2023年4月14日‐28日のFXと暗号資産の予想

EUR/USD: 利上げ予想: USD +0.25%, EUR +0.50%  

  • 大きな経済ニュースがないため、ここ最近のEUR/USD の推移は、5月2日と3日に控えている米FRBと5月4日のECBの主要国の政府動向によって決定することになります。

    U.S.ドルインデックス(DXY)は、1980年以来の最も積極的な金融引き締め策にもかかわらず、クリストファー・ウォラーFRB理事がFRBのインフレ目標を2%に戻すことに対して"実質的な進展なし"と発言したことにより上昇しました。その結果、DXYは4月17日(月)に 102.00 のレジスタンスを突破して102.22の水準になりました。

    アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁は理事の発言に賛同したかのようでしたが、"一歩下がって、政策が経済に与える影響を見極めるには追加利上げで十分でしょう"とも発言しています。

    フィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁によれば、米中央銀行は間もなく利上げを終了して、その後1年半ぐらいは据え置きの状態になる見込みです。"金融政策の影響は18カ月かかるので、今後も入手可能なデータを慎重に分析し、どのような追加措置が必要なのか判断していきます" とハーカー総裁は金融政策と規制に関するウォートン・イニシアティブの講演の一部で語っていました。

    FOMC(連邦公開市場委員会)のもう一人のメンバーであるクリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁も、FRBの利上げサイクル完了が間近であることに同意しています。ただ、米国のインフレ率が非常に高いままなので、メスター総裁は、" 5%以上の水準まで金利を引き上げ、しばらくは維持する" という見方です。また、メスター総裁は、5%“以上”がどの程度(現行金利5.00%)で"しばらく" がどのくらいの期間なのかについては明言していません。

    4月19日(水)に地区連銀景況報告が発表されました: 連邦準備制度理事会を構成する12の連邦準備銀行の報告文書に基づく経済レビュ。報告書の内容は次のように要約されます: 1) 経済状況はここ数週間でやや冷え込みインフレ水準は比較的高いままである; 2) 賃金の伸び率はやや鈍化したが、これも高いままである; 3) 物価上昇のペースは鈍化したように見えるが、報告期間の全体的な物価水準は緩やかに上昇している

    市場は、地区連銀景況報告やFOMCメンバーの発言から政府が5月2日、3日の会合で追加の25 bps (ベーシスポイント)の引き上げ後は、そのまま据え置きと結論づけました。WIRPの予想では、こうした利上げの確率が先週はじめの80%、4月はじめの50%に対して現在は 90%前後となっています。そして、これは既に相場に含まれています。相場では年末の利上げ見込みが含まれたままです (以前は2回の利下げ予想でした)。

    夏のはじめには、もう少し明らかになるかも知れません。しかし、5月2-3日の会合と6月13 -14日の会合までに2つの雇用統計と2つのCPI/PPIのレポートが発表予定です。これらのデータのすべてが連邦準備制度理事会の追加政策に影響を及ぼすことは明白です。

    大西洋の反対側の状況については、4月19日(水)に発表された消費者物価指数(CPI) がユーロ圏のインフレ率が前年比8.5%から6.9%に低下したことを示しました。しかし、この低下は完全に予想通りだったため、相場に大きな影響を与えませんでした。

    ECBの3月の金融政策決定会合の議事録は翌日の4月20日(木)に公表されました。この議事録によると、50bps利上げ後4.00%としたフィリップ・レーン首席エコノミストの提案に圧倒的多数のメンバーが同意しました。

    上記のような状況でDXYドルインデックスは101.70-102.00圏内での調整、EUR/USD 1.0910-1.1000の範囲で変わらずでした。4月の米国購買担当者景気指数(PMI)の速報値の発表がS&P Globalは取引の週末にやや貢献しました。予想の52.8と前回の52.3に対して、複合PMIは53.7で米国経済の状況について一定の楽観的な見方を裏付ける結果となりました。しかし、長くは続きませんでした。つまり、EUR/USD の終値は週足の上値抵抗付近の1.0988前後でした。

