EUR/USD: パウエル議長とラガルド総裁- 話題は多く中身は希薄
- 先週の大西洋の両岸で発表された非製造業のデータは極めて弱いものでした。ドイツのサービス業PMIが52.3から47.3に低下したため、ユーロは売り圧力に押され、ドイツだけでなく、欧州全体のコンポジット指数も次々と下がりました。前者は48.5 から44.7に後者は48.6から47.0へと下がりました。8月25日(金)に発表されたドイツの第2四半期GDPデータは、ヨーロッパ全体の経済が停滞していることを裏付けるものでした。四半期ベースでは0%、年間ベースではマイナス0.6%でした。
アメリカのマクロ経済データも投資家にとって喜ばしいものではありませんでした。8月23日(水)に発表された購買担当者指数の速報値は予想を下回りました。特に、製造業PMIは49.0 から 47.0、非製造業PMIは52.3から51.0に下落しました。総合指数も52.0 から50.4に下落しました (50.0を上回れば経済状況の回復、下回れば悪化を意味しています) 。発表された米国の耐久財受注もかなり低調でした。6月は4.4%増でしたが、7月は予想に反して-5.2%減でした。
ヨーロッパとアメリカの統計は一部の専門家によって低調とみなされているにもかかわらず、DXYドルインデックスは6週間前から強気相場が続いており、一方でEUR/USD は下落傾向が続いています。ドイツ連邦銀行のヨアヒム・ナーゲル総裁のタカ派的な発言でさえ、ユーロを押し上げることができませんでした。ナーゲル総裁はインフレ抑制のための利上げ継続を主張しました。対照的にポルトガル連邦銀行のマリオ・センテノ総裁はユーロ圏経済に悪影響を与えないよう注意を呼びかけました。
第1四半期と第2四半期の景気低迷に続き、2023年第3四半期にGDPの縮小が見込まれる中でのECB理事会メンバーの意見の相違は市場参加者に疑念を植え付けました。こうした状況から、ECB理事会が9月に追加利上げに踏み切るかどうかについては懐疑的な見方が広がっています。
ジャクソンホールで開催された世界中央銀行シンポジウムの傍らで米国の代表者たちが発言した意見はより一致しています。ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁とフィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁は、FRBは年末まで安定した水準に金利を維持できると述べています。しかし、来年の金融政策の移行についてはコメントを控えました。また、スーザン・コリンズ総裁によれば、積極的な金融引き締めに対するアメリカ経済の回復力に対してFRBは、これまで以上のことを実施しなければならないと示しています。この発言がアメリカ当局による政策のさらなる引き締めに対するヒントとされ、市場関係者ではパウエルFRB議長も比較的タカ派的なスタンスをとるのではないかという憶測が飛び交いました。
8月25日(金)の世界中央銀行シンポジウムでは二つの重要な講演が予定されていました。これらの講演では、現在の金融傾向の混乱や詳述されることが見込まれていました。パウエルFRB議長の講演がまずあり、株式市場が閉まるちょうど2時間前にECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁の講演がありました。
パウエル議長が年末まで金利据え置きを認めれば、ドルの売り圧力を押すことになったかも知れません。逆に、パウエル議長が追加利上げの可能性を示せば、現在進行中のドル高が加速することになったかも知れません。FedWatch ツールのデータでは、講演に先立ち、2023年末までに25ベーシスポイントの追加利上げの可能性が39%と示されています。
前回のジャクソンホールでパウエル議長は利上げが米国経済に"何らかの痛み" を及ぼすと警告したため米国株式市場は急落となりました。今回の米国株式市場はパウエル議長の発言を待つことなく、8月24日にS&P 500、ダウ・ジョーンズ、ナスダックなどの主要な株式指数が急落しました。
それでは、今回、ジェローム・パウエル議長はどんな発言したのでしょうか? 基本的には昨年のメッセージと同じです。引用: "昨年のジャクソンホールのシンポジウムでの私のメッセージは手短で率直なものでした。今年も私の言いたいことは同じで、FRBの役目はインフレ率を目標の2%に抑えることです" とFRB議長は断言しました。そして、現在のインフレ率を維持するか、引き上げるかという2つのシナリオを示しました。"インフレ率がピークから下がれば喜ばしいことですが、依然として高いままです" と議長は述べています。"必要であれば追加利上げの準備があり、目標水準に向かってインフレ率の安定した推移が確認できるまでは、制限的な政策姿勢を維持していきます"。
