暗号資産に多少なり興味のある人なら、おそらく21世紀最大の謎の人物であるサトシ・ナカモトの名前を耳にしたことがあるでしょう。世界初の暗号資産の生みの親です。どこからともなく現れて、どこかへ消えた人物。あるいは、1人ではなく、集団? 男性なのでしょうか? それとも、女性? それとも、彼らと呼ぶべきなのでしょうか? 推測にしか過ぎませんが、この記事では“彼”と呼ぶことにします。つまり、この匿名に隠されている人物とは?このミステリアスなストリーを深く掘り下げてみましょう。
来た、誕生、去る
Veni, vidi, viciは、古代ローマの独裁者であり司令官だったガイウス・ユリウス・カエサルの言葉として有名です。ラテン語を訳すと、"来た、見た、勝った" という意味になります。サトシ・ナカモトについては、この座右の銘にもう一つ付け加えることができるでしょう: Veni, vidi, vici, abiit -来た、問題を見た、勝った、去った。
来た (Veni). この人物を世界が初めて知ったのは、2008年のことです。 bitcoin.org のドメインが8月に登録され、しばらくして暗号資産の説明書(白書)が公開されました。サトシ・ナカモトは “ビットコイン:P2P電子通貨システム”というタイトルの9ページの作者として掲載され、その横には彼のメールアドレスの記載もありました(bitcoin.org のサイトは現在も存在しており、この記事の原文があります)
誕生 (Vidi, Vici). ナカモトの掲載は科学的な暗号コミュニティや暗号愛好家から注目を浴びました。フォーラムや通信で議論されるようにもなりました。わずか数か月後の2009年1月にはアイデアは具体的となり、ビットコイン(BTC)が立ち上げられ、ナカモトが最初のブロックチェーン・ブロックを生成しました。
ある試算では、2009年にマイニングされた160万枚のコインのうち、約148万枚がサトシ自身のものである可能性があります。この “デジタルゴールドの入った箱” は、今までのところ、誰にも開けられていません(2022)。相場変動はありますが、米ドルにして数百億ドルと推定されます。つまり、ナカモトが非実在から突如、実在となれば、地球上で最も裕福な人物の一人になります。
去る (Abiit). サトシ・ナカモトは、2010年中旬にビットコインのソースコードをプログラマーであるギャヴィン・アンド・レセンに送り、ドメインの権利をビットコインコミュニティのメンバーに譲ってプロジェクトから去りました。彼の最後のメールの日付は2011年4月26日で、その後、完全に... 現れなくなりました。要するに、ビットコインの生みの親は3年とは言わないまでも公の場に存在していました。ただ、この短期間に世界を完全に変えたわけではないにしろ、少なくても強い影響を与えました。ビットコインには何百万人ものファンができ、一部の国では自国の通貨と同等の扱いをはじめ、中央銀行さえも含む何千ものフォロワーが独自のデジタル資産を作り始めました。
ナカモト氏は誰?
この質問の答えには、何年も暗号資産コミュニティが悩んできました。ナカモト自身はP2P財団のサイトで1975年生まれの日本在住とありました(P2P財団はP2P技術が社会に与える影響を研究することを目的としたイコール・オルタナティブ・ファンド)。
この経歴を信じた人がいたのかもしれませんが、ビットコインの考案者の生年月日、国籍、居住地は一度も確認されませんでした。なお、500件以上のメールは、日本の営業時間である2:00pm から8:00pmに送られたものはありません。ほとんどが、日本の就寝時間に書かれたものです。ただ、その時間帯はアメリカの生活時間帯の真っ只中になります。
白書やナカモトのメールも英語のネイティブスピーカーによって書かれたと考える専門家は少なくありません。しかし、彼がアメリカ人なのかイギリス人なのかについては意見が分かれます。文章には、イギリスとアメリカ英語の両方の特徴が含まれているからです。もしかしたら、長くアメリカに住んでいるイギリス人かも? それとも、1人ではなく、イギリスとアメリカのサイエンスグループなのでしょうか?