    この執筆時である4月21日(金)の夕方、アナリストの意見は、ほぼ二分されています: 35%はドル安、35%はドル高予想で、残りの30%が中立の立場です。テクニカル分析では、D1のトレンド系ではすべて緑、オシレーター系では85%が緑で15%が赤です。このペアの直近のサポートは、1.0925-1.0955付近、その後は、1.0865-1.0885、1.0740-1.0760、1.0675-1.0710、 1.0620 、1.0490-1.0530です。強気では、1.1000-1.1015でレジスタンスに直面して、その後は、1.1050-1.1070、それから、 1.1110、1.1230、 1.1280 、1.1355-1.1390.となります。

    来週は特に米国から経済統計の発表が目白押しです。4月25日(火)は消費者信頼感指数の発表があります。翌日は、米国の耐久受注に関する統計です。4月27日(木)は米国内の失業とGDPに関するデータ、金曜日は個人支出に関するデーターが明らかになります。一週間の営業日の終わりは、EUの先導力でもあるドイツから多くの発表があります。GDP、失業率、インフレに関する需要な指標である消費者物価指数(CPI)です。しかし、4月21日から5月会合の後のFRBのジェローム・パウエル議長の記者会見がないことから、来週はFRBからの声明予定はありません。

GBP/USD: 状況は良くも悪くもない

  • 4月19日(水)に発表されたイギリスのインフレデータは非常に悪いわけでもありませんでしたが、かなり良いわけでもありません: 3月のCPIは市場予想の9.8%の下落に対し、前年同月比10.4%から10.1%にとどまりました。 物価が高いままである状況はイングランド銀行(英銀)が利上げを継続するという予想の根拠となりました。つまり、これが、ややポンドの支えとなりました。

    イギリス製造業の季節的に調整となったS&P Global/CIPS 購買担当者景気指数(PMI)は48.5の上昇予想に対して、実際は一ヵ月で47.9から46.6へと下がりました。一方、サービス部門(速報値)では、 予想と3月の52.9から、4月は54.9 と伸びて想定外の結果でした。そのため、複合PMIは 3月の52.2から4月は  53.9 と上向きになりました。

    英購買部協会(CIPS)の首席エコノミストのジョン・グレン博士は“企業はイギリス経済の回復基調を受けて積極的に取り組んでおり、新規受注とサプライチェーンの改善で事業水準の急激な伸び率”を示して、年内の最も早い回復力であることを述べました。

    4月21日(金)に発表したイギリス国家統計局の小売売上高の報告では、2月に1.1%増加した後、3月は0.9%に減少したことを報告しました。このデータは0.5%の下落予想より悪かったため、ポンドへの圧力となりました。

    週明けの1.2414で始まった GBP/USD は、多方向の統計結果で横ばいを示して1.2442付近での終値となりました。現時点では、アナリストの45%がポンド支持でこのペアの上昇予想、35% がドルを支持、20% が横ばい傾向の予想です。D1のオシレーター系のパワーバランスは次のとおりです: 35%が緑、25%が赤、 40%がグレーです。トレンド系は100%が緑です。このペアのサポートは、1.2390-1.2400、1.2330、1.2275、1.2200、1.2145、1.2075-1.2085、1.2000-1.2025、1.1960、1.1900-1.1920、1.1800-1.1840です。このペアが上昇すれば、 1.2450-1.2480、1.2510-1.2540、1.2575-1.2610、1.2700、1.2820、1.2940の水準でレジスタンスに直面します。

    来週のイギリス経済関連の重要な統計発表は予定されていません。

USD/JPY: 日銀からのサプライズは期待薄

  • USD/JPY は、4月19日に135.13 で6週間ぶりの高値水準でした。2022年度の日本の貿易赤字に関する財務省のデータで円の下落は加速しました。1979年以来の大きな水準で1600億ドルという数字でした。一方、21日に発表された日本銀行の半期報告書では、"日本の金融システムは全体的に安定している" とし、インフレ率が目標の2%まで低下するという予想はすべての発言どおり筋が通っているとして前向きな印象です。