米中央銀行のトップは、7月のコアPCE(個人消費支出)インフレ率が4.3%に達して前月の4.1%から上昇したことについても言及しました(7月のPCEデータの公式発表は8月31日です)。 全体的にパウエル議長のレトリックな発言はよくあることですが、どちらともとれるかなり曖昧なものでした。
ラガルド総裁の発言は、おそらく、もっと捉えどころがありません。"世界経済の機能に重大な変化があれば[...] インフレ率のボラタリティを大きくしてさらなる物価高が続く可能性があります" と発言していました。ECB 総裁は、"現段階では、これらのさまざまな変化がすべて持続的なものになるかどうかは不明です。[...] 一時的なものかもしれませんが、中央銀行としてはこれらの変化が継続的なものになることに備える必要があります"と述べています。
要するに、パウエル議長が2つの選択肢、金利据え置きと利上げを挙げている一方、ラガルド総裁は金利をインフレが抑えられまで高止まりさせると発言したに過ぎませんでした。これを受けて、EUR/USDは少しためらいましたが、中央値に戻りました。
1.0872で5日間がはじまったEUR/USD は、1.0794のドル高で取引を終えました。この分析執筆時の8月25日の夜、つまりFRBとECBの総裁によるジャクソンホールでの講演後のアナリストの意見は次のように分かれています: 50%がこのペアの上昇を支持、50%が下落予想。 D1チャートのトレンド系とオシレーター系は、100% がドルに傾いており、赤くなっています。ただ、このうち15% がこのペアの売られ過ぎを示しています。直近のサポートは1.0765-1.0775 に続いて、1.0740、1.0665-1.0680、1.0620-1.0635、1.0525です。強気筋は、1.0845-1.0865に続いて、1.0895-1.0925、そして、1.0985、1.1045、1.1090-1.1110、1.1150-1.1170、1.1230、 1.1275-1.1290がレジスタンスとなります。
来週は、経済指標の発表が目白押しです。8月29日(火)の米消費者信頼感指数と求人データで幕が上がります。8月30日(水)にはドイツの消費者物価指数(CPI)速報値と米国の労働市場統計とGDPが発表されます。木曜日は、ユーロ圏のCPI速報値、ドイツの小売売上高、米国の失業率、重要なインフレ指標であるコア個人消費支出価格指数(コアPCE価格指数)の発表があります。金曜日の9月1日は、非農業部門雇用者数(NFP)データなどの非常に重要な労働市場の情報が明らかになります。米製造業購買担当者景況感指数(PMI)の発表で来週は締めくくられます。
GBP/USD: ようやく利上げ?
- イギリスのインフレ圧力は緩やかになっていますが、G7諸国の中では未だに高いままです。年間物価上昇率は7.9%から6.8%(2022年2月以来の低水準)に下がったものの、インフレ率は依然高水準であることは以前にもお伝えしました。
さらに、コアCPI指標は前年同月比6.9%で安定しており、2ヵ月前のピークをわずか0.2%下回っています。エネルギー価格の高騰が再びインフレ率を上昇させる脅威となっています。
これらのデータの見通しがイギリス通貨の大きく圧力をかけています。一部アナリストによれば、これらがイングランド銀行(BoE) を利上げに促すことになります。失業率が上昇して、景気後退の恐れがあるにもかかわらず、利上げが見込まれます。8月23日(水)に発表された景況感指数の速報値では、イギリスの製造業PMI が1ヵ月で45.3 から 42.5に低下、非製造業 PMI は 51.5から 48.7に低下、複合PMIは 50.8 から47.9へ低下しました。つまり、3つのすべての指標が、50.0を下回っており、経済状況の急激な悪化を示しています。
多くの専門家は政策金利が6%前後(現行5.25%)でピークになると見込んでいます。インフレ圧力が加速しているため、ポピュリスト政治家の圧力に直面してもイングランド銀行は、このピークの水準を維持せざるを得ないかもしれません。そうなれば、ポンドはドルに対して上昇するチャンスを得ることになるでしょう。
しかし、直近の見通しについて、スコシアバンクの専門家はGBP/USD が1.2620のサポートを突破した後、1.2400まで下落することについて否定していません。また、"特に売られ過ぎを考慮すると、1.2600を超えての反転はポンドの短期的なサポートとなる可能性がある " とつけ加えています。オランダ最大手銀行のINGのアナリストは、ドル高となれば、このペアのサポートが1.2500前後になると見ています。同業のシンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行はGBP/USD が1.2580-1.2780の範囲での取引になると予想しています。"今後"、"ポンドが強いレジスタンスレベル[1.2720]を下回る限り、1.2530、もしくは、1.2480までの下落の可能性さえある"と同行では記述しています。
