EUR/USD: FRBの金利予想は継続
- ドルは下落するか、または、そうならないかのどちらかのようです。その一方で、DXY ドルインデックスは2ヶ月ぶりの安値更新で101.50のサポートを下回り、そして、EUR/USD は1.0972の高値更新でした。 なお、このペアは3月23日と31日のところまで、先週末には戻りました。
DXYは暗い米国マクロ統計に押されています。2022年第4四半期のGDPは 2.6%で、予想や前回値 (2.7%)よりも下回っています。3月の事業活動の低下はペースアップしています: 製造業PMI は予想の47.5と2月47.7に対して46.3に落ち込み、 サービス業では51.2 (予想54.5、2月55.1)に落ち込みました。2月の鉱工業生産の新規受注は0.7%まで下がり、予想の0.5%より、さらに、悪くなりました。 すでに、先月は2.1% まで下落しているにもかかわらずです。JOLTの労働市場レポートでは、求人数がこの2年で最も低い990万人に減少したことを示しています
米国労働統計局は4月7日(金)に3月の雇用統計を発表しました。米国の非農業部門雇用者数(NFP) は予想の240,000に対して実際は236,000に落ち込みました。この数字は、2月の326,000よりもかなり大きいものでした。ただ、失業率は3.6% から3.5%で、わずかに米国通貨を支えました(薄商いの中、DXYは102.00を上回りました)。しかし、 これらのデータの主な反応は来週以降となります。ヨーロッパやアメリカなど多くの国ではグットフライデーのため休日でした。ヨーロッパは、イースターマンデーの4月10日も休日です。グットフライデーにNFPが前回発表された2021年は、この指数が上昇したにもかかわらず、遅れた市場の反応はかなり控えめでした。
もちろん、上記の利上げが米連邦準備制度理事会の金利調整期待につながる可能性があります。しかし、次回のFOMC (連邦公開市場委員会) は5月3日までありません。この間にさらに多くの統計発表があります。弱い経済の状況はFOMCのタカ派メンバーの意気込みを冷まし、金融引き締め策の一時停止で金利を5.00%に据え置かざるを得なくなります。今のところ、CMEグループ FedWatchツールでは、25 ベーシスポイント(bp)の追加利上げの可能性は 52.7%です。
先週、EUR/USD は1.0901で終わりました。このレビュー執筆時の4月7日(金)のアナリストの意見はほぼ同じ割合で分かれています: アナリストの35%がさらなるドル安、 35% がドル高予想で、残り30% が中立の立場です。D1のオシレーター系は、 90%が緑、残り 10% がグレーです。トレンド系では、75%が買い推奨、 15% が売り推奨です。この直近のサポートは、1.0885、1.0860、その後、1.0740-1.0760、 1.0675-1.0710、1.0620、 1.0490-1.0530です。強気筋は、1.0925、その後は、1.0955、1.0985-1.1030、 1.1110、1.1230、1.1280 、1.1355-1.1390でレジスタンスに直面するでしょう。
ユーロ圏小売売上高は4月11日(月)の今週に発表されます。翌日は米国の消費者物価指数 (CPI ) の発表があります。また、水曜日には3月のFOMC議事録が公表予定です。木曜日には、ドイツのCPI、米国の失業保険新規給付件数や生産者物価指数 (PPI) が判明します。金曜日には、米国の小売売上高のすべてのデータが公表されます。
GBP/USD: PMI が投資家期待となる
- ドル安の状況でGBP/USD は、かなり良い感じで、4月4日には、また1.2525の高値更新でした。これは、2022年6月上旬以来の高値です。しかし、その後は、やや調整が入り、2022年12月中旬-2023年1月後半の値まで戻った1.2414で5日間の取引を終えました。
実際のところ、アメリカ同様、イギリス経済も先週は大したことがありませんでした。この国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は4月3日の発表でしたが 49.3 から47.9 ポイント (予想48.0)に下落でした。サービス業 PMIや総合も前回値より下がっています- 各52.9/53.5 と52.2/53.1。しかし、この両方の指数が50.0 を超えていることは、投資家にイギリス経済が景気後退を回避できると期待させています。つまり、これがイギリス通貨の支えとなります。
現在のところ、アナリストの40%がポンド支持で、同数が様子見、 20% だけがドル側です。D1のオシレーター系のパワーバランスは次のとおりです: 90%が緑、 10%が赤。 トレンド系では緑が多く、85%、逆が15%。このペアのサポートレベルは、 1.2390、1.2330、1.2275、1.2200、1.2145、1.2075-1.2085、1.2000-1.2025、1.1960、 1.1900-1.1920、1.1800-1.1840です。上昇すれば、 1.2450、1.2510-1.2525、1.2575-1.2610、1.2700、1.2750、 1.2940でレジスタンスに直面するでしょう。
