EUR/USD: パニックネーム B.1.1.159
- 先週は、サンクスギビングの前後で二つに分けられます。 11月25日(木)は、アメリカの祝日でした。資本の大半が、この国にある銀行やファンドで管理されているのでこの日の世界中の金融市場は静かです。
では、11月25日の前に何が起こったのでしょうか? ほとんどの専門家の予測通りでした。米国とEUの経済成長、およびFRSとECBの金融政策の相違、ヨーロッパのエネルギー危機でEUR/USD は、さらに押し下げられました。ブレグジットのテーマが再熱したことも、下落の要因でした。その結果、11月24日の夕方には1.1185をつけました。そして、この木曜日の休日の後… 金曜日の市場が始まりました。
そして、始まっただけでなく、南アフリカで既存のワクチンに反応しない危険なコロナウイルスの新種が発見されたというニュースで市場はパニックになりました。WHOは緊急会議を招集し、“多数の変異”を持つ新型株B.1.1.159の感染事例がすでに100件近く記録されていることに注目しました。
この心配なニュースによりFRBの早期利上げに対する投資家たちの期待感は下がり、逆に悲観論が高まりました。CMEグループの専門家によれば、2022年6月まで金利が据え置かれる可能性が木曜日に18%だったとすると、金曜日には34%に上がっています。
11月24日と比較すると、10年国債の利回りは10%近くも低下しました。株価指数や暗号通貨の相場は、急落でした。市場は、リスクから逃げ始めました。投資家のパニックと米国債利回りで、EUR/USD の強気筋は、このペアを1.1321まで上昇させ今週が終わりました。
実際のところ、コロナウイルスの新しい波がアメリカとヨーロッパのどちらの経済に悪影響を及ぼすかを予測することは困難です。INGグループのアナリストによれば、コロナウィルスの新種が既にヨーロッパ(地理的にアフリカに近い)に到達しているかどうかを把握することが今は重要だといいます。これにより、ヨーロッパ圏の感情をさらに悪化させ、ユーロに圧力がかかる可能性があります。
FRBとECBの金融政策の違いは、間違いなく引き続きEUR/USDの動きに影響を与えるでしょう。ヨーロッパ政府の数人の代表者は、2022年3月に中央銀行がパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を完了する予定であることを明らかにしました。このコメントに、このペアはほとんど反応しませんでした。しかし、来週のメインイベントとなるかもしれないECB理事会の金融政策に関する会合が12月2日にあります。市場は、言葉やヒントだけではなく、緊急のPEPPプログラムの完了時期やQEに似たような主な資産購入プログラム(APP)の金額調整に関する具体的な決定にも期待しています。さらには、 APP の金額を増やすことで、PEPPの縮小を補うことができます。政府が2021-2023年のインフレ予想を引き上げることも可能です。
FRBのタカ派の政策とECBのハト派の政策が、今後数ヶ月間、EUR/USDを下げ続けると考えるのが論理的です。ゴールドマン・サックスの専門家は、2022年6月、9月、12月に米ドルの基準金利が上昇し、FRBは1月からQEの縮小額を月300億ドルに増やすと予測しています。2023年には、さらに2回の利上げで、1.5%になる可能性があります。一方、ECBは2023年には最初の一歩だけを踏み出す予定です。それまでは、ヨーロッパ諸国の記録的な物価上昇を目にすることになるでしょう。
しかし、12月2日の理事会では、タカ派的なサプライズが投資家にある可能性があります。そのため、最も慎重な投資家は、事前にショートポジションをクローズして利益を確定し始めるので、短期的には、EUR/USD のさらなる上昇へとつながります。
来週、このペアの上昇を支持している35% の専門家は、この展開に同意しています。反対に、ECBが金融政策に大きな変更を加えることはないと考えているアナリストは55%です。残りの10% は、横ばい支持です。
D1 のインジケーターでは、赤が多いです。オシレーター系、トレンド系ともに75%です。オシレーターでは、15%が売られすぎのシグナルを出しており、残りの10%がニュートラルグレーです。
トレンドインジケーターでは、週明けに25%が赤から緑に変わりました。