8月25日(金)のジャクソンホール講演後のGBP/USD は1.2578で落ち着きました。アナリストの短期的なコンセンサスは次のように分かれています: 60%が強気傾向、20%が弱気傾向、そして、残り 20% が中立です。D1 の時間軸では、オシレーター系の60%が赤で、このうち3分の1が売られ過ぎを示しています;残り 40% はグレーです。トレンド系は、85%が赤で緑の15%に対して弱気を示しています。
このペアが下落傾向となれば、サポートレベルは: 1.2540、1.2500-1.2510、1.2435-1.2450、 1.2300-1.2330、1.2190-1.2210、1.2085、1.1960、1.1800となる見込みです。対照的に上昇傾向となれば、1.2630、1.2675-1.2690、1.2760、1.2800-1.2815、1.2880、1.2940、 1.2980-1.3000、1.3050-1.3060、1.3125-1.3140、1.3185-1.3210がレジスタンスとなります。
イギリスに関する重要な経済データの来週の発表予定はありません。焦点は大西洋の反対側になります。ただ、8月28日(月)はイギリスの銀行休業日であることにトレーダーは注意しましょう。
USD/JPY: ますます高く
- 日本銀行(日銀)の植田和男総裁は8月26日(土)にジャクソンホールで講演する予定ですが、その頃には、このレビューを既に書き終えていることでしょう。率直に言えば、日銀総裁から画期的な発言があると期待はしていません。現時点では、鈴木俊一財務大臣の発言に頼ることになります。8月25日(金)に財務大臣は"ジャクソンホールでの議論が世界経済に与える影響を注視している"と述べました。また、経済対策の財源となる追加予算の編成についての具体的な詳細は言及できないとも付け加えました。
日本銀行(日銀)が最近、独自の基準から"革命的" 決定を下して、日本国債(JGB)の硬直的なイールドカーブ・ターゲットをより柔軟に移行させたことは注目に値します。しかし、一定の境界線を設け、利回り1.0%に"赤線" を引き、利回りがこの水準を超えないように買い入れをすると述べました。この動きから1週間も経たないうちに、日本国債の利回りは9年ぶりの高水準に達し、0.65%に近づきました。これにより、中央銀行はこれ以上の利回りの上昇を防ぐため、日本国債を買い入れるという介入をせざるを得なくなりました。
日本メディアの日経アジアでは、このような措置にかかる予算が増える分析しています。財務大臣とは異なり、具体的な数字を示しています: 2024年の予算は110兆円(7530億ドル以上)。日経アジアのレポートによると、予算要求は8月末までに提出される予定、つまり来週中には提出されます。
上述どおり、国債のイールドカーブ規制の移行は、日本銀行(日銀)にとって実に異例の動きです。しかし、日本のMUFG銀行によれば、これは日本円の回復には不十分だといいます。利上げに関して、MUFG は日本銀行の最初の利上げ決定が来年の上半期の見込みになると見ています。その時に、はじめて円高への移行となると予想しています。
先週の円は、やや上昇のチャンスがありました。経済指標の低迷により、米国債利回りは1.5%に下落しました。よく知られているように、米国債利回りと円の間には逆相関関係があります。つまり、国債利回りが低下すれば日本の通貨は上昇して、USD/JPY は下落トレンドとなります。これはまさに今週半ばに見られたことで、8月23日にこのペアは今週の安値144.53をつけました。
しかし、円の投資家の喜びは長くは続かず、8月25日には146.62 の高値更新となりました。今週の終値は146.40 で落ち着きました。クレディ・スイスのストラテジストによると、このペアは最終的にはさらに高く、長期的なターゲットである148.57をつけるといいます。
