2022年7月25日-29日のFXと暗号資産の予想

EUR/USD: ECBの金融政策の取り組み:タカ派とハト派の融合

  • 先週明けのユーロは、やや上昇で1.0272の高値をつけました。これには理由が3つあります。まず、もっともありふれた理由になりますがEUR/USD が1.0000を突破した後、7月14日の安値0.9951 からの調整的な反発です。次に、ロシアと欧州を結ぶパイプラインのノドルストリーム経由によるロシア産ガスの供給再開です。最後が最も重要で、ユーロの利上げ予想です。しかも、市場はECBが前回発表した25ベーシスポイント(bp)だけにとどまらず、大幅に50 bpの引き上げも視野に入れていました。これは実際に起こりました。ECBは7月21日(木)、13年ぶりに貸出金利を0から0.5%、預入金利を-0.5% から 0%に引き上げ、マイナス金利を解消しました。

    ECB は記者会見で2つの理由により金利正常化に向けた大きな一歩を踏み出すことが適切であると説明しています。まずは、一つにはインフレ率上昇予想の更新です。次の理由は、ECB が金利引き上げによりユーロ圏の脆弱な経済圏での借り入れコストがあまりにも上昇することがないように伝達保護措置(TPI)を新たに導入したことです。TPI については、6月中旬の波乱相場に対して導入された措置です。

    つまり、TPIの本質はファンダメンタル要因で致し方ない不安定な金融状況で発行された債権をECBが買い戻すということです。購入量には制限がなく、リスクの大きさによります。言い換えれば、規制当局はタカ派とハト派を融合しようとしています­: 一方では利上げ (QT)、他方では無制限の量的緩和政策の継続の可能性。 この金融政策の取り組みに市場の反応は適切で予想どおりでした: EUR/USDは 1.0152に下落。その後、再び上昇、1.0210の水準で5日間を終えました。

    来週7月27日(水)に連邦準備制度理事会のFOMC(連邦公開市場委員会)の会合があります。政策金利引き上げを疑う人はほとんどいません。しかし、どの程度でしょうか? 1981年ぶりの100bpもしくは, 75 bpでしょうか? FOMC がはじめを選べば、金利は2.75%に引き上げられるでしょう。市場はEUR/USD の1.0000 台の新たな攻撃を予想、市場の相場引き上げがこの上昇です。しかし、FRBがこのアイディアを破棄すれば、このペアのさらなる上向きへの反転も否めません。

    このレビュー執筆時の7月22日の夕方、アナリストの25%は、このペアの上昇を支持しています。 残りの75% は下向きを示しています。D1のオシレーターではやや異なります: 60%が赤、25%が緑、15%がニュートラルグレイです。 トレンドインジケーターについては、65%が下向き、 35%が反対向きです。EUR/USD の直近のサポートは、1.0150-1.0200 圏内、それから、もちろん、1.0000 水準となります。これを突破すれば、弱気筋は7月14日の安値0.9950をターゲットにし、その下に、さらに低い2002年の強力なサポート/レジスタンス0.9900-0.9930があります。強気筋の次の重要な課題は、1.0270のレジスタンスを突破して 1.0400-1.0450、その後に1.0520-1.0600と 1.0650-1.0750が控えています。

    既に述べましたが、来週の最も重要なイベントは、米連邦準備制度理事会のFOMC会合とそこでの金利決定です。耐久財受注財の発表が同じ日の7月27日(水)にあります。ドイツとユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は、それぞれ7月28日(木)、29日(金)に予定されています。米国のGDP(第2四半期)の速報値は7月28日、ドイツとユーロ圏のGDPは7月29日に判明します。

GBP/USD: 1.2000 のバトルは継続

  • 先週は、イギリスに関する重要なマクロ統計の発表があり、ポンドにとってかなり忙しい1週間でした。むしろ、曖昧な結果でしたが、とりわけ懸念されていた労働市場に関しては明らかにプラスでした。この国の今月の失業給付申請件数は予想の41.2万件に対して34.7万件から20.0万件への減少でした。

    EUR/USDと異なり、統計により、GBP/USD は力強い上昇を示し、2週間前と5週間前に取引されていたところまで戻り、最終的には1.2000で鐘がなりました。そして、今、疑問が上がっています: この水準は強いレジスタンス、それとも、サポートなのでしょうか?