レジスタンスレベルは、1.1300-1.1315、1.1360、1.1435-1.1465と1.1525。直近のサポートレベルは1.1300、次に1.1230、1.1185-1.1200、そして1.1075-1.1100。
来週のイベントとしては、ECB理事会のほかに、ドイツやユーロ圏の消費者市場に関する数多くの統計発表があります。これらのデーターの発表は、11月29日と30日、12月1日と3日となります。アメリカについては、11月30日(火)に2期目の就任となるパウエルFRB議長のスピーチ、12月1日(水)には米国民間部門の雇用水準を示すADPレポートとISM製造業PMIの発表が予定されています。また、投資家は毎月第一金曜日の米国労働市場のデーターを待つのが恒例となっていますが、この中にはNFP: 米国の非農業部門新規雇用者数のデーターなどの重要なものも含まれています。
GBP/USD: ポンド救済はレート上昇にあり
- GBP/USD も11月26日(金)までは、圧倒的多数(75%)の専門家の予測どおり、この5ヶ月間の最安値となる1.3275まで下落しました。そして、今週の取引終了の鐘は、1.3350で鳴りました。
ブレグジットの懸念は、依然としてポンドへの圧力の主な要因となっています。EU協定の実施を担当するイギリスの大臣であるデビッド・フロスト卿は、北アイルランド問題の交渉による解決策を見つけたいとの願望はあるものの、英国とEUの立場の差は非常に大きいと述べています。つまり、イギリス政府は、第16条を適用する準備をしています。
思い出して頂きたいのが、北アイルランド議定書が、2年前にイギリスのEU離脱条約の一部として調印されたものであることです。ロンドンの声明によれば、この議定書に不備があったため、この国が供給の混乱と物資不足に直面しました。そのため、イギリス政府はブリュッセルに新バージョンの議定書を提示しましたが、欧州の政府関係者の見方は厳しいものです。
現行の議定書の16条では、"深刻な経済的、社会的、または環境的問題" が長期に続く場合、どちらの締約国も一方的に"保護措置"を取ることができるとしています。
投資家がリスクから逃げる要因となったコロナウィルスの新種株に対する不安も、ポンドの手助けになりそうにもありません。たしかに、全体的なドル安(米ドルのDXY指数は96.037まで下落)で、金曜日に GBP/USD は僅かに上昇しました。しかし、ポンドは長い間、ドルよりもリスクの高い資産と考えられてきました。また、金利の上昇に対する期待は、アメリカだけでなくイギリスの通貨でも市場によって見直されています。
景気後退とGDP成長率の低さと高いインフレ率が組み合わさったスタグフレーションの脅威は、英国経済にとって非常に危険です。イングランド銀行の専門家の予測では、年間インフレ率は2022年4月までに約5%に加速し、そして、2022年末までに目標レベルの2%に低下します。
これは、非常に高い水準であり、11月4日のイングランド銀行の会合直前に、同銀行のアンドリュー・ベイリー総裁がこのような指標がある場合、予定よりも早く利上げを行う必要があるかもしれないと述べていました。市場は、政府が11月に基準金利を引き上げると考えていましたが、... そうはなりませんでした。イングランド銀行は利上げせず、GBP/USD は、さらに下落しました。また、アンドリュー・ベイリー総裁は、失望した投資家に対し、"11月に利上げの約束はしていない" 、また、"市場の支配は私の仕事ではない"と述べました。
現在、すべての懸念事項に加えて、パンデミックの新たな波やB.1.1.159 がこの国に与える経済の影響が危惧されます。そして、イングランド銀行の金利を11月ではなく、12月に引き上げるという話があります。また、これは、まったく素晴らしいわけでもありません: 15ベースのポイントで上がる可能性は11月24日(水)に 75% であった一方で、その二日後には55%に下がりました。
12月の会合次第で、イギリス政府が依然利上げをするなら、GBP/USD を押し上げるでしょう。70% のアナリストもそれを期待しています。来週については、意見は、等しく二つに分かれます: 上昇が50% 、下落が50% の予想です。
しかし、D1のインジケーターは、弱気筋を明らかに支持しています。トレンドインジケーターの100% は、下向きです。オシレーターについても同じことが言えますが、15%が売られすぎのゾーンです。