直近の見通しについて、アナリストのコンセンサスは次のとおりです: 大多数 (60%) がこのペアの下方調整を予想しています。一方で、20% がUSD/JPY の上昇を予想しており、20% はコメントを控えています。D1の時間軸では、 すべてのトレンド系が緑である一方、オシレーター系では90%(このうち10%が買われ過ぎ圏内)が緑です; オシレーター系での残りは中立です。直近のサポートは、146.10、続いて、145.50-145.75、144.90、144.50、143.75-144.05、142.90-143.05、142.20、141.40-141.75、140.60-140.75、139.85、138.95-139.05、138.05-138.30、 137.25-137.50です。直近のレジスタンスは、146.90-147.15、続いて、148.45-148.60、150.00、そして、最終的には2022年高値151.95になります。
来週は、日本経済の状況に関する重要な統計の発表は予定されていません。
暗号資産: ショックは終わっていない
- 暗号資産市場はビットコインの急落で$24,296の安値をつけた8月17日のショックにより動揺したままです。Crypto Fear & Greed インデックスは中立圏内から恐怖圏内に移りました。 ビットコインが暗号資産市場全体を引きずり落とし、1兆1710億ドルから1兆5400億ドルへと10%縮小させ、かろうじて1兆ドルの心理レベルを上回っています。8月17日だけでもトレーダーはすべての銘柄で合計10億ドル以上の損失となり、FTX 取引所の崩壊以来の大きな下げ幅となりました。
以上が、今回の悲劇についての簡単な説明です。それでは、原因について掘り下げてみていきましょう。前回のレビューで主要な説を取り上げましたが、これらが正しかったことがわかりました。2つの大きなニュースが下落のきっかけでした。まず、一つは7月の連邦準備制度理事会の議事録の公表で、FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーの大半が2023年の利上げの可能性を示しています。利上げはドルや国債の利回りを押し上げ、リスク資産からの資本流失を招くことになります。
次に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事で、イーロン・マスク氏のスペースXが保有するBTCの売却により3億7300万ドルの暗号通貨を償却したということを掲載したことが発端でした。注目すべきは、スペースXがこれらのコインをいつ売却したのかが明かされていないことでした。しかし、その後のパニックには、この詳細は必要ありませんでした。
状況が異なっていれば、この2つにそれほど大きな反応をしなかったかもしれません。しかし、長引く市場の保ち合い、スポット市場の取引量の少なさ、レバレッジを利用したトレーダーが大量のデリバティブ・ポジションを建てたことなどがマイナスとなりました。Coinglassのデータによると、相場下落のドミノ効果により、24時間で17万5,000以上のレバレッジ・ポジションが清算されました。その後、レバレッジの比率は4月の水準まで下がりました。
それから1週間後、ジャクソンホールのFRB議長の講演で利上げはあるかもしれないし、ないかもしれないことが明らかとされました。言い換えれば、米連邦準備制度理事会は金融引き締めサイクルを終了させ、現在の水準で金利を据え置きにする可能性があります。これでパニックとなる一つ目の理由は消えます。2つ目の理由に関しては、スペースXの暗号資産の償却が2021-2022年にかけてであることが判明して、この"ニュース" は取るに足らないものになりました。
しかし、済んだことは仕方がありません。短期のBTC投資家が最も大きな打撃を受けました: 彼らの88.3%は、現在、マイナスのポジションです。 このような投機家は一般的に忍耐強くないことで知られており、残りの保有している暗号資産の売却をはじめることで、さらなる下落圧力となる懸念があります。一方で、長期保有者(155日以上保有)はポートフォリオを強化するチャンスと捉えおり、コインの買い増しをしていることに注目です。
8月17日の暴落以降、ビットコインがすぐに反発するという声は小さくなる一方で、悲観論者の勢いは大きくなっています。しかし、彼らの予想ですら、多くのインフルエンサーの大きな希望である"半減期" という言葉は、頻繁に言及されています。例えば、Tolberti というハンドルネームで知られているアナリストは2024年4月の半減期までビットコインが$10,000 付近で底を打つまでは下落トレンドが続くと予想しています。この予測は、BTC価格が200週および20ヶ月移動平均線(MA)を下回ることに基づいています。また、Tolberti はチャート上に下落傾向が続く下降フラッグがあることを示しています。
