダーのケビン・スワンソン氏はカポ氏と異なり、ビットコインが今後数週間で$37,000に上昇すると予想しています。確かに、この推移は6月1日のように急落と交互になるでしょう。スワンソン氏のビットコインの反発については、5月12日にビットコインが一時的に$26,700の底を打った理論に基づいています。“2021年の安値[$29,000]を見て下さい” と同氏は書いており、 “誰もがビットコインはこれ以上下がらないと思っています。このことから、この底値[$26,700] は長期的なサポートとして機能すると考えています”。

    Celsius crypto会社のAlex Mashinsky CEOは、市場での下落が長すぎるのでビットコインは8倍の強気トレンドになりそうです。Kitco ニュースのインタビューで、同氏は、暗号資産市場は回復して、インフレですら長期的な問題にはならないと述べています。"バネは好きなだけ押すことができるし、押せば押すほど跳ね返ります" 。

    Celsiusの代表は大手銀行が信じられないほど暗号資産に関与していると指摘しています。 “暗号資産の話題をしないJPモールガンですら、先日、パニックは大げさかも知れないし、今日のところから$38,000 に反発すると予想したレポートは発行しています”

    グッゲンハイムの最高投資責任者であるスコット・メイナード氏は、ダボスフォーラムで"ビットコインのファンダメンタル価格" は$400,000 の領域だとしています。このような高い見積もりは米連邦準備制度理事会の"抑制なしのドル紙幣の増刷" によるものです。同時に、同氏は市場が$8,000 付近でのビットコインの底値を見るかも知れないとも見解しています。

    マーケットデータープラットフォームCryptoQuant の代表であるキ・ヨンジュ氏はBTCの$20,000を下回る下落はないと考えています。この見解は"機関投資家のサポートで前例のない高い水準である"と述べたことでアナリストに支持されています。 同氏はCoinbase Custody 取引所のデーターを引き合いにしています。チャートによると、2020年10月から2021年12月までビットコインの運用量は、5四半期にわたって継続的に増加しています。その増加率は期間終了時点で296%、220万BTCになりました。

    入手したデーターからBTCの価格を$20,000水準に下げるには期間内で蓄えた資金のすべてを50万ドルBTC水準まで売却する必要があると同氏はまとめました。暗号資産アナリストによると、投資機関は、まだ、この段階ではないとのことです。同氏は、既にこの下降サイクルの底値に到達している可能性があると付け加えました。

    ベンチャーキャピタリストのティム・ドレイパー氏は、ビットコインの価格が今後数カ月で6桁を超えるという予測を認めました。同氏は、最近のインタビューでコインが"年末、または年明け"には$250,000 になると改めて述べました。 ティム・ドレイパー氏は、ビットコインを普及させ上昇させるのは女性であり、暗号資産を買い物で使うことが増えればこの誘因となると考えています。

    “昨今、ビットコイン所有者の14人のうち1人は女性でしたが、今では6人に1人のようです。そして、いずれはもっと増えると思います。つまり、小売店での消費のおよそ80% を女性が握っているのです。突然、すべての女性たちが暗号資産ウォレットを持ちビットコインで買い物をはじめれば、すべてが変わるでしょう。そして、コインの価格が予想の$250,000を超えることを目にすることでしょう”と同氏は述べています。

    米国最大手銀行のJPモルガンの調査によると、金とビットコインのボラティリティの動きが追いつき連動が始まりました。なお、銀行のアナリストは、投資家はビットコインがヘッジ資産としての役割をより果たすと見ているので、将来的に二つの資産の資金が同等になることを排除していません。

    暗号資産チャンネルのInvestAnswers のアナリストはビットコインの時価総額が金の40%、 60% 、100%のなる3つの選択肢の可能性について検討しました。 この場合、2030年までにそれぞれ、BTCは $515,000、 $786,000 、$1,300,000前後になります。この3つのレートのベンチマークを組み合わせた場合、平均的な予想目標は$867,000前後です。

    そしてもう一つの目標水準は、InvestAnswersの専門家がFidelityやARK Investなどの予測の中から平均値を導きました。よく知られた暗号資産モデルを組み合わせると、BTCレートは1コインあたり$1,555,000 となりました。

 

NordFX Analytical Group

 

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