サポートレベルは1.3300、1.3275、1.3200、弱気筋のーゲットは1.3135。レジスタンスレベルと強気筋のターゲットは1.3410、1.3475、1.3515、1.3570、1.3610、1.3735、1.3835。
12月1日(水)にイングランド銀行のトップのスピーチがあります。投資家は、アンドリュー・ベイリー総裁が今後の金融政策をどのようにするのか、状況を明らかにしてくれることを期待しています。
USD/JPY: コロナウィルスで恩恵を受ける人: 円の報復
- リスク資産が悪いことは、円にとって良いことです。この不変のルールが今回も機能しました。円は、1日で230ピップス上昇し、USD/JPYは113.043まで下がりました。確かに、その2日前の11月24日には、数年来の高値更新で155.14の高値を付けました。このペアの強気筋は、このような見事な急騰が続くことを期待していました。しかし、起こりませんでした。このような急な反転の後のノックアウトされたストップロス注文数がどのくらいだったか想像することだけができます。
“これは典型的なシナリオです: 新型ウィルスのため、投資家の円やスイスフランの性質に飛んでいきます” とソシエテジェネラルのアナリストは、この状況を説明しました。
USD/JPY は、113.112で取引を終了しました: 113.40-114.40 の取引範囲に戻るか、下落を続けるか
専門家の間では、さらなる下落を支持する人が55%とやや多くなります。残りの45% は、本格的な上昇トレンドに戻らないまでも、少なくともこの方向に修正されると予想しています。インジケーターも、統一感がありません。オシレーターでは、25%が緑、40%が赤、20%が売られすぎのシグナルで、15%が中立の立場です。
トレンドインジケーターも、同じくバラバラです: 50% が上向き、同数が- 下向きです。
レジスタンスレベルは113.40、114.00、114.40、114.70、115.00、115.50で、強気筋の長期目標は2016年12月の最高値118.65。直近のサポートレベルは113.00、次に112.70、112.00、111.65。
マクロ経済統計については、11月29日(月)に小売売上高、翌日に日本の労働市場と鉱工業生産のデーターが予定されています。
暗号通貨: サトシ・ナカモトにノーベル賞
- 2週間前に私たちはクラーケン暗号通貨取引所の専門家の意見を引用しましたが、それによれば、BTC/USD は$55,000に下落の可能性がありました。暗号通貨アナリストのAltsoin Sherpa 氏も同じ数字の$55,000と言っていました。別の著名なジャーナリストであり、専門家のウィリー・ウー氏は、確実なサポートとして、より広い$50,000 から $60,000を挙げていました。さらに、ウィリー・ウー氏によれば、ビットコインは、まだ、急上昇や高値更新の段階ではありません。
しばらくして、専門家たちの述べていたことは、全般的に正しいことがわかりました: ビットコインは、$55,500付近のサポート で推移、その後、11月26日(金)までの間は$60,030 の高値で定着しました。そして、金曜日にパニックが起こりました。新型コロナウィルスの新種株のニュースに驚き、投資家は暗号通貨を含めたリスク資産から逃げ始めたのです。
暗号市場の総資本額は2兆4,600億ドルに減少しました(1週間前は2兆5,900億ドル)。また、 Crypto Fear & Greed インデックスは、恐怖(fear)から中央へと 47 ポイント上昇でした。11月26日の夕方のこの執筆時点で BTC/USD は、$54,350での取引されており、その前は、 局地的な安値$53,600 をつけていました。
分析会社の Glassnode (11月26日発表前のもの) のレポートによれば、市場では大規模な利確がおこなわれていないことがわかりました。アナリストは、短期的なビットコイン保有者の総供給量が300万BTCを下回る数年ぶりの低水準にあると指摘しています。これは裏を返せば、長期保有者の保有量が数年ぶりの高水準であることを意味します。同時に、彼らは継続的にポジションを築いています。11月下半期のBTCの残高がゼロではないウォレットの総数も過去最高の3,876万になりました。