人気のアナリストであるベンジャミン・コーウェン氏によると、ビットコインの現在の下落は最後でなく、続く可能性が高いとのことです。同氏は、このような下降トレンドは現在の世界経済が辿っている経路に一致していると考えています。また、コーウェン氏は、同様にビットコインの下落も4年ごとに起きていると指摘しています。"実際、4年に1度、アメリカの大統領選の前年の8月か9月に、アメリカ市場では調整があります。そして、ビットコインは米国株式市場の指数と相関関係にあります。2023年をみると同様です。2019年にビットコインは61%の 急落でした。2015 年には約 40% 下落しました。2011年には、82.5%の'ブラックスワン'を見ました。つまり、半減期とアメリカの大統領選前にビットコインの下落が毎年あるのです"とコーウェン氏は説明しています。
2021年5月の暗号市場の暴落を的中させたアナリストのDave the Waveは、現在の弱気相場は少なくても年末まで続くと予想しています。同氏は、中期的なボラティリティとノイズをフィルタリングしながら、ビットコインのマクロ的な高値と安値を予測するための独自の対数成長曲線を利用しています。同氏の計算によれば、BTCは現在、この対数成長曲線の支持線で取引されていますが、"買い圏内" のままだといいます。Dave the Wave は、BTCがもう少し下落する可能性を否定していませんが、2024年半ば、具体的には4月の半減後に$69,000を超える高値更新まで上昇すると予想しています。
多くの投資家やトレーダーによると、相対力指数(RSI)は資産の状態を評価する優れたツールです。RSIは0から100の間で変動し、一般的に70を超えると買われすぎ、30を下回ると売られすぎを示します。
8月17日から22日にかけてビットコインの日足のRSIが20 を下回ったことは (17.47の安値) 、COVID-19により金融全体が恐怖と不安に包まれた2020年3月の市場暴落時に見られた売られ過ぎの水準に匹敵します。アナリストやトレーダーは現在、BTCのトレンドが強気の反転見込みを示す可能性があるため、RSIに注視していますが保証された指標ではありません。暗号通貨市場は予測不可能なことで知られており、その方向性は多くの要因に影響されます。
ウォール街の伝説的なアナリスト兼トレーダーであるピーター・ブラント氏は、5月にすでにビットコイン相場の下落を案じていました。同氏は、弱気を示す"ペナント" と "フラッグ"として知られるチャートパターンを特定しました。現在、ブラント氏はビットコインが2023年1月に始まった上昇トレンドから抜け出し、重要な価格ゾーンに接近する可能性があると警告しています。同氏は$24,800を下回れば、日足や週足にダメージを与え、BTCの中期的な強気の勢いが失速する可能性が高くなるとした見方をしています。
ハンドルネーム Credible Cryptoという別のアナリストは現在の市場のシナリオが2020年に観測されたものに非常に似ていると指摘しています。当時、ビットコインの価格は数ヵ月内で$16,000 から $60,000に上昇しました。こちらのアナリストによれば、 今年初めの価格上昇後、市場のリーダーは現在、"休憩" している状態だといいます。同氏は、これは通常の調整だと説明しています。現在のポジションは2020年3月から8月までのビットコインの価格推移をほぼ映し出しています。今起きていることは、同氏の見解だと、資産の蓄積だと述べています。
Credible Cryptoは、ビットコインがこのような局面の直後、2020年に"パラボリックな上昇" をはじめたと指摘しています。"前回の蓄積範囲を突破したことで次の上昇への引き金となり、BTCの価格が急騰した" と同氏は述べています。同氏によれば、今回、2023年に再び同じようになるには、2倍の時間、もしくは、4ヵ月はかかります。ビットコインの相場が$24,800を下回れば、同氏の予想は無効になると強調しています。: ピーター・ブラント氏によって同じく重要なサポートレベルとして確認されています。
この一週間、ビットコインは、$26,000のピボットポイントに沿った$25,500-26,785 で取引されており、上昇にも下落にも説得力のある理由がありません。現在、このレビュー執筆時の8月25日(金)の夜、BTC/USD は、約$26,050で取引されています。暗号資産市場の時価総額は、1兆470億ドル(1週間前は1兆5400億ドル)です。Bitcoin Fear & Greedインデックスは、 39 ポイント (先週は 37ポイント)で"恐怖"圏内のままです。
NordFX Analytical Group
注意: この内容は金融市場への投資推奨やガイドラインではなく情報提供のみを目的としています。金融市場の取引には、リスクが伴うため入金した資金のすべてを失う可能性もあります。
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