金融市場: FX、株式、コモディティや暗号資産のトレーダーには、それぞれの資産との関連性についての知識が役立ちます。ある資産の相場の上昇や下落がほかの資産にどのように影響するか理解することは、取引戦略を効果的させ、取引利益の増加や資金損失のリスクを最低限に抑えさせてくれます。
リスク資産
NordFXのウェブサイトのメインページに掲載されている定期的な分析レビューでは、 “投資家のリスク選好の低下で株式市場と暗号資産の価値の下落につながる”や “FRBの利上げがドルや国債利回りの上昇につながる"などのフレーズがよくあります。そして、この理由について、ここで質問することは理にかなっています。しかし、この質問に答える前に、基本的な概念をみていきましょう。
株式市場。簡単に言えば、投資家が証券: さまざまな企業の株式、債券、金融派生商品の売買をする マルチレベルの仕組みです。このような市場の状況を示す指標として、対象の株式のグループ- “インデックスバスケット”の現時点の価値を計算したのが株式指数です。
例えば、S&P500 指数は、経済の異なる業種から米国大手企業500社の有価証券からなるグループの価値を算出したものになります。つまり、この国の経済を把握: 成長しているのか、それとも逆に衰退しているのか、そのスピードを把握することができます。
株式は、その価値や収益が経済や政治的な様々な要因で左右されるため、通常、リスク資産と呼ばれます。例えば、最近のコロナウィルスのパンデミックは航空輸送関連の株式を下落させましたが、コロナウィルスに対するワクチンを製造する医薬企業の株式を上昇させました。
また、市場の状況に直接左右されることから原材料も通常リスク資産として捉えられます。したがって、商品(石油、ガス、金属、農産物など)を主に輸出する国の通貨、いわゆる商品通貨もこれにあてはまります。このような通貨には、カナダドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、ブラジルレアル、ノルウェークローネ、チリペソがあります。
なお、通貨は政治的な出来事によりリスク資産のグループに含まれることもあります。英ポンドはブレグジットにより、ユーロ‐はロシアとウクライナ紛争地域に隣接していることからになります。
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、さらにリスクの高い資産として見なされます。これは、この資産が現物のない仮想であり、価値が投資家感情のみに左右されるからです。
リスクフリーとプロテクティブ資産
リスクフリー資産は、米国財務省の発行するような先進国の国債です。国債の信頼性は、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ、フィッチ、IBCAなどの国際的な格付け機関の評価に基づいて判断されます。
プロテクティブ資産はリスクフリー資産より幅広い概念になります。経済や政治的に影響されない金融商品です。ここには、国が発行する国債に加えて、通常、金が含まれます。特に、今は、FRBの進める金融政策や利上げにより米ドルも非常に人気です。
米ドルとFRBの金利
リスク資産からの投資収益は、リスクフリーやプロテクティブ資産よりも数倍、数十倍、百倍以上になることさえあります。しかし、資金を失う可能性も比較にならないほど高くなります。
例えば、コロナウィルスのパンデミック時は経済支援のために米国連邦準備制度理事会が量的緩和政策(QE)を2020-2021に実施しました。つまり、最低金利で安い通貨を大量に市場に流し込んだのです。これによりアメリカの景気は回復しました。上述のS&P500 はパンデミックの初期に3.397 から 2.184 へ下落、その後は上昇を続け、2021年から2022年の年越しには4,663 の高値をつけました。企業や人々のお金の余剰は暗号資産にも恩恵がありました:ビットコインの価格は、2020年3月に$5,700 前後、2021年11月には、すでに12倍の価格: 1コイン68,900ドル以上に上昇しました。
しかし、このような安い通貨はインフレを避けることはできませんでした。景気回復でインフレ率は上昇、米中央銀行は金融政策引き締めに舵を切り、ドルの利上げをはじめました。その結果、米国債やDXYドルインデックスが上昇する一方で、リスク資産の価格が下落を始めました。
国債と米ドル
米国債は、米国政府の債務であり、トレジャリービルやトレジャリーとも総称されます。金融商品として、その国の経済発展に直接影響を与えます。通貨供給量やそれに伴うインフレ率と自国通貨の金利に左右されます。
世界的に最も人気のある国債が10年国債です。チャートを見ると、DXYドルインデックスと国債の利回りは非常に強い相関関係があることがわかります。(DXYは ユーロ(EUR)、円(JPY)、英ポンド(GBP)、 カナダドル(CAD)、スウェーデンクローネ(SEK)、スイスフラン(CHF)の主要6通貨バスケットの米ドル(USD)の比率を示す指数です)。つまり、国債利回りが上昇すれば、ドルも上昇、下がれば、同様にドルも下落します。
そして、今は、興味深くて役に立つ観察を共有する時です。国債利回りは、よく先行指標として利用され、これによってドル金利の伸び率を予測して為替レートの推移を予想します。つまり、例えば、EUR/USDの推移の予測について、アナリストは米国債とヨーロッパ経済を率いるドイツ国債の利回りのスプレッド(差) に着目することを推奨しています。
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ここで注意が必要です。金融市場には多くの想定外の事があり、多くの金融資産の相場はいろいろな要因で左右されるため分析は多方面からするべきです。国債のスプレッドを調べるなら、一時的な差額だけでなく、どのような取引をするかによって異なる時間枠で推移をみる必要があります。例えば、H1チャートでの取引なら数日の状況を分析すれば十分でしょう。しかし、D1なら、数週間または数ヶ月とより深くおこなうことをお勧めします。そして、もちろん、現在の経済と政治情勢だけでなく、国や世界でのこれからの出来事についても考慮する必要があります。しかし、ピプシングやスキャルピングをする人には上記のような観察は役に立ちそうもありません。高頻度取引については話すまででもないでしょう。全く異なる戦略であり、アルゴリズムになります。
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