フィボナッチ数列は、一番有名な驚くべき数学の発見の一つで、世界中の科学者、エンジニア、芸術家、研究者にインスピレーションを与え続けています。そして、それは、数学と自然、文化、技術的プロセスで大きな関連性をはっきり示しています。この普遍的な概念は、数学的考えがさまざまな分野で、いかにして人々の生活で実用できるかをはっきり例示して、世界のあらゆる現象が相互関連であるとした考え方を肯定しています。フィボナッチ数列は、金融市場での取引を含め積極的に使用されています。MetaTrader 4 (MT4) にあるグラフィック・ツールの中にはフィボナッチ・リトレースメントの描画オプションがあります。これを使うことで、サポートとレジスタンスレベル見込みを特定した反転見込みの価格計算ができます。 では、この天才的数学者とは一体どのような人物であり、フィボナッチ数列とはどのようなものなのでしょうか?
レオナルド・ピサヌス
フィボナッチで知られるピサのレオナルドは、1170年頃ピサ(現在のイタリアの一部)に生まれました。レオナルド自身は自分のことを "フィボナッチ "とは呼んでいませんでした。"レオナルド・フィボナッチ" が最初に登場したのは、神聖ローマ帝国の公証人ペリゾーロ・ダ・ピサの1506年の記録です。フィボナッチという言葉は、"算盤の書"の表紙にある"フィリウス・ボナッチ" の短縮形で、おそらく"ボナッチの息子"を意味していたのでしょう。別の説では、 "ボナッチ"は、通称、"幸運 "とも解釈できます。 通常は、"ボナッチ" として証明していましたが、時には"レオナルド・ビゴッロ" (トスカーナ地方で"ビゴッロ"とは、 "放浪者" や"怠け者")という名前を使用していました。
商人の子として生まれたフィボナッチは、幼い頃から商業や数学に慣れ親しみ、これが科学への関心と興味を抱くことになりました。父親は貿易のためにアルジェリアを頻繁に訪れ、レオナルドはそこでアラブ人教師から数学を学びました。後に、フィボナッチはエジプト、シリア、ビザンチウムを訪れ、アラビア語訳された古代やインドの数学者の本を習熟しました。この知識をもとに、レオナルドはいくつかの数学書を著作していますが、その中でも最も有名なのが1202年に出版された"算盤の書" (Latin: Liber abaci)であり、1228年に改訂版が出版されました。
この本は、10 進法の解説とプロモーションでゼロの概念を含んだインド-アラビア数字の普及の基礎となりました。この著書で、レオナルドは、それまで誤解されていたヨーロッパの数学を根本的に変えるこれらの数の可能性を追求しました。重要なのは、"算盤の書" が読みやすく、古代やイスラムのものより分かりやすかったことです。特に商人向けの実用書として有名で人気を博しました。
兎のつがいの問題
フィボナッチの一番の有名な数学的貢献は名前の由来でもある数にあります。"算盤の書" の概要である兎の問題は、有名な数列の典型例です。この問題は、兎の増加の原理を説明するためです。次のように示されています: 生まれたばかりのオスの兎とメスの兎がいたとします。兎は生後1か月で生殖可能になります。月末に大人の兎のつがいが新たな兎のペア(オスとメス)を生みます。 兎は死なず、このルールに従って繁殖を続けると仮定したら、1年間に何組のつがいのウサギが生まれるでしょうか?
この問題の解答の特徴には、各月の兎のつがいは、前の月とその前の月に生まれた兎のつがいの数の和に等しいということです。これは、大人の兎のつがいが1組増える毎に合計数が1組増えるからです。つまり、整列は次のようになります: (0)、1、 1、2、3、 5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610、987、159など。各数字は、前2つの合計になります。この整列がフィボナッチ数列として知られるようになりました。
黄金比との関係
フィボナッチ数列は、人口増加の数学的モデルを示すだけでなく、数学と自然法則の相互作用を示した黄金比と密接にリンクしています。
黄金比の起源は、非常に奥深い歴史まで遡ります。いくつかの研究の証拠ではいろいろな解釈ができますが、特にピラミッドの建設において、古代エジプト人は黄金比を認識していたと言われています。黄金比の原理を体系的に説明した最初の人物は、古代ギリシャの数学者ユークリッドと言われており、ユークリッドの著書では" エレメンツ" で"外中比"に分割する区分 が説明されています。ユークリッドはこの比率の数学的基礎を示しましたが、今日のこの比率がもつ美学的価値はありませんでした。古代ギリシャでのこの比率の実用例としては、アテネの有名なパルテノン神殿(紀元前447-438年)が挙げられます。
ルネサンス期には、レオナルド・ダ・ヴィンチやル・コルビュジエのような芸術家や建築家が作品に積極的に黄金比を使い、調和と完璧な形成を試みたため、黄金比への関心が高まりました。レオナルド・ダ・ヴィンチは、黄金比を使用して"モナリザ" や"ウィトルウィウス的人体図"などの有名な作品を完成させました。レオナルド・ダ・ヴィンチは黄金比を "神の比"として呼び、芸術と建築におけるその深い意義を称えました。
では、この"神の比"とは何でしょうか? ギリシャ文字のφ(ファイ)で示される無理数で、およそ1.618033988749895に等しくなります。この比率は、線(または他の物体)が、全体と長い方の比率が長い方の短い比率に等しくなることです。
フィボナッチ数列と黄金比の関係は、数列が進むほど、連続する2つのフィボナッチ数の比が黄金比に近づくことがあらわされます。例えば、21を直前の13で割ると約1.615です。数列の数が増えるにつれて、この比率は1.618、つまり "神の比率 "に近づいていきます。
この関係は数学だけでなく、自然、芸術、建築などの分野にも反映されており、黄金比に近いほど、特に調和がとれて美しいとされています。この独特な特徴と調和の概念の具体化が黄金比の永遠の研究対象と使用です。
フィボナッチ数の利用
フィボナッチ数列が黄金比と密接な関係により、自然形態や現象の分析と理解のためのユニークなツールとなっています。フィボナッチ数は、植物の葉や花の配列から渦巻銀河まで幅広い分野での多くの面で見られます。音楽では、フィボナッチ数でメロディやハーモニーの長さを構成した作曲家もいます。
生物学では、フィボナッチ数が花の葉や枝、さらには種子の並び方を説明するもので、日光などの資源を最大限に利用するのに役立ちます。例えば、ヒマワリは、一方向ともう一方向の種子のらせん状の数をフィボナッチ数に従っています。上述の兎の問題と同様に、この数列は生物学的種の実際の数の増え方のモデルとすることが可能です。
量子物理学では、フィボナッチに似た数列が準結晶などの複雑な構造のある物質の特性を説明することができます。化学化合物の中には、分子内の原子の配列がフィボナッチに類似した数列に従っているものがあり、その物理的また化学的特性に影響しています。プログラミングでは、フィボナッチ数列は再帰アルゴリズムや反復アルゴリズムで広く使われています。学習プロセスや認識パターンを最適化するための人工知能モデルにもフィボナッチ数列が使われているものがあります。また、問題の複雑性の評価、データベースクエリの最適化、システムパフォーマンスの向上など、最適化理論や効率的なアルゴリズム開発にも利用されています。
心理学の研究では、人々は不確かな状況での決断、例えば、確率の下では、直感的にフィボナッチ数列に似た原理を使います。この現象は、数学と市場の直感を融合させた金融市場での取引で使われていることがわかっていますが、これについては、また別の記事で紹介します。
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