    現時点では、アナリストの75% がイギリス通貨の下落を支持しており、反対に反転して上昇するといった支持は25%です。インジケーターのD1 は次のとおりです。トレンドインジケーターのパワーバランスは65-35%で赤が優勢です。 オシレーターでは、弱気がやや少なくなります: 35% が下落、25%が上昇を示し、残り 40%が中立です。直近のサポートは1.1875-1.1915。その下は、1.1800、7月14日の安値1.1759、そして、1.1650、1.1535 、2020年の安値水準の1.1400-1.1450圏内が控えています。強気筋については、1.2100、1.2160-1.2175、1.2200-1.2235、1.2300-1.2325、1.2400-1.243でレジスタンスに直面します。

    マクロ経済カレンダーには、イギリスの主要なニュースはありません。GBP/USD 推移を左右する材料は、もちろん7月27日(水)に開催される米連邦準備制度理事会の会合です。ポンドの金利は現在1.25%であり、イングランド銀行(BOE)の次回会合は2022年8月4日に予定されていることに注目しましょう。

USD/JPY: 調整、それとも、トレンドの転換?

  • 多くのアナリストが待ち望んでいた夢がかないました。USD/JPY は、再び24年ぶりの高値更新とならず、休まずに、文字通り崩れました。7月21日(木)に日本銀行が、また、-0.1% のマイナス金利据え置きにしたにもかかわらずです。規制当局の運営陣は、金融引き締めをほのめかすことさえしませんでした。それどころか、日本の中央銀行は必要に応じて追加緩和策(QE)の導入、また短期・長期金利は現在の水準、あるいはさらに低い(!)水準にとどまるとさえ述べました。

    日本のインフレ率は上昇傾向ですが、それでも、2%以下で欧米よりも何倍も低い水準です。つまり、国内需要と低賃金の上昇動向を考慮すると、日銀が超ハト派的方針を変更する動機がまだ、ほとんどありません。つまり、現在の円高とUSD/JPY の139.38 から135.56の下落は、高い確率で強く買われすぎていることによるものです。

    今回、アナリストの70%はこのペアの142.00の新たな高値更新を期待しています。15%は下落が続くことを支持しており、残り 15%が横ばいです。インジケーターのD1では、より不透明:トレンドインジケーターでは 50% 対 50%で同等、オシレーターの25% は上向き、40% が下向き、35%は横ばい。サポートは、135.55、134.75、134.00、133.50、133.00、131.40。レジスタンスは136.35-137.00、137.90-138.40、138.50-139.00、そして7月14日高値139.38、強気筋のターゲットである140.00と 142.00。

    今週、日本では大きなイベントはありません。もちろん、7月26日(月)に日銀金融政策委員会の最新会合に関する報告書の発表には注目ですが、津波だけでなく、小さな波する起きる可能性はほとんどありません。そのため、注目の的は、ほかの通貨ペア同様、7月27日(水)の米連邦準備制度理事会の会合でしょう。

暗号資産: 皆さん、少しだけ、我慢です!

  • 6月13日以来、はじめて BTC/USD は$23,000 を超える上昇で、先週は$24,263 にもなりました。これは、待ちわびていたトレンドの変更なのでしょうか? それとも、暗号の冬の真っ只中の短い雪解けなのでしょうか? あるいは、騙されやすい投資家に向けた弱気筋の陰湿な罠なのでしょうか? それでは、見ていきましょう。

    暗号資産アナリストの間で200週移動平均線(SMA200)は人気のある指標であることを繰り返し述べていましたが、ここ最近、さらに、よく参考にされています。理由は、かつてBTC/USD がメインサポートだったからです。しかし、以前あったことが、これからも起きるとは限りません。この証拠に、このSMA200が非常に最近、機能を果たしていません。しかし、このテクニカル分析インジケーターは、まだ、予想に関して最も利用される指標の一つです。

    さて、ビットコインは先週、200週移動平均線を超えて上昇することができました。もちろん、この理由はビットコインが高くなったわけでなく、米ドルが少しだけ下げたからです。このような状況で、米国の株価指数であるS&P500、ダウ・ジョーンズ、ナスダックは上昇、これ続いて暗号資産のようなリスク資産の相場が上がりました。

    このレビュー執筆時(7月22日金曜日夕方)、ビットコインは $22,670前後での取引です。暗号資産市場の時価総額は1兆2600億ドル(1週間前は945億ドル)です。Crypto Fear & Greed インデックスは一週間で15 ポイントから33 ポイントに上昇して、ついに、非常に恐怖から恐怖へ抜けることができました。

    つまり、ビットコインは7月13日の安値($18.886)から20%上昇して、200週移動平均線のやや上($22.565)です。バイナンス暗号通貨取引所のアナリストによれば、このような週の終わりは、典型的なビットコインの弱気サイクルであるSMA200での強いサポートの回復が期待できます。