イギリス経済に関しては、来週の4月12日(水)にイングランド銀行(英銀)のアンドリュー・ベイリー総裁の発言が二つあります。4月13日(木)は、製造業生産高やGDPのデータがあります。イギリスでは、4月10日(月)はイースターにより銀行んお休日であることを覚えておきましょう。
USD/JPY: 日銀は超緩和を維持
- 今回のUSD/JPY の推移は、全体的な"同じような"DXYの動きに反応していました(本来は反対) 。週明けは、133.75 の高値から下落して、4月5日に今週の安値130.60をつけました。その後は、薄商いの中で米雇用統計の不振もあり、132.37となりました。今週の終値は、132.14で少し下げました。
日本の金融政策についての変更はありません: 国外のインフルエンサーたちは引き締めを望んだままで、国内のインフルエンサーたちは超緩和のハト派レートのままであると言っています。例えば、4月7日(金)、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、 “日本の金融政策をより柔軟させることが適切” とそれとなくほのめかしています。また、日本の鈴木俊一財務大臣は、退任する黒田東彦日本銀行(日銀)総裁の貢献を称え、新たな総裁の下で“適切かつ目的達成のために政策を継続”と期待を表しました。
前回のレビューで、ソシエテ・ジェネラルのエコノミストが日銀の金利変更措置は6月よりも早くないと予想していることを述べました。同業のANZ銀行のコメントも同じようです。 “短期的には、 [日銀] 政策変更はなさそうです” と同行は記述しています。ANZ銀行の予想によると、変更があれば、今年の第2四半期以降にしか期待できないそうです。
USD/JPYの当面の見通しでは、今のところ、アナリストの55%が さらなる上昇、45% が下落予想です。D1のオシレーター系では、25%が下向き、同数が反対向き、50%が中立です。 トレンド系では、40%が上向き、残りの60%が下向きです。直近のサポートは、131.85-132.00、そして、131.25、130.50-130.60、129.70-130.00、128.00-128.15、 127.20と続きます。レジスタンスは、 132.80-133.00、133.60-133.75、134.35、135.00-135.35、135.90-136.00、137.00、137.50、 137.90-138.00です。
今週は、日本経済に関する重要な統計発表の予定はありません。
暗号資産: $29,000 レジスタンスは突破とならず
- 前回のレビューの冒頭は、このような感じでした: “シルバーゲート、シリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャーを破綻させ、クレディ・スイスを襲った危機は、分散型金融が何のために作られたかを思い出させて暗号市場を確かに助けています。しかし、米国やヨーロッパの銀行危機に対する投資家の恐れは徐々に薄らいでおり、BTC/USD のチャートで明らかに確認できます。3月10-17日の上昇期間のデジタルゴールドは45%近くも上がり、この2週間は重要な $29,000 を突破しようとしていますが失敗しています。 […] BTCは、$26,500 レベルでサポートされています”。
これは、7日前に記述されましたが、現在もほぼ同じことが述べられています。唯一違うところは、先週よりも取引幅が狭まり、今週安値が$27,190ということです。いずれの方向に突破するには、きっかけが必要ですが、今のところはみられません。
すでに述べたように、暗号資産市場、特にビットコインは、銀行危機とマクロ経済状況の全体的な悪化により支えられました。しかし、この業界は米国政府機関から圧力を受けており、現在は、イギリスも加わりました。そのため、BTCの流動性が10ヶ月ぶりの低水準である一方で、他方では取引量の増加が見られます。
業界のインフルエンサーを対象としたCNBCの調査によると、今のところ、ビットコインの将来的な強気の見方は崩れていません。分析会社のグラスノードによると、魅力は増加傾向にあります。同社のアナリストによると、ビットコインが$15,000に下落した昨年後半にトレーダーの取引活動の急増が示されており、2023年にも同様の傾向が見られました。例えば、1コイン以上のビットコインネットワークのアドレス数は992,243です。100から1000 BTC のアドレス数は14,004です。10万から100万BTCを保有する4大クジラは、BinanceとBitfinexの取引所で、それぞれ248,597と178,010ビットコインをコントロールしています。また、この4大クジラのうち一つが米国政府の可能性もあります。Duneのアナリストによれば、米国政府によるビットコインの保有総数は205,515 BTCです: コイン発行数の1% 以上(このほとんどは犯罪からの没収された資産です)。
Derebitプラットフォームの代表者たちは、全体的に強気姿勢の支持です。彼らによれば、ビットコインデリバティブの建玉は着実に増え続けているそうです。Derebit は、ほとんどのポジションは暗号資産市場でのビットコインの可能性を投資家たちが見込んでいるため購入が可能だと主張しています。