研究者が注目したもう一つの特徴は、ナカモトの文章が常に必ず1行ではなく2行の行間隔があることです。このような文章の書き方は、コンピューターではなく、タイプライターで使われていました。つまり、彼は1975年生まれではなくて、もっと前に生まれている可能性があります。
匿名の中のさまざまな顔
それで、結局、サトシ・ナカモトという匿名で誰がビットコインを生み出したのでしょうか? いろいろな説はありますが、とても信じがたい説から見ていきましょう。
バージョンNo. 0, 歴史: ヘンリーフォード。1921年に遡ると、アメリカの実業家ヘンリー・フォードが新しい通貨システムの基盤となる"エネルギー通貨" の創設を提唱しました。このアイディアは白書に説明のあったP2P電子マネーシステムやビットコインのマイニングに非常に似ています。この伝説的な自動車メーカーは、1921年12月4日付のニューヨーク・トリビューン紙にエネルギー通貨が金に代わるアイデアが世界の富を握っている銀行のエリートたちの力を弱めることができるという記事を掲載しました。このために、フォードは"世界一の巨大な発電所" の建設と"電力単位"を基盤とした新たな金融システムを提案しました。
バージョンNo. 1: 企業のグループ。陰謀論ファンの中には、メンバーを探そうとする人もいます。彼らの考えだと: Samsung、Toshiba、Nakamichi 、Motorola。ご覧のとおり、頭文字を少し結びつけることで必要な名前に簡単になります。しかし、なぜ、巨大企業がビットコインを作る必要があり、このプロジェクトの関与を隠したままにするのでしょうか? この質問に説得力のある答えはなさそうです。
バージョンNo. 2: アメリカの情報機関。陰謀論者は、最も可能性があるのはCIAではなくアメリカの国家安全保障局(NSA)であるといいます。世界的に有名なマサチューセッツ工科大学(MIT)が1996年6月18日に発表した科学論文に暗号技術部門のグループが執筆したものがあります... NSAからの。論文はMIT のウェブサイトに今でもあり、タイトルは"大儲けの仕方: 匿名電子マネーの暗号技術"というタイトルです。著者: 国家安全保障局/情報セキュリティ研究技術局/暗号課のローリー・ロー、スーザン・サベット、ジェリー・ソリナス。この論文をみれば、暗号通貨の原理を説明したものであることが一目瞭然です。
バージョン No. 1と異なり、情報機関がこれを必要だった理由 (少なくても、世界中での極秘任務の資金提供)や当時の機密扱いだった理由が多かれ、少なかれ、ここでは説明されています。
バージョン No.3: ニック・サボ。アメリカ出身の科学者、プログラマー、暗号学者でもあるこちらの人物がデジタル資産を開発した一人と考えられています。 同氏は、ビットコインの前身でもあるBitGoldを考案しました。しかし、こちらのアイデアは実際には、幅広く受け入れられませんでした。なお、ニック・サボ自身は、自身がナカモトサトシであることを常に否定しています。
バージョン No.4: クレイグ・スティーブン・ライト。オーストラリアの起業家でもあるコンピューター科学者はニック・サボとは違って、自身が謎のナカモトだと主張しています。もっと正確にいうと、この匿名チームの主要メンバーということです。これは、2016年BBCで述べられたことでしたが、説得力のある証拠はありませんでした。
バージョンNo.5: ハル・フィニー。暗号通貨の生み出す役割を担ったというもう一人の候補者。こちらの暗号学者は白書のメーリングリストにも記載があり、BTCマイニングをはじめた初期の貢献者の1人です。ハル・フィニーは、2009年1月12日、開発の初期段階で一緒にプロジェクトに取り組み、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)技術を考え出したサトシ・ナカモトから、最初のビットコインの取引を受けました。また、フィニーの隣に本名がドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトという人物が住んでいました。フィニーの文体がナカモトと非常に似ていることから二人のやり取りが演出以外の何ものでもないという疑惑が浮上しました。
バージョン No.6: ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモト。 サトシ・ナカモトがサトシ・ナカモトであると考えは理にかなっています。カリフォルニア出身の物理学者でありシステムエンジニアのこちらの人物の情報が2014年に表に出てから、同氏の写真は瞬く間に世界中に広まり、ビットコインのもう一つのシンボルとなりつつありました。ただ問題としては、こちらの人物の姓名が同一以外、ビットコインとは何ら関係もなく、本人自身も完全否定していることです。
陰謀から金銭へ
バージョンリストは無限と言わないまでも、かなり長く続けることができます。そして、ビットコインの生みの親とされる関係者が遺体の入った棺を運ぶ墓地からの映像はこの最後となります。この映像はネットにも出回りました。しかし、謎や陰謀論については一つの記事で十分だと思いますので、そろそろ具体的な話題に入りましょう。
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