    ビットコインの 200-週 SMA 突破は投資家たちを熱狂させました。アムステルダム証券取引所のトレーダー、マイケル・ファン・デ・ポッペ氏は、まず、$28,000のグラフでの予想をツイートして、現在のマーケットの状況と2020年3月のコロナウイルスパンデミックが発端となった記憶に残る暴落からの回復と比較しました。当時、ビットコインは$3,782に暴落しましたが、その後13カ月で1.600% まで上昇しました。(2021年4月$64,853)。

    クラーケン暗号資産取引上のアナリストも同様に楽観的で200週移動平均を主な指標としています。特に200週SMAとBTCの過去の取引との倍率に注目しています。要するに、SMA200で反発したビットコインは、2017年12月に15.2倍も上昇しました。2013年11月は13.2倍 の上昇でした。現在、BTCは200週移動平均線に近いところで取引されています。ビットコインが、また、13倍 - 15倍となれば、$300,000ぐらいに上昇するかも知れません。

    もちろん、SMA200にふれても、BTC が常に10倍になるとは限りません。暗号資産市場が著しく下落する前の2021年3月は5.8倍がピークでした。しかし、この倍率でもビットコインは$130,000まで上昇する可能性があります。しかし、それはいつでしょうか? 多くの市場関係者の忍耐はすでに限界です。

    グラスノードのデーターでは、6月のビットコインの記録的な値下がりで、“市場観光客”はほとんどゲームから脱落、ホドラーだけが”前線“に残ったことは既に記述しました。月別では、2011年だけ状況が悪化しています。流出の多くが機関投資家 (投資額100万ドル以上の企業)、マイニング事業者(信用取引での生産拡大)と並んで投機家や個人です。

    もし、市場のサイクルが繰り返されると仮定するなら、ビットコインの弱気局面は秋の上旬には終了します。このような結論は、グレイスケールインベストメントのアナリストからのデーター記録から導きだされたものです。ビットコインが1サイクル作られるのに2012年は1,290日、2016年は1,257日かかりました。ピークから、2012年は73%、2016年は84%の下落に391日と 364 日それぞれかかっています。2020年に始まった現在のサイクルの期間は、1206日 (2022年7月20日現在) です。言い換えれば、底値まで、あと2、3ヵ月はかかります。

    Rekt Capital というニックネームの暗号資産ストラテジストも同じ結論です。同氏の見解では、売られ過ぎのシグナルにもかかわらず、相場価格の下落推移はかなり長く続くかもしれません。BTCの月次のタイムフレームの相対力指数(RSI)が現在、2015年と2018年の弱気市場の最低レベルを下回っており、ビットコインの新たなレジスタンス水準になる可能性があると注目しています。

    Rekt Capitalによると、ビットコインの短期的な見通しはあまり良くなく、数ヶ月で底を打つ可能性があります: “ビットコインの次の半減期まで650 日前後です(2024年4月)。記録によると、半減期の517-547 日ぐらい前に、底となっています。歴史が繰り返されるなら、ビットコインは底を打つまであと、100-150日ほどかかり、2022年第4四半期となるでしょう”

    推定資産184億ドルとされるアメリカの実業家トーマス・ピーターフィー氏は、$12,000まで下がったらビットコインを購入するつもりであると述べています。 こちらのインタラクティブ・ブローカーズの会長は、フォーブスとの最近のインタビューで、将来的にビットコインはかなり値下がりするか、アメリカで禁止されるかも知れないと現在のところ考えているので高い金額で暗号資産を購入する予定はないと述べています。

    中国からの多くのトレーダーはトーマス・ピーターフィー氏と団結しています。ソーシャルネットワークWeiboで2200人以上が参加した調査では、中国のトレーダーはビットコインの価格のさらなる下落を予想しています。対象者の8% は$18,000でBTC を購入すると回答しています。26%が $15,000で購入をはじめるとなっています。しかし、ビットコインが$10,000に下落の場合は、40% がビットコインを購入となります。

    以上のことから、ビットコインが$300,000への天井上がりとなるした予想にもかかわらず、投資のシグナルは、まだ、明確にはありません。7月27日(水)には、米連邦準備制度理事会の金利決定です。そして、BTC/USD の見通しについては、この後によって明らかになるとした可能性が最も高いです。金利が急上昇すれば、DXY ドルインデックスは上昇、投資リスク選好はさらに落ち込むことになるでしょう。そして、ビットコインが$10,000 になる可能性も飛躍的に高まります。そうでなければ、$30,000に向かうのを見ることになります。どちらのシナリオが実現するかわかるまで長くはかからないでしょう。トレーダーや投資家の皆さん、待ってみましょう。

 

NordFX Analytical Group

 

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