Glassnodeから得たデーターによれは、深刻な状態の兆候はなく、ビットコインは 、まだ、長い上昇に向けての可能性があることを示しています。
A Glassnode と同じ意見がCryptoQuant のキ・ヨンジュCEOによって説明されています。ビットコインは、先週の半ばから安くなっているにも関わらず、ホルダーは売りを急いでいません。並行して、自発的な貯蓄のための暗号通貨の回収傾向が着実に進んでいます。 CryptoQuantによれば、現在、取引所では、2018年中旬以来の最低のビットコイン保有量です。
さらに、投資家はビットコインだけでなく、イーサリアムも回収しているため、資産の供給が減り、市場の圧力が弱くなっています。キ・ヨンジュによれば、長期的に見れば、この傾向はデジタル通貨の価格を押し上げるとしています。
Credibleとして知られる有名なトレーダー兼アナリストは、強気のトレンドを継続させ$70,000ドル以上に上昇させるには、現在のビットコインに調整は必要であると主張しています。こちらのアナリストによれば、ビットコインは、現在、調整にふさわしい段階だそうです。
ビットコインの価格は、近い将来、$52,000-53,000 に下がり、現在の調整の底になるかもしれないとCredible は、予測しています。彼によれば、歴史的に見て、前回より長く続く上昇サイクルでは11月10日のビットコインの$69,000 は、現在の強気相場の頂点とは言えません。
ブルームバーグ・インテリジェンスのチーフ・コモディティ・ストラテジストであるマイク・マックグローン氏は、ウィリー・ウー氏と同様、わずかながら低い$50,000がサポートだと考えています。同時に、こちらの専門家によれば、ビットコインの上昇は、2022年まで続き、$100,000付近で強いレジスタンスに直面します。
投資会社のスカイブリッジの創設者であるアンソニー・スカラムッチ氏は、ビットコインが “最終的には、金より上回り”、そして、簡単に$500,000をつけると予測しています。“ビットコインは、金の10倍になる可能性が高いと思います... ビットコインの飛躍的に上昇に伴い、金が上昇しても私は驚かないでしょう"とアンソニー・スカラムッチ氏は、述べています。
投資会社のギャラクシー・デジタル・ホールディングスのマイク・ノボクラッツCEOは、金は"ビットコインで砕かれた"と彼に賛同しています。
$500,000 というビットコインのターゲットについては、アーク・インベストのキャシー・ウッド氏の前回の予測で裏付けされています。確か、同時に、ウッド氏は機関投資家がビットコインをポートフォリオの5%に組み入れればこのような価格に到達できると条件をつけています。
今のところ、5%は論外です。事実、大企業の経営者たちのデジタル資産に対する興味は大きくなっています。つまり、世界の富裕層の4分の1以上が、すでに暗号通貨に投資しています。これについては、イギリスのコンサルティング会社のCampden Wealth が385のファミリーオフィスの代表者を対象にした調査で明らかになっています。このようなオフィスが管理する平均資金は16億ドルと推定されています。
北米では31%、ヨーロッパでは28%の富裕層世帯が暗号通貨に投資していますが、アジア太平洋地域では少なく19%です。しかし、同時に、億万長者世帯のポートフォリオにおける暗号通貨のシェアは平均してわずか1%です。調査対象の多く (68%)が、来年も現在と同程度の暗号通貨の投資を行い、 28% が増加でわずか4% が減少させる予定になっています。
そしてレビューの最後は、サトシ・ナカモトのファンに向けたニュースです。暗号通貨プラットフォームCelsius Network のダニエル・レオンCOOによれば、ビットコインの考案者はこの発明でノーベル経済学賞を受賞すべきとのことです。"経済学会の多くの学者よりもこの人[ナカモト] は、何十万人の人々に経済利益をもたらしました" とダニエル・レオン氏は述べています。
さて、小さなことですが、ナカモトが実在人物であるか調べる必要があります。結局のところ、ノーベル委員会は、実在しない人物に賞を贈る決定はしないようなので...
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