投資家にとってのデジタル資産の魅力が増すのと並行して、犯罪者にとってもその魅力が増しています。サイバー犯罪は今年に入って以来、2億5580万ドルのデジタル通貨を盗みました。また、1月は880万ドル "だけ" でしたが、2月は3.5倍以上の3550万ドルが盗まれ、3月には2億1150万ドルにも増加しています。
Stockmoney Lizardsとして知られる暗号資産アナリストは、ビットコインの推移を分析しました。 同氏の意見では、資産の月次チャートが有望で今後の上昇見込みを示しています。アナリストの見立てはRSIインジケーターで支持されています。Stockmoney Lizards は現在の市場状況は、安定した上昇トレンドが形成され始めた2017年から2020年の期間に非常に似ており、ビットコインは重要な$47,000に直ぐになると予想しています。
もう一人、有名なアナリスト、マイケル・ヴァン・デ・ポッペ氏もこの見解を共有しています。こちらのアナリストによると、買い手がこの状況をコントロールしたままだそうです。ビットコインの価格がしばらく$25,000を超えたままであれば、 $40,000水準の上昇見込みがあります。
ヘッジファンドCapriole Investmentsの創設者であるチャールズ・エドワーズ氏は、SLRVリボン指標で"おなじみ" の強気シグナルに注目しました。SLRVリボンは、ビットコインのリターンの可能性を測るツールです。2本の移動平均線の相互作用を分析するものです。短期の30-日 MAが長期の 150-日 MAを交差すると、ビットコインは強気局面に入ります。この指標は、“とてもシンプルです”とエドワード氏はツィートしています。 “現在、2023年はじめにクロスオーバーした典型的な強気姿勢を繰り返しています” 。同氏は、SLRVリボンが比較的新しいツールにもかかわらず、テストで信頼性とビットコインの投資収益見込みが証明されていると付け加えています。
SLRV が今月、Capriole Investments の創設者に既視感を与えただけではありません。Bitcoin Yardstick ツールは、ハッシュレートに対するビットコインの市場価格のリトレースメントを示しましたが、現在のビットコインの価格は、まだ、"割安"とされています。“Bitcoin Yardstick は、2019年安値にとても似た動きを示しています” とエドワード氏は指標についてのコメントをしました。その年の初めに、 “安値” 圏内を抜けたBTC/USD は、2020年コロナウィルスのパンデミックの始めの危機感で一度下げただけでした。指標によれば、現在のBTCの価格目標は$35,000です。
短期から長期での推移では、仮想通貨取引所BitMEXの元CEO、アーサー・ヘイズ氏がここでは一番楽観的で、ビットコインの目標をとして1コインあたり100万ドルを挙げています。同氏は、中国人民銀行がすべての銀行の預金準備率 (RRR)を0.25%まで引き下げたニュースでそう思ったそうです (参考: 預金準備率とは金融機関が準備預金制度の対象となっている負債に対する中央銀行への法定預入比率です。 この比率が低いと金融機関の貸出額や投資額が増えます。
この執筆時の4月7日(金)夕方、BTC/USD は明らかに100万ドルには程遠く、現在は$27,860で取引されています。暗号資産市場の時価総額は、1.177兆ドル(1週間前は1.185兆ドル)です。Crypto Fear & Greed インデックスは7日間で63から64へわずか1ポイントの上昇で強欲圏内のままです。
そして、最後にアルトコインのメインであるイーサリアムについて少し触れておきます。待望の上海ハードフォークが4月12日に実施され、バリデータがステーキング用に凍結されたコインを引き出すことができるようになる予定です。現在、その量は800万ETHで、全供給量の15%に相当します。
価格に対する潜在的なプレッシャーを軽減し、ネットワークに過度の負荷を与えないために、ステーキングを終了したい人は、順番に待つ必要があります。1日の最大流出量は、2,200トランザクションまたは70,000コインに制限されています。ほとんどの場合、かなり長い待ち時間となるでしょう。これは、米国の規制当局がビットコインよりもイーサリアムへ圧力をかけているからです。KrakenとCoinbaseの仮想通貨取引所がステーキングを拒否する裁判前の手続きやETHに有価証券の地位を与えたいとするSECの意向です。これら全てが、もちろん、ハードフォークにもかかわらず、投資家にとってこの資産の魅力を低下させ、イーサリアムの見通しを非常に曖昧させてます。よく知られたトレーダーでアナリストのベンジャミン・コーウェン氏はETH/BTC が0.03 へ0.04下落した時が買い時であると予測しています (現在0.067)。こちらのアナリストは、この数字になるのを待っており、その時に初めて適切な投資判断ができると断言しています。
NordFX Analytical Group
注意: この内容は金融市場への投資推奨やガイドラインではなく情報提供のみを目的としています。金融市場の取引には、リスクが伴うため入金した資金のすべてを失う可能性もあります。
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