    来週、4月28日(金)に歴史的に重要な日本銀行(日銀)会合が開催される予定です。歴史的に重要というのは、改革的な決定という意味ではなく、黒田東彦前総裁退任後、植田和男日銀新総裁による初めての会合ということです。ロイターは複数の情報筋から今回の会合で政府が金利目標やイールド・コリドーの変更をせずに超金融緩和政策のままであると報告しました。0.1%のマイナスであり、前回の金利変更は2016年1月29日の20 bpsの引き下げでした。

    主に3つの要因で円はサポートされています: 投資家のリスク逃避、FRBの金融政策によるドル安、国債利回りの低下です。10年米国債とUSD/JPY の直接的な相関関係があることを思い出しましょう。国債利回りが下落すれば、円は上昇を示し、このペアが下落トレンドのフォームとなります。

    USD/JPY の先週の終値は134.12でした。当面の見通しについて、アナリストの見解は次のように分かれています。現在のところ、35%のアナリストはこのペアの上昇を支持、反対の円高予想です。 D1のオシレーター系では、90% (そのうち10%が買われ過ぎ圏内)、残り 10% が中立です。トレンド系では、75%が上向き、25%が下向きです。直近のサポートは、134.00圏内、その後は、132.80-133.00、132.00-132.40、131.25、130.50-130.60、129.65、128.00-128.15、127.20です。レジスタンスは、 134.75-135.15、135.90-136.00、137.00、137.50 、137.90-138.00です。

    日銀の会合と政府のその後の記者会見は上述どおりです。日本経済に関する重要な統計発表の予定は来週ありません。

暗号資産: ビットコインは下落だが、楽観的見方は高まる

  • 強気筋は、4月10日以来、BTC/USD の$29,000を上回る サポートの維持に苦戦しています。しかし、4月20日(木)は下落したまま、ほかの暗号資産に引っ張られロングポジションを閉じる波が強くなりました。Coinglass(コイングラス)と美しく呼ばれるこのドローダウンには明確な理由はありませんでした。アナリストの中には、ニュースがない状況でテクニカルシグナルが出現したとする見方をする人もいます。おそらく4月14-17日にかけてのDXYドルインデックスの多少の伸びによるもです。しかし、この下落にもかかわらず、多くの専門家はビットコインの見通しについてはかなり楽観的で、このことについては、ネットワーク分析やマクロ経済要因の両方で確認されています。投資家選好は第一四半期に70%の利回りを示したビットコインの好スタートで勢いづいています。このことから、ゴールドマン・サックスのアナリストは2023年の最も有望な資産であると述べています。

    分析会社のGlassnodeによれば、FTXの崩壊や暗号資産の規制強化にもかかわらず、長期保有者(コインを155日以上保有しているアドレス)の保有量は 1420万BTCに上昇しました。これは、市場最大量に近く、コインの所有者が今後の上昇を期待していることを示唆しています。

    現時点では、米連邦準備制度理事会の今後の金融政策について明確には把握されていません。しかし、ドル相場はアメリカの巨大政府の動向により左右され、その結果によって、BTC/USD がどちらの方向に傾くか決まります。“金持ち父さん、貧乏父さん”の人気著者であるロバート・キヨサキ氏は金融混乱の不可避について今週も述べて、投資家にビットコイン、金、銀にこれまで以上に投資するように述べています。同氏は、FRBやジョー・バイデン政権の経済政策を信用していないため、近い将来、デジタル通貨での備えが増えると確信しています。キヨサキ氏の予想では、大きな資金が金やデジタルゴールドに投資されるようになれば、価格は2025年までに、それぞれ、$5,000と$500,000に上昇します。

    ここで注目したいのは、GlassnodeによるとXAUとBTCの相関関係が大きくなっており、現在は0.85を超えていることです。金が既に史上最高値に近づき更新しようとしているため、従来の安全資産との関係がビットコインの大きなサポートとなります。

    Ark Investは、 ロバート・キヨサキ氏よりもさらに先を見ており、ビットコインの100万ドルの時期について述べています。 “デジタル資産の成長により今後10年でビットコインは100万ドルになる” と同社のアナリストであるヤシン・エルマンジュラ氏は述べています。30倍の価格上昇は、かなり信じられないように見えますが、暗号資産の発展の歴史を見れば“かなり妥当 “と同氏は確信しています。

    Ark Investアナリストによると、BTC投資が遅すぎるという発言は間違っているとのことです。 同氏は、最近のビットコインの素晴らしいパフォーマンスについて言及し、デジタルゴールドが投資ポートフォリオの魅力的な構成要素になっていると述べました。エルマンジュラ氏によれば、機関でのビットコインの妥当割合は、ポートフォリオ全体のリターンやリスク選好に左右されますが、2.5% から6.5%になります。

    Balletアプリの創設者で仮想通貨取引所のBTCC元CEOの ボビー・リーも同様の見方です。同氏の意見では、銀行危機の状況で暗号資産は安全資産としての質を明らかにしました。“人々は、銀行に資金を預け入れておく必要がないことに気づきはじめました。銀行はその資金をほかの事業所や企業に貸し付けています。ビットコインのような暗号資産は自身で保管やすべての管理ができます"。また、リー氏は2022年の暗号の冬の後、ビットコインの回復の兆しを指摘しています。 “長らく、このような状況です。暗号資産は4年サイクルです[...] 今は、実質的に回復しています。春のようです” と業界のベテランである同氏は述べています。

    Matrixportのアナリストレポートでは、ビットコインの価格は2022年の11月が予想最安値でした。アナリストは、BTCは歴史的に次の半減期の515-458日の前に底値になると説明しています。これは、2024年4月に予定されています; つまり、予想安値は2022年11月と2023年1月の間でした。そして、実際にその通りでした。これは、このモデルが今後も機能を続け、ビットコインが2024年の春に最低$63,160 に上昇する予想の根拠となります。

    目先の予想としては、分析機関がこの30日間でBTC/USD がさらに 50% 上昇すると見通しています。2018年と2022年のサイクルが驚くほど類似していることに基づいて分析されました。つまり、どちらも、底値から史上高値まで370日前後、60%回復するのにさらに140日要したことになります。もう少し、推測するなら、10年目の5月は$45,000 前後の取引となります。

    Galaxy Digitalのマイク・ノボグラッツCEOの予想では、これより少し控えめで時期は伸びるようです。同氏の見解では、ビットコイン相場は、FRBが政策金利を引き下げた時やっと$40,000に上昇するとのことです。 “最も収益性のある取引は金、ユーロ、ビットコイン、イーサリアムで、これは長く続くことになります: FRBが利上げ[政策金利]を止め、引き下げを開始すれば、これらの資産は上手くいくでしょう”と同氏は述べています。 また、米国の銀行破綻で融資が減少することも予期していました。“経済の鈍化”を背景にこれが信用危機の発端となり、FRBは予想以上に積極的な利下げを迫られるというのが同氏の見解です。

    圧倒的な楽観主義の状況でも、もちろん、アナリストのニコラス・メルテン氏は全く反対の意見です。同氏はDataDashの新たな動画で511,000 人の登録者に向けてビットコインは2022年11月からほぼ100%に上昇したので売り時であると発信しています。メルテン氏はビットコインが買われ過ぎのため、直近の成功は罠の可能性があると考えています。同氏は、ビットコインが数ヶ月で300%上昇した2019年のシナリオに従うとしたことに反対の意見です。同氏によれば、BTCが史上高値を付けた後、暴落した2021年の6月のようになる可能性があるといいます。

    この執筆時、4月21日(金)の夕方、BTC/USD は$27,305での取引です。暗号資産市場の時価総額は1兆153億ドル(1週間前は1兆276億ドル)です。Crypto Fear & Greedインデックスは、68 から50 ポイントに7日間で下がり、強欲から中立圏内となりました。

 

NordFX Analytical Group

 

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